愛犬・愛猫に与える小豆について
あんぱん・たい焼き・おはぎ・おまんじゅう。さらには枕になったりなど、小豆は日本人の生活にとても身近なものです。
そんな小豆は犬猫は食べても大丈夫なのでしょうか。
今回は「犬猫は小豆を食べて大丈夫なのか?与える際の注意点」などについて解説していきます。
犬や猫は小豆を食べても大丈夫!
犬猫は小豆を食べても大丈夫です。愛犬や愛猫と一緒に小豆を楽しむことはできます。
ですが小豆は犬猫に与える際に注意しなければいけないポイントがあります。
あんこやおしるこは食べても大丈夫?
小豆といえばあんぱんやたい焼きに使われているあんこの状態で食べる機会が多いと思います。
結論から言うと犬猫はあんこを食べても大丈夫です。しかし、砂糖を使っていないものに限ります。
市販されているあんこやたい焼きなどに使われているあんこは砂糖がたっぷりと使われている場合がほとんどです。
このような人間用の甘いあんこは犬猫に与えないでください。多すぎる糖分は肥満や糖尿病の原因になります。
おしるこについても同じで砂糖を使用しなければ犬猫が食べてはいけないものは入っていません。
行事食としての小豆
日本では昔からの風習でおしるこや小豆粥を食べる日があるので紹介します。
おしるこやぜんざいを食べる1月11日
1月11日はお正月に神様に供えていた鏡餅を下げて割る鏡開きの日です。昔からこの日におしるこやお雑煮を食べる風習があります。
小豆の赤色は魔除けの色と言われ、厄除けの力があるとされていました。お盆におはぎを供えるのもそのためです。
鏡開きの日におしるこやぜんざいを食べるのはお餅と一緒に厄除けの力がある小豆を一緒に食べることで縁起が良いとされてきたためです。
小豆粥を食べる1月15日
1月15日は「小正月」といわれお正月を締めくくる日とされています。
この小正月には小豆とお米を炊いた「小豆粥」「十五日粥」と呼ばれるものを食べる風習があります。
これも鏡開きの日におしるこやぜんざいを食べるのと同じで厄を払うという意味があるようです。
腎臓への影響は?
小豆は昔から「腎の薬」と呼ばれ、腎不全などの病気に効果があると言われてきましたが、残念ながら科学的根拠はありません。
むしろ小豆にはカリウムが含まれています。腎機能が衰えた犬猫はカリウムを上手く体外へ排出することができず「高カリウム血症」のリスクがあります。
腎機能に問題のある犬猫に小豆を与えるのは控えた方がいいでしょう。
小豆に含まれる代表的な栄養素
全粒 ゆで 可食部100g当たり
栄養素 | 含有量 |
---|---|
エネルギー | 124kcal |
たんぱく質 | 7.4g |
脂質 | 0.3g |
炭水化物 | 18.3g |
食物繊維総量 | 8.7g |
カリウム | 430mg |
鉄分 | 1.6mg |
参考資料:八訂 食品成分表 2022
たんぱく質
たんぱく質は皮膚・内臓・骨・被毛など犬猫の体をつくるうえで欠かせない栄養素です。
小豆に含まれるのは植物性たんぱく質なので肉食動物の猫には大丈夫?と思う方もいらっしゃるかもしれませんが犬も猫も動物性たんぱく質、植物性たんぱく質ともに変わらず吸収できることがわかっています。
しかし、たんぱく質は過剰に摂取すると肥満の原因にもなりますので注意しましょう。
食物繊維
小豆には食物繊維が豊富に含まれています。
食物繊維は植物に多く含まれるため、草食動物は食物繊維を消化吸収し、エネルギーにすることができますが人間も犬猫も食物繊維を体内に吸収することができません。
そのため昔は不要な成分と考えられていましたが近年では食物繊維が持つ整腸作用などがわかっており注目されています。
食物繊維は不溶性食物繊維と水溶性食物繊維に分けることができます。
不溶性食物繊維は便の体積を増やしぜんどう運動を活発にし、便秘の解消・予防に役立ちます。
水溶性食物繊維は水分を運び便を柔らかくする効果があり、同じく便秘の解消・予防に役立ちます。
整腸作用が嬉しい食物繊維ですが、摂りすぎには注意が必要です。消化吸収できないものなので摂取しすぎると消化不良や下痢を起こしたりする可能性があります。気をつけましょう。
カリウム
カリウムは犬や猫だけでなく多くの生物にとって欠かせないミネラルです。
カリウムの働き
カリウムは同じミネラルであるナトリウムと共に体液の浸透圧の調整や細胞機能の維持をしています。
また、ナトリウムが増えすぎた場合に体外へ排出するのもカリウムの役割です。
カリウムが不足するとどうなる?
