愛犬・愛猫に与える油揚げについて
きつねうどん・いなり寿司・お味噌汁の具材など日本人の食卓では定番の油揚げ。
油揚げは薄くした豆腐を油で揚げたもので、室町時代にお坊さんが作ったのがルーツといわれています。
仏教では動物を殺すのが禁止されていたため、野菜などを中心とした精進料理でした。
そこでお肉が食べられないお坊さんがなんとかして豆腐を肉に近づけようとしてできたのが油揚げです。
一般的に広まったのは江戸時代中期と言われています。
今回は「油揚げは犬猫は食べても大丈夫なのか?与え方や注意点」について解説します。
犬や猫は油揚げを食べても大丈夫!
犬猫は油揚げを食べても大丈夫です。豆腐で出来ているものなので犬猫が食べても問題ありません。
ですが油揚げを犬猫に与える際に注意しなければいけないポイントがあります。
油分は大丈夫?
油揚げを犬猫に与える際に一番心配なのは油分だと思います。豆腐を油で揚げたものですのでもちろん油は結構含まれています。
なので与えすぎには注意しましょう。肥満や体調不良の要因となる可能性があります。
食べても大丈夫な量
あくまで目安ですが、犬の場合は1日の食事量の10%程度が上限と考えておきましょう。1日の食事量が200gの場合は油揚げは20gまでといった感じです。
猫の場合は消化不良を起こさないように普段のフードのトッピング程度と考えておきましょう。
子猫・子犬・老猫・老犬には与えない方がいい
子猫・子犬は消化器官がまだ未発達なこともあり、油っこいものは負担になってしまうことも。
老猫・老犬は消化器官が弱っていることもあると思うので念のため油揚げは与えない方がいいでしょう。
そのまま食べさせて大丈夫?
犬猫に油揚げはそのまま食べさせない方がいいです。
買ってきた状態の油揚げは表面に油がたくさんついていてとても油っこいです。一度ゆがくなどして油抜きをしてあげましょう。
食品成分表 八訂によると「油揚げ 生 可食部100gあたり」の脂質は31.2gに対し「油揚げ 油抜き ゆで 可食部100gあたり」の脂質は12.5gと約三分の一ほどになっています。
油揚げといえばきつね?
油揚げと聞いて連想する動物といえばきつねですよね。なぜ油揚げといえばきつねなのでしょうか?
実はきつねが好む油揚げは元々豆腐を揚げたものではありませんでした。日本では古くから農耕の文化があり、農作物を荒らすネズミはとても厄介者でした。
逆にそのネズミを好んで食べるきつねは人々にとってとてもありがたい存在でした。
そこで当時の人々はキツネを神として崇め、キツネの巣穴の前に油で揚げたネズミをお供えしていたといわれています。これが「油揚げ」のはじまりです。
その後、日本に仏教が広まり肉食や殺生が良くないという考え方が広まり、豆腐を揚げた油揚げを供えるようになったんだそうです。
油揚げに含まれる代表的な栄養素
油揚げ 油抜き ゆで 可食部100gあたり
栄養素 | 含有量 |
---|---|
エネルギー | 164kcal |
たんぱく質 | 12.3g |
脂質 | 12.5g |
炭水化物 | 0.1g |
カルシウム | 140mg |
リン | 180mg |
マグネシウム | 59mg |
参考資料:八訂 食品成分表 2022
たんぱく質
油揚げは大豆から出来ているだけあってたんぱく質が豊富に含まれています。
油揚げに含まれているのは肉や魚の動物性たんぱく質とは違い植物性たんぱく質ですが
犬猫は動物性たんぱく質も植物性たんぱく質も変わらず摂取できることがわかっているので問題ありません。
たんぱく質は体をつくる上でとても重要な栄養素です。皮膚も骨も内臓もたんぱく質で出来ています。しかし、過剰に摂取すると肥満の原因にもなりますので注意しましょう。
カルシウム・マグネシウム・リン
油揚げにはカルシウム・マグネシウム・リンといったミネラルが含まれています。これらのミネラル3つは力を合わせて丈夫で健全な歯や骨を作ってくれます。
また、カルシウムとマグネシウムは筋肉の正常な動きに関与し、リンは細胞レベルでのエネルギー生成に役立ちます。
カルシウムの過剰摂取は骨格異常やカルシウム結石のリスクがあります。マグネシウムの過剰摂取はストルバイト結石のリスクがあります。
リンは通常、不要な分は尿と一緒に体外へ排出されますが腎機能が衰えた犬猫はリンの排出が上手く行えずリンが血液中に蓄積されていってしまいます。
血液中のリンの濃度が過剰になるとパラソルモンというリンとカルシウムを調整するホルモンが働きます。
パラソルモンはリンの血中濃度を下げる信号を出すと同時に骨を溶かしてカルシウムを放出させ、腎臓でのカルシウムの再吸収を促進するという働きがあります。
しかし、腎機能が衰えている犬猫はリンの排出が出来ないのでどんどん骨からカルシウムが取り出され骨が弱くなり腎臓ではカルシウム結石が出来てしまいます。
こういったことが原因で老猫・老犬や腎機能に不安がある犬猫にはリンの制限が必要だといわれるのです。
犬や猫に油揚げをあげる際の注意点
油揚げは犬や猫が食べても大丈夫な食材ですが、油揚げを与える際にはいくつかの注意点があります。
油分・カロリーに注意
油揚げはたんぱく質豊富ですが油分が多くハイカロリーな食材です。
肥満や体調不良の原因にならないよう、適切量を守りましょう。
無理に食べさせなくて大丈夫
犬猫に油揚げを与えても食べるとは限りません。特に猫の場合は肉食動物なので植物である大豆からできた油揚げを好まないということもあるでしょう。
犬猫が食べたがらない場合は無理に食べさせる必要はありません。強要しないようにしましょう。
アレルギーは大丈夫?
犬猫は油揚げのもとである大豆にアレルギーを持っている場合があります。初めて与える場合はごく少量にして様子を見ましょう。
皮膚や口周りの赤みやかゆみ・腫れ等が見られた場合すぐに与えるのを辞め、症状がひどくなる場合は動物病院へ行きましょう。
犬や猫にあげる油揚げのレシピ
前述したとおり犬猫に油揚げを与える場合は油抜きをしてあげましょう。
人間が食べる場合は油揚げにお湯をかけるなどしてできるだけ余計な水分を吸わせず油揚げの形を崩さないように油抜きする方法がありますが
犬猫に与える場合はお湯でゆがいてできるだけたくさん油を落としてあげましょう。柔らかくなり消化にも良くなって一石二鳥です。
油抜きが終わったら水分を絞ってよく冷まします。熱いまま与えると犬猫がやけどをするのでやめましょう。
冷めたら細かく刻んでフードの上に適切量をトッピングしてあげましょう。
【まとめ】犬猫は油揚げを食べても大丈夫
犬猫は油揚げを食べても大丈夫ですが以下の点には注意しましょう。
・そのまま与えず油抜きをする
・脂質過剰・カロリー過剰にならないように適切量を守る
・犬猫が食べなかったら無理に与えない
今回は油揚げについて紹介しました。油揚げは注意点を守れば犬猫が食べても大丈夫な食材です。
くれぐれも与えすぎには注意して普段のフードにちょい足しで与えてみてください。