りんごは犬や猫が食べても大丈夫な果物なので、そのりんごから作られるりんごジュースも犬猫が飲んでも大丈夫だろうと考える方も少なくないのではないでしょうか。
りんごジュースを与えても大丈夫かは犬と猫で状況が変わります。
りんごジュースは与えても大丈夫?
果物のりんごは犬猫が食べても大丈夫な食材です。
そのため、りんごジュースも与えても大丈夫と言えそうですが、当サイトでは積極的に飲ませても大丈夫とは言い難いと考えます。
ただし、犬と猫では状況が少し変わります。
犬の場合
犬はきちんと商品を選び、与えすぎなければ飲んでも大丈夫といえます。
猫の場合
猫は犬に比べて糖の代謝が苦手です。
そのため、りんごをそのままたべるよりも少量で多くの果糖が摂れてしまうりんごジュースは、猫には基本的に与えない方がいいと言えるでしょう。
ただし、少しだけ舐めてしまった程度で重篤な問題が起こる事は考えにくいので慌てる必要はないでしょう。
犬にりんごジュースを与える際の注意点
商品の表示をチェックしよう!
上記で犬は飲んでも大丈夫と解説しましたが、どのりんごジュースでも大丈夫というわけではありません。
まず最初に注意すべきは果汁100%ではないりんごジュースです。
パッケージにりんごジュースと記載があっても、果汁10%や1%のものもあります。
このような果汁の含有量が少ない飲料の場合、果汁を希釈したものに砂糖などを加えて製造されているため、犬へも与えるべきではありません。
果汁100%でも安易に犬に飲ませても大丈夫とは言い難いので、どうしても水分補給をさせたいときなど、必要な場合のみにしましょう。
「果汁100%」表示だけで判断しないで!
りんごジュースを含む果物を原料とした果実飲料は個別で表示法が定められており、パッケージに記載されている食品表示によってその製造方法の違いなどが分かるようになっています。
果汁100%と記載があっても、原材料がりんごだけのものもあれば砂糖などが加えられている商品もあります。
まず、果汁100%のジュースには「ストレート」と「濃縮還元」という製造方法があり、この両者を区別するために表示が義務付けられています。
ストレート
果実の搾汁のみを使用したものです。「りんごジュース(ストレート)」と表示されます。
加糖されている物は「ストレート」と表示できない食品表示の決まりがあります。
果実の搾汁に加糖したものは「果実飲料」という表示になります。
濃縮還元
絞った果汁を、加熱や真空状態、凍結させるなどして水分を飛ばし濃縮させたものに再び水分を加え元の濃度に還元させたものです。
濃縮還元の場合、元の濃度に還元させる際の工程で砂糖やはちみつなどを加える場合があります。
加糖されている場合には「加糖」と表示しなければいけないので、表示を確認すればわかるようになっています。
上記のように、同じ100%の記載があってもストレートと濃縮還元では製造方法が大きく異なります。
全ての濃縮還元で加糖されるわけではないので、犬に与えようと考える場合にはストレートのりんごジュースを選ぶか、濃縮還元であれば表示や原材料を確認し加糖されていないものを選ぶといいでしょう。
参考:果実飲料品質表示基準
手作りりんごジュースの注意点
ご自身で生のりんごからりんごジュースを作って与える場合には、必ず種や芯、皮を取り除いたものを使用しましょう。
特にりんごの種には犬や猫が中毒症状を引き起こす成分が含まれているので要注意です。
また、芯や皮は消化に悪いのでこれらも取り除くべきであると考えます。
種や芯、皮を取り除いたものをすりおろして水で薄めたものを用意するか、水と一緒にミキサーで攪拌すれば簡単にりんごジュースが手作りできます。
生のりんごは酸化しやすいので、作ったらできるだけすぐに与えるといいでしょう。
与えすぎはNG!肥満の原因になることも
犬に与える際には加糖されていないものを選ぶといいと解説しましたが、加糖されていなければ欲しがるだけ与えてもいいというわけではありません。
りんごには果糖が含まれています。
ジュースは果物を絞ったものなので、同じ重さで比べればりんごをそのまま食べるよりも多くの果糖を摂取することになります。
エネルギー源として有効な果糖ではありますが、摂りすぎてしまった場合、果糖は肝臓で中性脂肪に合成され肥満の原因となる恐れがあります。
りんごジュースの食品成分
重量100gあたり | エネルギー | たんぱく質 | 脂質 | 利用可能炭水化物 (単糖当量) |
---|---|---|---|---|
りんごジュース(ストレート) | 43kcal | 0.2g | 0.1g | 10.8g |
りんごジュース(濃縮還元) | 47kcal | 0.1g | 0.2g | 10.4g |
※利用可能炭水化物(単糖当量)は、エネルギーへの換算を容易にするために、消化性の高い炭水化物(=利用可能炭水化物)である、でん粉、ぶどう糖、果糖、しょ糖等の成分値を、単糖に換算後、合計した値です。
カロリーだけをみれば高カロリーではないと考えられますが、上記で解説したようにりんごジュースには果糖が多く含まれているので、与えすぎてしまうと果糖の過剰摂取になってしまいます。
1日あたり多くても大さじ5杯(75ml)程度、小型犬であれば大さじ1~2杯程度にし、与える際には水で薄めるといいでしょう。
これはあくまで目安なので、初めて与える際にはごく少量から試し、体調不良やアレルギーなどがないかしっかりと観察をしてから与える量を見極めてあげましょう。
また、一日当たりと記載しましたが、毎日与えることを推奨するわけではありません。
時々のおやつ代わりや水をあまり飲まない時に水分補給を促すアイテムとして使用する程度にするといいでしょう。
犬がりんごジュースを飲むメリット
抗酸化力が高いポリフェノールを含む
りんごに含まれるポリフェノールをまとめて「リンゴポリフェノール」と呼びます。
このリンゴポリフェノールは極めて強い抗酸化作用を持ち、最近の研究では抗アレルギーや抗がん、脂肪吸収抑制など様々な作用が認められるようになりました。
与え過ぎは良くありませんが、りんごジュースにもポリフェノールは含まれているので、時々少量を与えるのはポリフェノールの摂取による健康的効果が期待できます。
カリウムが豊富に含まれる
りんごジュースにはカリウムが豊富に含まれています。
カリウムは利尿作用が期待でき、尿によって塩分(ナトリウム)を排出する事で塩分の摂り過ぎを調節する重要な役割を果たします。
他にも血圧を下げる効果も期待されています。
ただし、腎臓病の疾患がある場合には高カリウム血症の原因となる危険性もあるのでカリウムの摂取量には注意が必要です。
まとめ
りんごジュースは犬には少量であれば与えても大丈夫ですが、猫は糖の代謝が苦手なため与えない方がいいでしょう。
犬に与える場合も肥満などの原因となるので少量を水に薄めて与える程度に控え、毎日のように与えるのはやめておきましょう。
りんごジュースには中毒症状を引き起こすような成分は含まれていないため、猫が少量舐めてしまったなどの誤飲があっても慌てる必要はありません。
しかし、犬猫どちらにも食物アレルギーの可能性はありますのアレルギー症状が出ていないか注意観察は怠らないようにしましょう。
参考:食材大全(NHK出版)
参考栄養大全(NHK出版)