ヒョウタンは犬猫にとって危険な植物?自然毒のククルビタシンによる食中毒の可能性

ヒョウタンとは

ユニークな形の実が特徴的なヒョウタンは、古くから日本で親しまれ伝統的な工芸品でも楽しまれています。

生育旺盛で育てやすく、夏の強烈な日差しを遮ってくれるグリーンカーテンとしても活躍するつる性植物なので、ご自宅の庭で栽培される方も多くいます。

しかしこのヒョウタンは犬や猫にとって危険な植物なので誤食がないように注意が必要です。

ヒョウタンの基本情報

学名:Lagenaria siceraria var. gourda
和名:瓢箪(ひょうたん)
科名 / 属名:ウリ科 / ユウガオ属
花言葉:「手に負えない重さ」

ヒョウタンは犬猫にとって危険な植物

ヒョウタンには犬猫、そして人間も中毒症状を引き起こす毒性成分が含まれています。

ヒョウタンに含まれる主な毒性成分

ヒョウタンの実には自然毒である「ククルビタシン」が含まれています

ククルビタシンはウリ科植物の臭気を兼ね揃えた特徴のある苦み成分です。

ヒョウタンを食べる事で起こる主な中毒症状例

  • 唇のしびれ
  • 吐き気
  • 嘔吐
  • 腹痛
  • 下痢
  • 脱水

人間の誤食による食中毒発生も数件報告されています。

苦味が強くあるので、犬や猫がムシャムシャと食べてしまう事は考えにくいのですが、少量でも消化器系の中毒症状を示す可能性があるため注意が必要です。

このククルビタシンはヒョウタンの実に多く含まれているとされていますが、葉や茎にはシュウ酸塩が含まれている可能性がありますのでヒョウタンは全草誤食がないように注意した方がいいでしょう。

ヒョウタンとかんぴょうは同じ?

ヒョウタンについて調べていると必ずと言っていいほど「かんぴょう」の名前が挙がります。

それはヒョウタンとかんぴょうの原料となるユウガオが同じウリ科/ユウガオ属と植物学上の種として同じものになるからです。

この2つは同一種であるため混乱しがちですが、細かく分ければ別の植物であり、更にかんぴょうになるユウガオの実はヒョウタンのようにくびれていないので、実の見た目で判断ができます

ユウガオの果肉はヒョウタンのようにククルビタシンを多く含まないので古くから食用されてきました。

ただし、このかんぴょうの原料となるユウガオの実は少し曲者であり、ごくまれに大変苦味の強いものがあり、食べるとヒョウタン同様に食中毒を起こすことがあります

また、スイカ等を栽培する際に接ぎ木の台木としてユウガオが使用されることがありますが、この台木から採れるユウガオの実はククルビタシン類を多く含むことがあるので食べないようにしましょう。

実際に人間で起きた食中毒事例の中にもスイカの接ぎ木苗の台木につけたユウガオの実を食べた事による食中毒発生や、ヒョウタンをユウガオと間違えて喫食し、食中毒を起こしたケースがあります。

犬や猫は揺れる葉っぱや生っているいる実、そしてヒョウタンとユウガオのようにコロコロと転がるような形状には興味をそそられるでしょう。

取った実を置きっぱなしにしたり、犬や猫の手が届く場所で栽培しないなど家庭菜園で採れるユウガオ、ヒョウタンの実の取り扱いには十分に注意しましょう

参考:激しい苦みのあるウリ科植物にご注意ください

犬猫はかんぴょうを食べても大丈夫?原料の夕顔には毒がある?毒性成分や栄養成分について

まとめ

ヒョウタンにはククルビタシンという食中毒を起こす苦み成分が含まれているため犬や猫にとって危険な植物です。

強い苦味から犬や猫がヒョウタンをすすんで食べたがることは考え難くはありますが、実の形状や栽培中のぶら下がって生る実には興味をしめしおもちゃにしてしまう事はあるかもしれません。

グリーンカーテンや小学校の教材として育てる事があれば、その取り扱いには十分に注意してあげましょう。

参考:自然毒のリスクプロファイル:高等植物:ユウガオ(厚生労働省)

参考:ヒョウタンの基本情報(みんなの趣味の園芸 NHK出版)

参考:ヒョウタン(熊本大学薬学部薬用植物園 植物データベース)

参考:ヒョウタンによる食中毒について(食品安全委員会)

スギさん@マッサンペットフーズ

株式会社ヒューマル マッサンペットフーズの公式WEBサイト「マッサンのペットフードの学校」の開設時から運営に参画しています。6年間の学びを生かしてペットレシピ.jpにも執筆しています。

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