いちごやかき氷にかけることでおなじみの練乳。
牛乳に砂糖を加えて濃縮したもので、コンデンスミルクとも呼ばれています。
そんな練乳は犬猫に与えても大丈夫なのでしょうか。
犬や猫には練乳を与えないほうがいい!
犬や猫には練乳を与えないほうがいいです。
練乳の原料となっている牛乳や砂糖には犬猫に与えるリスクがあるのでご紹介します。
練乳について
練乳は飛鳥時代に牛乳を煮詰めて作られた「蘇(そ)」という飲み物が起源といわれています。
その後時は流れ、明治時代に牛乳よりも保存性があり貯蔵に便利であることから練乳は広まり、当時は赤ちゃんや子供向けの栄養ミルクとしても使用されていました。
現在販売されているような練乳が作られるようになったのは大正時代で、もともとはミルクキャラメルの原料として使用するために研究がすすめられたようです。
犬猫に牛乳を与えるリスク
犬猫に牛乳を与えると以下のようなリスクがあります。
犬猫は乳糖の分解が苦手
牛乳には糖の一種である「乳糖(ラクトース)」が含まれており、乳糖を体内で分解するには「ラクターゼ」という消化酵素が必要です。
犬猫はこのラクターゼの量がとても少ないため、乳糖を分解できず消化不良を起こしてしまう可能性があります。
人間でも乳製品でお腹を壊しやすい「乳糖不耐症」の方がいますが、体内に保有しているラクターゼの量が少ないためそういった体質になっています。
実は人間が特殊
私たち人間は問題なく牛乳を飲める場合が多いですが、実はこれは哺乳類の中ではかなり珍しいことです。
哺乳類の多くは生まれて間もない頃、母親の母乳で育つため体内にラクターゼを多く保有していて、離乳期を過ぎて母乳が必要なくなるとラクターゼの量は徐々に減少し最終的にはほとんどなくなってしまいます。
しかし人間は長い歴史の中で牛や羊などの家畜を育てそのミルクを飲んできたため、大人になってもラクターゼがあまり減少しないという特殊な進化を遂げたと言われています。
ちなみに地域によっても差があり、昔からミルクを飲むことが多かった北欧生まれの方には乳糖不耐症の方はほとんどいないようです。
犬猫に砂糖を与えるリスク
砂糖は糖質のため犬猫のエネルギーとなりますが、砂糖を与えると以下のようなリスクがあります。
肥満
犬猫が砂糖を摂取すると肥満になる恐れがあります。
丸々と太った犬猫は一見すると可愛いですが肥満には糖尿病や関節炎など他の病気に繋がるリスクがあります。
特に糖尿病は一度かかってしまうとなかなか治らないと言われている病気で予防・対策が重要になります。
高血圧
塩を摂りすぎると高血圧になってしまうのは有名ですが、砂糖を摂りすぎても高血圧の可能性があります。
練乳のパッケージに記載されている原材料の欄を見ると「生乳、しょ糖」と記載されていることが多いです。
この「しょ糖」とはいわゆる一般的な砂糖のことで、果糖とブドウ糖が結合してできています。
砂糖(しょ糖)が体内に入ると果糖とブドウ糖に分かれ吸収されます。
果糖には血圧を上げるホルモンの分泌を促す効果があるため砂糖の摂取も高血圧に繋がる可能性があります。
さらに同時に塩分も摂取していた場合、ブドウ糖には塩分の吸収率を上げる効果があるため更に血圧が上がる原因となってしまいます。
犬猫が練乳を食べないために
練乳は開封前は常温保存、開封後は冷蔵庫での保存が推奨されています。
練乳の容器はチューブ・パウチ・缶など様々な種類がありますがチューブタイプがメジャーかと思います。
チューブは丈夫に作られているとはいえ犬猫が強く噛むと破けたり穴が空いてそこから食べてしまう可能性も考えられます。
そのため練乳を常温保存する際は犬猫の手の届かない場所で保存しましょう。
また、皆様がいちごなどを食べる際に練乳をかけた場合は犬猫にそのいちごを横取りされないように注意してください。
もしも食べてしまったら
練乳は犬猫にとって毒性のあるようなものではないので少し食べただけで重篤化するようなことは考えにくいです。
そのため健康な犬猫の場合は少し舐めてしまった程度であれば様子を見てあげましょう。
乳糖不耐により一時的にお腹が緩くなる可能性はありますがその他に症状が出ていなければ大丈夫だと言えます。
以下のような場合はすぐに獣医師へ相談することをおすすめします。
- 大量に食べた場合
- 下痢が止まらない
- 糖尿病を患っている犬猫が食べてしまった
- 子犬・子猫が食べた
【まとめ】犬猫には練乳を与えない方がいい
犬猫には練乳を与えない方がいいです。
練乳を与えることによるリスクをおさらいしましょう。
- 犬猫は乳糖を分解するのが苦手なので牛乳が含まれる練乳を食べるとお腹を壊してしまう可能性がある
- 練乳には砂糖が含まれており肥満から糖尿病や関節炎などの病気に繋がる可能性がある
- 少し食べただけで重篤化することは考えにくいが獣医師へ相談するのが確実
今回は犬猫が練乳を食べるリスクや注意点について解説しました。
練乳の成分となっている牛乳や砂糖は犬猫の生活に必要のないものなので与えるのは控えましょう。