細長い見た目と体表がぬるぬるしている点が鰻と似ている穴子。
蒲焼き・白焼き・お寿司・煮穴子などの食べ方で親しまれており、うなぎよりもさっぱりとした味わいなので穴子の方が好きな方も多いのではないでしょうか?
犬猫は穴子を食べても大丈夫!
犬猫は穴子を食べても大丈夫です。
アナゴ科には約150種と非常に多くの種類が存在しますが、今回取り扱う「穴子」は主に日本で食されている「マアナゴ」を指しています。
本記事では、
- 穴子とうなぎの違い
- 穴子を犬猫に食べさせるメリットや注意点
- 犬猫用の穴子を使った手作りフードのレシピ
などをお話していきます。
おやつにはどうなの?
穴子は犬猫のおやつに適したものの1つだと言えます。
犬猫の好む風味でありながら、様々な栄養素を持っています。
複数のメーカーから穴子を加工した犬猫用おやつなども販売されています。
穴子とうなぎの違い
穴子は「ウナギ目アナゴ科」、鰻は「ウナギ目ウナギ科」なので分類上は非常に近い魚です。
まずは「穴子」と「うなぎ」の違いについて解説していきます。
見た目の違い
穴子 | うなぎ | |
---|---|---|
体の色 | 薄茶色 | 黒に近い灰色 |
顔 | 目がくりくりとしている | 目は小さい |
あご | 上あごが少し出ている | 下あごが少し出ている |
尾びれの形 | 尖っている | 丸みがある |
生態の違い
- 穴子:海で生活を続ける「海水魚」
- うなぎ:海で産卵し、その後は河川や湖の淡水で成長する「回遊魚」
味と食べ方の違い
- 穴子:さっぱりとしているので、酢の物や天ぷらで食べられることも。
- うなぎ:こってりとしているので、それを活かすためにうな丼やひつまぶしで食べられることが多いです。
味や見た目に似ている部分もあるので、蒲焼きや白焼きといった共通する調理方法もあります。
旬の時期の違い
- 穴子:6月~8月ごろ
- うなぎ:10月~12月ごろ
いずれも天然ものの場合です。
養殖のうなぎは「土用の丑の日」に合わせて7月頃が旬となるように調整されているそうです。
値段の違い
いくらかのブレがありますが、概ねうなぎは穴子の2~3倍の価格になっています。
この違いはうなぎの方が希少価値が高いからではなく、うなぎの方が「土用の丑の日」などの影響で国内需要が高いからだそうです。
確かにうなぎは不漁により希少性が上がったことが値段が高騰する一因となっていますが、穴子の漁獲量も年々減少している傾向にあります。
栄養素の違い
最も気になるうなぎと穴子の栄養素の違いは次の項目からお話していきます。
あなごとうなぎの主な栄養素表
あなご(生)とうなぎ養殖(生)100gあたりの主な栄養素
穴子(生) | うなぎ(生) | |
---|---|---|
エネルギー | 146kcal | 228kcal |
脂質 | 8.0g | 16.1g |
たんぱく質 | 14.4g | 14.4g |
ナトリウム | 150mg | 74mg |
カリウム | 370mg | 230mg |
カルシウム | 75mg | 130mg |
マグネシウム | 23mg | 20mg |
リン | 210mg | 260mg |
ビタミンA | 500㎍ | 2400㎍ |
ナイアシン当量 | 6.2mg | 5.3mg |
EPA | 560mg | 450mg |
DHA | 550mg | 1100mg |
参考資料:八訂 食品成分表 2022
穴子を犬猫に食べさせるメリット
うなぎと比較した場合のメリット
うなぎの栄養素の高さが目を引きますが、たんぱく質は穴子も同等に含まれていて、脂質とカロリーは穴子の方が低いのでうなぎよりヘルシーな魚であると言えます。
ビタミンAの含有量はうなぎより少ないですが魚類の中では非常に高く、そのほかナトリウム、カリウム、ナイアシン、EPAは穴子の方が多く含まれています。
