ココナッツについて
ココナッツはココヤシの果実で、未熟な果実のかたい種子の中にある胚乳部分を利用します。
周辺の白く固まった部分が生食される所謂ココナッツと呼ばれる食材部分で、未熟時に収穫して使われるものと熟した果実から加工されるもので様々な食材に分けられます。
ココナッツ
上記で解説しましたが、ココナッツと呼ばれる食品は未熟な果実の胚乳部分の白く硬いものを加工したものです。
フレーク状やパウダー状にされている物が多くあり製菓材料としてよく使われます。
ココナッツジュース
ココナッツジュースは、未熟な果実の中に胚乳の中央部分にある透明な液体の事を指します。
ココナッツウォーターと呼ばれることもあり、ミネラルが豊富に含まれている他にもスポーツドリンク同様かそれ以上の電解質を含むとも言われています。
ココナッツミルク
熟したココナッツの胚乳から加工される食材です。
液状のものなのでココナッツジュース(ココナッツウォーター)と混同されがちですが、全く別物です。
ココナッツオイル
ココナッツミルクを煮詰めて、オイルと固形物を分離させて作られます。
ダイエット効果や抗酸化作用、抗菌作用などが期待され、健康志向の高まりから非常に注目された食材です。
ナタデココ
ココナッツの加工品として意外な存在がナタデココ。
ココナッツジュースに水、ナタ菌を加えて発酵させて作られ、成分のほとんどが水分です。
低カロリーで歯ごたえがあり、食物繊維を補うための健康食品として『特定保健用食品』に認可されています。
犬猫はココナッツを食べても大丈夫?
ココナッツには犬猫が中毒症状を引き起こすような有毒な成分は確認されていません。
犬猫用のクッキーやトッピング、保湿用のオイルなどココナッツ製品は多く販売されています。
ココナッツに有毒な成分は含まれていないので、少量の摂取であれば犬猫にに深刻な害を引き起こす可能性は低いでしょう。
しかし、ココナッツやココナッツベース製品に含まれる油脂の影響で、胃の不調・軟便・下痢などを引き起こす可能性がある事も報告されています。
ココナッツ製品はカロリーが高い
製品名 | 100gあたりのカロリー |
---|---|
ココナッツパウダー | 676kcal |
ココナッツミルク | 157kcal |
やし油 | 889kcal |
ココナッツ製品はカロリーが高く、日常的に頻繁に与えてしまうと肥満の原因になることも。
またココナッツやココナッツベース製品を長期間に渡って過剰に摂取させることで、肝リピドーシスなどの肝臓病の原因となるのではないかという懸念もあります。
これらのことから、当サイトとしては犬猫にココナッツ食品を与える場合は注意が必要であり、安易に食べても大丈夫とは言い難いと考えます。
ココナッツオイルはダイエットに効果あり?
ココナッツオイルは人間に対して効率の良いエネルギー源となる事や脂肪蓄積抑制効果などが知られ、肥満の犬猫に対する体重減少効果や中鎖脂肪酸による健康効果についても研究されています。
犬の場合
ココナッツオイルだけではありませんが、L-カルチニンや高繊維等を含むフードを与える事により過体重の犬の体重減少、体重維持期の体調改善がみられたとの研究結果が報告されています。
ただし個々の犬の活動量などのばらつきや体質もあることや、ココナッツオイルのみの研究報告ではないので注意が必要です。
ココナッツオイルの過剰摂取は肝臓や膵臓の疾患の原因となる懸念もありますので、体重のコントロールに使用したい場合は、かかりつけの獣医師に相談することをおすすめします。
猫の場合
ココナッツオイルを添加した食事で副作用等はみられなかったとされるが、人間と同様の有意な違いは認められなかっあり、猫においては今後さらに検討が必要であるとされています。
また猫はカプリル酸を多く含むココナッツオイルを嫌う傾向にあるようで、ココナッツオイルを含む食事は摂取量が減少するという研究報告があります。
そのため体重の減少に繋がりますが、それは食欲不振によるもので猫の健康にとって最適とは言えない結果であると考えます。
参考:カロリー制限期間を超えて減量用フードを与えると犬の体組成と体重増加に対する抵抗力に与える影響
参考:Aversion of the cat to dietary medium-chain triglycerides and caprylic acid
ココナッツジュース(ココナッツウォーター)は与えないで!
ココナッツジュース(ココナッツウォーター)にはカリウムやマグネシウム、電解質が豊富に含まれており、疲労回復や代謝の促進、血圧を下げる効果など様々な健康的メリットがあります。
しかしこのココナッツジュース(ココナッツウォーター)に含まれるカリウムの含有量は非常に多く、犬猫にとっては好ましくないので飲ませてはいけません。
カリウムは余分な塩分を排出し、血圧を下げる働きがある事から健康に良い成分ではありますが、カリウムの過剰摂取は高カリウム血症を引き起こす事があり、最悪のケースでは死に至るほど重篤化するケースもあります。
腎不全など腎臓に疾患がある犬猫は、獣医師の指示によりカリウムの摂取制限をされている場合があるので、特に注意が必要です。
ナタデココは与えない方がいい
ナタデココ可食部100gあたり 参考:食品データベース
ミネラル成分 | 含有量 |
---|---|
ナトリウム | 2mg |
カリウム | 0mg |
カルシウム | 1mg |
マグネシウム | 1mg |
ナタデココはココナッツジュースから作られる食品ですが、ナタデココにカリウムは含まれておらず、他のミネラル類もほとんど含有されていません。
そのほか中毒症状を引き起こすような成分も含まれていませんが、ビタミン類の含有も全くなくお世辞にも栄養価が高いとは言えないものなので、犬猫に積極的に与える必要はありません。
ナタデココは弾力が強く、市販品はシロップ漬けになっている物が多いことから、窒息や消化不良、シロップによる不必要な糖分の摂取に繋がるため、犬猫に食べさせない方がいいと考えられます。
肉球ケアに使用されるココナッツオイル
ココナッツオイルには犬猫が中毒症状を引き起こすような成分は含まれていないので、犬猫の肉球ケア用品にココナツオイルが使用されることが多くあります。
保湿効果が高く、愛犬愛猫とコミュニケーションをとりながらマッサージが出来ますが、犬猫が舐めてしまうことも考え、できるだけ余計な添加物が入っていないものを選びましょう。
稀にアレルギーを起こす犬猫もいるので、初めて使う際にはごく少量から試して発疹などの異変が無いか確認することをおすすめします。
まとめ
ココナッツには犬猫が中毒症状を引き起こすような有害成分は含まれていません。
しかし過剰摂取は油脂の影響から胃の不調・軟便・下痢を引き起こすとの報告がある事や、肥満・肝臓疾患・膵臓疾患などの懸念もあり注意が必要です。
健康維持や脳やてんかんなどの疾患に対する効果に期待がされる部分もあるので、与えたい場合は事前にかかりつけの獣医師へ相談する事をおすすめします。
そのうえで与えるかどうかは飼い主様の判断に委ねられるところにあります。
参考:食材大全(NHK出版)
参考:ASPCA