犬猫の便秘について。病気のサイン?主な原因や予防に役立つ食材

犬猫にとってどんな状態が便秘?

便秘とは、普段の排便に比べて便が極端に硬く乾燥し、排便時に強くいきんだりしないと便が出にくくなっている状態の事を指します。

食事をせず2~3日排便が無い状態は便秘とはいいません

排便が無い事を便秘と思い込んでいたり、便意があり排出しようといきむにもかかわらず、排出できない『しぶり』という状態の事を便秘であると混同されている方も多いようです。

上記で解説した『しぶり』がみられるときは、泌尿・生殖器の病気や下部尿路の病気にかかっていることが疑われることがあります。

しかし、便秘といわゆるしぶりの違いは飼い主には判断が難しいので、排便時の異常がみられたら獣医師の診察が必要でしょう。

便秘は病気のサイン?便秘を起こす主な病気

大腸周辺の閉塞や神経性障害を起因として便秘という症状を起こすことがあります

考えられる主な病気
  • 腸閉塞
  • 腫瘍
  • ヘルニア
  • 脊髄疾患
  • 巨大結腸症
  • 肛門異物
  • 股関節脱臼
  • 甲状腺機能亢進症

上記の病気はほんの一例です。

この他にも様々な病気が原因で便秘になる事はあるので、愛犬、愛猫が排便の際に強くいきんだり、極端に硬く乾燥した便が続く、また排便が2日前後ないなどの排便が困難な様子があれば動物病院の受診をおすすめします。

便秘や排便が困難な様子以外にも嘔吐やそれに伴う脱水症状など他の症状がみられる場合には急速に衰弱する恐れがあるので十分に注意してください。

病気だけが原因じゃない!犬猫が便秘になる理由

上記で便秘になる原因とされる病気の一例を挙げましたが、犬猫は環境や食事の変化に敏感で、体調に影響が出やすい事があります

異物の摂取

魚や肉の骨を食べたり、グルーミングによる毛やそのほか異物を摂取することによって起こすことがあります。

環境の変化

引っ越しによる住居の変化、トイレの場所の変更、トイレのシートや砂を変更したりする事で起こすことがあります。

水分不足、食事内容の変更

水分不足、食事内容の変更で起こる事も。また運動不足で起こすこともあります。

薬の影響

薬を服用されている場合には、薬の影響で便秘になることがあります。

病気以外の上記のような例に心当たりがあり、原因が明らかである場合にはその原因を取り除く、もしくは軽減してあげてください

薬の影響が考えられる場合には獣医師に相談しましょう。

日々の食事で便秘予防

2日以上排便がない場合には速やかに動物病院を受診することをおすすめしますが、病気を起因としない場合には食事で改善できる場合があります

また、犬猫が日々スムーズに排便を行えるように食事で調整してあげると便秘の予防が期待できます。

病気の予防にも活躍する食物繊維

便秘に効くといわれてイメージされるのはやはり食物繊維が多い食材ではないでしょうか。

食物繊維は水溶性と不溶性とありますが、どちらも腸内の善玉菌を増やし、便のカサを増してくれる効果や腸のぜんどう運動を盛んにしてくれるなど、それぞれの働きで便秘解消に役立つ成分です。

食物繊維自体は栄養素ではありませんが、便秘解消の以外の働きもあります。

コレステロールの吸収抑制や血糖値の急激な上昇を抑える効果、過剰摂取すると様々な疾患を引き起こす可能性の高い脂質、糖質、ナトリウムなどを吸着して体外に排出することや、体内にある有害物質を吸着し排泄してくれる働きがあるなど、様々な病気の予防に役立ち、健康づくりには欠かせない成分といわれています。

食物繊維が多い食材

  • 寒天
  • ひじき
  • こんぶ
  • わかめ
  • 大麦(押し麦)
  • オートミール
  • 玄米
  • 納豆
  • 大豆
  • あずき
  • 枝豆
  • ごぼう
  • オクラ
  • ブロッコリー
  • さつまいも
  • かぼちゃ
  • だいこん
  • しいたけ
  • えのき
  • まいたけ
  • キウイ
  • りんご
  • ブルーベリー

海藻類、穀物、豆類、野菜、芋類、果物には食物繊維を豊富に含むものが多いので、愛犬、愛猫が便秘であると感じたら積極的に食事に加えると良いでしょう。

乳酸菌は整腸効果の強い味方!