穴子の持つ栄養素により考えられる健康効果
穴子に含まれる主な栄養素と、考えられる健康効果を簡単にまとめます。
- たんぱく質:筋肉や臓器など、身体作りに欠かせない栄養素です。うなぎよりヘルシーながら高たんぱくなので、身体の引き締めにも期待できます。
- ビタミンA:目や皮膚を健康に保つ働きをします。目の粘膜の栄養になり、視力を正常に保つ効果もあります。
- カルシウム:丈夫な歯や骨を作るのに重要な栄養素です。細胞間の情報伝達を助け、精神を安定させる効果も。
- カリウム:体内のナトリウム濃度を調整します。体のむくみ解消にも。
- EPA:コレステロール値の低下や、血液をサラサラにし血栓を予防する効果、がん予防などに期待できます。
- DHA:脳機能を高め、認知症予防に。動脈硬化を予防・改善する効果もあります。
犬猫に穴子を食べさせる時の注意点
ぬめりは毒素!生食の危険
穴子やうなぎなど、ウナギ目の魚類は体表のぬめぬめした部分や血液中に『イクチオヘモトキシン』という毒素を含んでいます。
この毒素を摂取すると、
- 下痢や吐き気
- 麻痺
- 感覚異常
- 呼吸困難
- 不整脈
などの症状が現れる可能性があり、重い場合は命の危険も考えられます。
60℃で5分ほど加熱処理を行えばこの毒素は無毒化するので、犬猫に穴子を食べさせるときは必ず加熱処理を行いましょう。
小さい子やシニアの子は骨の処理を
穴子には骨がありますが、細く柔らかいので健康な犬猫であればそのまま食べることができます。
しかし体の小さな犬猫やシニアの犬猫は骨を上手く食べられないことも考えられます。
そうした犬猫に穴子を与える際は、骨切りの処理を行うか丁寧にほぐして身だけを食べさせてあげるようにしましょう。
食物アレルギーに注意
穴子が特に危険というわけではありませんが、初めての食べ物を犬猫に与える際は食物アレルギーに注意しましょう。
まずはほんの少量から与えてください。以下の様な症状が現れる場合は食べさせるのをやめましょう。
- 目や皮膚の赤み・かゆみ
- 下痢・嘔吐
- 体毛が抜ける
症状がひどい場合はすぐに動物病院へ連絡してください。
犬猫に食べさせる穴子を使った手作りレシピ
「簡単!穴子の白焼き」
材料
新鮮な穴子の開き
作り方
- 穴子の開きに熱湯をかけ、ぬめりをこすり落とします。
- 愛犬・愛猫が食べやすいサイズにカットします。この時必要に応じて骨切りを行ってください。
- フライパンで両面をしっかりと焼いたら完成です。
とてもシンプルな穴子の白焼きです。このままおやつに食べさせてもいいですし、普段のフードにトッピングする手段もあります。
実際に食べさせる量は愛犬・愛猫の体格や状況に合わせて調整してください。
余った分はお好みで塩やわさびを付けて私達も美味しく食べることができます。
【まとめ】
犬猫は穴子を食べても大丈夫です!
うなぎよりさっぱりとした味わいで、脂質とカロリーも低くなっています。
栄養面はうなぎに劣ってしまうところもありますが、それでもたんぱく質・ビタミンA・EPAなど様々な栄養素を豊富に含んでおり健康に良い魚です。
注意点を3つ紹介します。
- 体のぬめりは毒素であり生で食べると危険
- 小さい子やシニアの子に食べさせる時は骨の処理を行う
- はじめて食べさせる時は食物アレルギーに気を付ける
夏頃が旬の穴子、さっぱりとした味わいを好む犬猫も居るかも知れません。
新鮮な穴子が手に入ったら、ぜひ愛犬愛猫の食事に取り入れてみてはいかがでしょうか。
参考
環境省 せとうちネット:「アナゴ」
鳥取県 太田市観光サイト:「大田の大あなご」
厚生労働省:「自然毒のリスクプロファイル:魚類:血清毒」
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