総合栄養食のペットフードを与えているとカリウムが不足する心配は基本的にはありませんが、体調不良や老化により食欲不振や嘔吐が続くとカリウム不足になり「低カリウム血症」を発症する恐れがあります。
低カリウム血症になると筋量低下や歩行不全などの症状が現れます。
たくさん摂取しても大丈夫?
通常、摂取しすぎたカリウムは尿と共に体外へ排出されます。しかし、老化などで腎機能が低下した犬猫はカリウムの排出が上手くできず「高カリウム血症」になってしまうかもしれません。
高カリウム血症は最悪の場合死に至る恐ろしい病気です。腎機能が低下している愛犬・愛猫には普段から気を配ってあげてください。
鉄分
鉄は主に血液中に存在し、赤血球のヘモグロビンや筋肉のミオグロビンの成分として、全身に酸素を送る役割をしています。
犬や猫に小豆をあげる際の注意点
小豆は犬や猫が食べても大丈夫な食材ですが、小豆を与える際にはいくつかの注意点があります。
そのまま与えない
小豆を固いまま犬や猫に与えるのはやめてください。犬猫が固い小豆を食べると消化不良を起こしたり喉を詰まらせてしまうかもしれません。
必ず煮込んでから与えましょう。目安は指で押しつぶせる程度の柔らかさです。
皮はできるだけ取ってあげる
小豆を柔らかくなるまで煮込んでも皮は固いまま残っていると思います。この皮も消化不良や喉に詰まる原因になる可能性があるので皮を取ったいわゆる「こしあん」の状態にしてあげるといいでしょう。
アレルギーは大丈夫?
犬猫は小豆にアレルギーを持っている場合があります。初めて与える場合はごく少量にして様子を見ましょう。
皮膚や口周りの赤みやかゆみ・腫れ等が見られた場合すぐに与えるのを辞め、症状がひどくなる場合は動物病院へ行きましょう。
犬や猫にあげる小豆のレシピ
砂糖無し発酵あんこ
【材料】(つくりやすい量です。全量犬猫に与えないでください。)
- 小豆(乾燥) ・・・ 200g
- 米麹(生) ・・・ 200g
- 塩 ・・・ 小さじ1/4
①鍋に水3カップを沸かし、中火にし軽く洗ったあずきを入れる。
②再沸騰したら水1カップを加え、もう一度沸騰したらそのまま茹でる。
③10分ほど経ったら蓋をして火を止め30分蒸らす。蒸らした小豆をざるに揚げて湯を切り、さっと洗う。
④小豆を鍋に戻し、水3カップ加え強火にする。
⑤沸騰したら弱火にして50分ほど茹でる。途中アクが出たら取り除き、水が少なくなったら水を足す。
⑥軽くつまんで潰れる程度の柔らかさになったら煮上がり。※茹で汁は捨てないでください
⑦小豆と茹で汁に分け、小豆をボウルに入れてラップをし60℃程度まで冷ます。※温度が高すぎると酵素が上手く働きません
⑧炊飯器に小豆と米麹を入れ混ぜ、小豆の茹で汁を少しずつ加えながらしっとりするまで混ぜる。
※茹で汁の分量は1/2カップが目安ですが、小豆の状態などによるので、状態を見ながら加減します。
⑨炊飯器の蓋は閉じずにぬれ布巾を2重にかけ、保温機能で10時間保温する。
※途中何度か混ぜ合わせ、布巾をぬらしなおすとよく発酵します。
⑩保温が終わったら塩を加え混ぜて出来上がり。清潔な容器で保存しましょう。
こちらは犬猫だけで無く人間もおいしく食べられるレシピです。
材料に塩が使われていますがほんの少しなので健康な犬猫には問題ない量です。不安な方は愛犬・愛猫の様子を見ながら与えてあげましょう。
【まとめ】犬猫は小豆を食べても大丈夫
犬猫は小豆を食べても大丈夫ですが以下の点には注意しましょう。
・砂糖がたっぷり使われている甘いあんこは与えない
・食物繊維豊富で消化不良の原因になるのでたくさん与えない
・腎機能が弱い犬猫は避けた方がいい
今回は小豆について紹介しました。小豆は注意点を守れば犬猫が食べても大丈夫な食材です。
愛犬や愛猫と一緒におるしこや小豆粥などの行事食を楽しみましょう。