ノンアルコールビールは犬猫にとって危険!ホップの毒性成分は特に犬にとって高リスク

近年では健康志向の高まりでアルコールや糖質を控える方が多く、ノンアルコール飲料の売上が伸びているようです。

テレビなどでも若者のアルコール離れが話題になることも多いですよね。

アルコールが入っていない商品であれば犬猫が舐めたり飲んだりしても大丈夫なのかな?と考える方もいるかもしれません。

しかしアルコールが入っていなくても、ノンアルコールビールには犬や猫にとって危険な要素があるので飲ませてはいけません。

原材料に使われるホップの危険性

ホップ

 

 

 

 

 

ビールといえばすぐに思い浮かぶのが、原材料に使われる『ホップ』という植物でしょう。

ビールの特徴ともいえる香りや苦み、そしては泡の安定はホップによってつくられており、ビールを作るうえで欠かせない存在です。

ノンアルコールビールにもほとんどの商品に使用されています。

このホップは犬猫が中毒症状を引き起こす危険性がある植物です。

ホップの主な毒性成分

ホップには、エッセンシャルオイル 、フェノール化合物、窒素化合物などさまざまな化合物が含まれています

これらの化合物またはその代謝産物は、犬や猫に健康被害を引き起こす可能性があります。

ホップの摂取で起こる中毒症状例

  • 顕著な高熱
  • 不安
  • 頻脈
  • 頻呼吸
  • 喘ぎ
  • 嘔吐
  • 腹痛

ホップを摂取すると数時間以内に臨床症状が見られる場合が多く、一番の特徴は高熱の発症です。

上記の症状例以外にも、筋肉の壊死を示唆する暗褐色の尿が観察されるケースもあるようです。

ホップの摂取は死亡率が高い危険なものなので、ホップが含まれるものを摂取した場合にはできるだけ早く動物病院へ相談し、獣医師の指示に従うようにしましょう。

犬におけるホップ中毒の好発種

ホップの摂取による健康被害はどの犬種でも影響を受ける可能性があると考えられていますが、特に悪性高熱症にかかりやすい犬種がいるといわれています。

  • グレイハウンド
  • ラブラドールレトリバー
  • セントバーナード
  • ポインター
  • ドーベルマン
  • ボーダーコリー
  • イングリッシュスプリンガースパニエル
  • ノーザン犬種

上記の犬種が好発種として挙げられますが、これらの犬種に限らずどの犬種であってもホップの摂取による健康被害の懸念は十分にありますので、絶対に与えないように注意しましょう。

猫の場合

猫に関するホップ中毒の好発種や、ホップの摂取による健康被害の報告や研究結果等はあまり見かけません。

しかし、犬に対しては死亡率が高い中毒が起こることがあることから、猫にとっても好ましいとは言い難い植物でしょう

ホップは元々クワ科に分類されていましたが、植物としての特徴から現在ではアサ科の植物に分類されています。

クワ科には犬猫にとって危険であるイチジク、アサ科には大麻があります。

クワ科、アサ科の植物の全てが危険であるわけではありませんが、当サイトでは猫に積極的に摂らせる必要はない植物であると考えます。

園芸用や食品のホップにも注意しましょう

この記事ではノンアルコールビールについて解説していますが、ビールテイスト飲料に欠かせないホップは、緑のカーテンとして園芸店で売られていることがあります。

また、食用にハーブとして販売されていることもありますので、植物や食品としてのホップにも注意は必要です。

ノンアルコールビールに含まれるホップはもちろん、植物やハーブとしてホップが含まれる食品も犬猫にとって危険なので、誤食がないように注意が必要です。

ホップの基本情報

学名:Humulus lupulus
和名:セイヨウカラハナソウ(西洋唐花草)
科名 / 属名:アサ科 / カラハナソウ属
花言葉:「希望」「信じる心」「天真爛漫」「軽快」「不公平」「不正」「不法」

商品によっては微量にアルコールが入っている物もある

ひとくちにノンアルコールビールといっても、アルコールを完全に含まない商品ばかりではありません

現在、国税庁によれば、アルコール度数が1%以上のものが酒類に分類され、アルコール度数が1%未満のものはノンアルコール飲料として販売ができるようになっています。

そのため、ノンアルコール飲料としてアルコール度数0.00~0.99%までのものが販売できるようになっていることから、必ずしもアルコール度数0%のものばかりではないといえます。

ノンアルコール飲料は人間(成人以上)しか飲むことを想定していないため、0.00~0.99%は少しの差のように感じますが、少量のアルコールが命取りになる可能性がある犬猫にとって危険な量と考えられます。

現状として、飲酒運転の厳罰化もあり、アルコールを全く含まないアルコール度数0.00%のものをノンアルコール飲料と呼ぶ事が主流となっています。

各メーカーからも0.00%のノンアルコールビールの販売が多くなっていますが、必ずしも0.00%ではない可能性は念頭に置いておくといいでしょう。

ノンアルコールビールを誤飲してしまったら

上記で解説したように、犬猫が中毒症状を起こす可能性があるので誤飲には十分に注意が必要です。

しかし、犬猫は好奇心旺盛で、少し目を離した隙に口にしてしまうこともあるでしょう。

もし愛犬愛猫がノンアルコールビールを誤飲してしまった場合、飲んでしまったノンアルコールの成分表を確認しましょう。

ホップの使用はほとんどされているでしょうが、念のためアルコール度数の確認をすることも大切です。

商品の表示をメモしたり、写真を撮るのもいいでしょう。

そのうえで、どの程度の量を飲んでしまったのか、また飲んでからの時間の経過や体調に異変が起きているかどうかを記録しましょう。

ホップは犬の場合、死亡率が高い中毒症状を起こすことが知られていますので、情報を確認、記録したうえで、できる限り速やかに動物病院へ相談し、獣医師の指示に従うようにしましょう。

猫に関するホップの中毒性は不明な点も多いですが、犬と同様に情報の記録を行い、速やかに動物病院へ相談することをおすすめします。

まとめ

ノンアルコールビールには、原材料に犬猫(特に犬)にとって危険なホップと呼ばれる植物の使用がされているので、たとえアルコールが含まれていなくても飲ませてはいけない飲み物です。

ホップが含まれているものを摂取した場合、悪性高熱の発症や、呼吸や脈の異常、嘔吐、腹痛などの症状が現れ、最悪のケースでは死に至るとの報告があります。

また、現在ではアルコール度数0.00~0.99%のものがノンアルコール飲料として販売できるので、完全にアルコールが含まれないものばかりではないことから、微量のアルコールが犬や猫の健康を害する場合もあります。

ホップも、アルコールも犬や猫にとっては危険な存在であるため、犬や猫に飲ませないのはもちろん、誤飲がないように十分な注意が必要です。

参考:犬や猫にとって有毒な家庭用食品

参考:North Carolina Extension Gardener Plant Toolbox

参考:ASPCA(米国動物虐待防止協会)

参考:みんなの趣味の園芸(NHK出版)

スギさん@マッサンペットフーズ

株式会社ヒューマル マッサンペットフーズの公式WEBサイト「マッサンのペットフードの学校」の開設時から運営に参画しています。6年間の学びを生かしてペットレシピ.jpにも執筆しています。

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