便秘の解消には腸内環境を整えることが大切です。腸内にある善玉菌と悪玉菌、これらのバランスが保たれている状態が腸内環境が良いとされています。

しかし、善玉菌より悪玉菌が増えてしまうと腸内環境は悪くなり便秘の原因となってしまうことも。

悪玉菌が増える主な原因として、ストレスや加齢そして食生活が挙げられています。悪玉菌はたんぱく質や脂質をエサに増え、善玉菌は乳酸菌をエサに増える事がわかっています。

犬猫の体を作りエネルギーとなるたんぱく質や脂質は必要不可欠なものです。

本来肉食である犬猫用の総合栄養食であるドライフードやウェットフードにはしっかりとその栄養が入っており、排除することは考えられません。

そのため、まずはおやつや捕食などで必要以上にたんぱく質や脂質を与えていないか見直し、普段の食事に乳酸菌が含まれる食材をプラスする事で善玉菌を増やす事をおすすめします。

また、上記で食物繊維が善玉菌を増やすエサとなることや、脂質、糖、ナトリウムや有害物質を吸着し排泄する効果を解説しましたが、その効果は悪玉菌増殖の抑制にも繋がるとされており、このことから食物繊維と合わせて乳酸菌を食事で摂ることで、効率よく腸内環境を整え、便秘の解消に役立つと考えられます。

乳酸菌が多い食材
  • 納豆
  • プレーンヨーグルト
  • 味噌
  • 甘酒(アルコールを含まないもの、砂糖を使っていないものに限る)

味噌は塩分を多く含むので、ごく少量に控える事。

また甘酒は麹のみで作られているものを必ず選び、酒粕をつかったアルコールを含むものや砂糖、そのほか添加物などを含むものは犬猫にとって健康被害を与える可能性が高くなるので避けましょう。

水分を多く含む食事

便秘は水分不足も主な原因として挙げられます。基本的には十分な飲み水を常に用意してあげる事。

また、汚れた水を嫌がる犬猫は多くいるので、日に何回かは取り換え、きれいな水をキープしてあげる事が理想です。

もし水をあまり飲まない場合には、総合栄養食であるドライフードからは水分補給は叶いませんので、おやつや1日のうち1回の食事を水分が多いメニューを用意するなどの工夫をすると良いでしょう。

まとめ

尿や便は犬猫の健康を計る大切なバロメーターです。

毎日の排泄の観察は、言葉を話せない犬猫の大切なサインであると考え、明らかに普段と違う便を出している場合や、排便時のいきみ具合などを見逃さないように注意しましょう。

また、自身の愛犬、愛猫が一日にする排便の回数を把握し、健康時と比べられるようにすること。そのうえで便秘が続いているとわかった場合には病気を疑い、かかりつけの動物病院へ相談することも大切です。

病気を起因としない場合には、日々の食事に食物繊維や乳酸菌を含む食事を用意し与える事で便秘の予防や改善に活躍します。

食材や効能を理解し、愛犬、愛猫にスムーズな排便を促してあげる事は、様々な病気の予防や健康な体作りに役立つでしょう。

参考:イヌ・ネコ家庭動物の医学大百科

便秘におすすめの食材記事

  • 犬猫はオートミールを食べても大丈夫!注意点やメリット、おすすめの与え方を紹介
  • 犬猫はひじきを食べても大丈夫!ヒ素の影響は?腎機能や甲状腺機能についても解説
  • 犬猫は小豆を食べても大丈夫!腎臓に影響はある?あんこやおしるこは?注意点を解説
  • 犬猫は大豆を食べても大丈夫!節分の豆は?そのまま食べても大丈夫?注意点を解説
スギさん@マッサンペットフーズ

株式会社ヒューマル マッサンペットフーズの公式WEBサイト「マッサンのペットフードの学校」の開設時から運営に参画しています。6年間の学びを生かしてペットレシピ.jpにも執筆しています。

関連記事