さくらんぼは桜の木になる果実で、甘みと酸味のバランスがよく、初夏を代表する果物のひとつです。小ぶりで可愛らしい見た目から、デザートやおやつとして親しまれています。
さくらんぼはバラ科サクラ属(Prunus 属)に分類され、日本では「佐藤錦」などがよく知られています。この属には梅や桃、杏なども含まれ、果実としては栄養を含む一方で、犬や猫に与える場合には注意点がある果物でもあります。部位や与え方を誤ると健康に影響を及ぼす可能性があるため、正しい知識を持っておくことが大切です。
犬や猫はさくらんぼを食べても大丈夫?
種や茎を完全に除去した果肉部分に限れば、犬や猫が少量を食べること自体は問題ないと考えられています。ただし、
- 栄養的に「与える必要がある食品」ではない
- 食べ過ぎによる消化器トラブルのリスクがある
という点は理解しておく必要があります。
種は絶対に与えてはいけない!茎にも注意
さくらんぼで最も注意すべきなのが、種(特に仁)です。さくらんぼの種子部分には、アミグダリンなどの青酸配糖体が含まれています。
青酸配糖体は、「噛み砕かれる」「消化酵素と反応する」ことで分解され、シアン化水素(青酸)を発生させる可能性がある物質で、シアン化水素(青酸)は、少量でも体調に影響を及ぼす可能性がある物質です。摂取量によっては、命に関わる危険があります。
一方、さくらんぼの茎については、種子ほど明確に青酸配糖体を多く含むというデータは確認されていませんが、「非可食部であり、消化できない」「誤飲による喉・食道・消化管の詰まりや刺激のリスク」があるため、与えないように注意が必要です。
何個までなら大丈夫?目安はある?
明確な「安全な個数」は決められていない
犬や猫における「さくらんぼの安全な摂取量」を定めた、公式なガイドラインや獣医学的な基準は現時点で確認できていません。果肉のみであれば少量を口にできる場合があると考えられていますが、どの程度までなら安全と言い切れるかを明確に示すことは難しいのが現状です。そのため当サイトでは、「さくらんぼは与えても大丈夫」と断定的にお伝えすることはできません。
また、さくらんぼにはソルビトール(糖アルコール)や果糖(フルクトース)が含まれており、これらを過剰に摂取すると、下痢や軟便、消化不良などの消化器症状を引き起こす可能性があります。以上を踏まえると、さくらんぼを与えたい場合でも、果肉のみをほんの少量にとどめ、頻繁に与えないことを基本とするのが望ましいと考えられます。
シロップ漬けのさくらんぼはNG
パフェやメロンソーダに使われているさくらんぼは、生のさくらんぼに比べて色が均一で赤みが強く、身もやわらかいため、犬や猫にも与えやすそうに見えるかもしれません。
しかし、こうしたさくらんぼの多くは、缶詰などで販売されているシロップ漬けのさくらんぼです。シロップ漬けのさくらんぼには多量の砂糖が使われており、犬や猫が摂取すると糖分の摂り過ぎにつながります。犬や猫は、砂糖を栄養として摂取する必要がなく、糖分の多い食品は体にとって負担になります。糖分を過剰に摂ることで、肥満や血糖値の乱れにつながるおそれもあるため、シロップ漬けのさくらんぼは与えないようにしましょう。
アメリカンチェリーは大丈夫?
アメリカンチェリーも国産さくらんぼと同じバラ科サクラ属の植物です。
日本のさくらんぼ(佐藤錦など)と同じ分類に属し、学術的には同属内の別系統にあたります。そのため、基本的な注意点(種・茎が危険、過剰摂取に注意など)は国産のさくらんぼと共通です。
アメリカンチェリーは糖分がやや多い傾向があるため、与えたいと考える場合はさらに少量にとどめる必要があるでしょう。
【まとめ】犬猫にはさくらんぼを積極的に与える必要はない
さくらんぼは人にとっては季節を感じられる果物のひとつですが、犬や猫にとって必須の食材ではありません。果肉のみであれば少量を口にできる場合がありますが、どの程度までなら安全と言い切れるかを示す十分な情報はそろっていないのが現状です。
また、さくらんぼの種や茎には青酸配糖体に関わるリスクがあり、誤って摂取すると健康に大きな影響を及ぼすおそれがあります。さらに、果肉についても健康効果を期待して与える食品ではなく、与え方や量によっては消化器への負担になる可能性があります。
こうした点を踏まえると、犬や猫に日常の食事やおやつとして積極的に取り入れる必要はないと考えられます。犬猫にとっては、総合栄養食や安全性が確認されている食材を中心にした食事管理を行うことが、もっとも安心できる選択と言えるでしょう。
参考:Amygdalin content in four stone fruit species at different developmental stages



