犬猫はクランベリーを食べても大丈夫!
海外では七面鳥の丸焼きに添えるソースとしてよく知られているクランベリーですが、生のクランベリーはとても酸味が強く生食向きではない果物です。
酸味を苦手とする犬猫は多いため、クランベリーを生で食べる事はあまりないかもしれませんが、基本的にクランベリーには犬猫が中毒症状を引き起こす成分は含まれていないので、犬猫が食べても大丈夫な食材です。
クランベリーには非常に強い抗酸化作用があるポリフェノールや尿路への細菌の付着を抑制する働きが期待される植物酸が含まれていることが知られ、犬猫にとっても健康的メリットが期待される果物です。
犬猫の総合栄養食であるドライフードに使われる事や、犬猫用のおやつ、サプリメントなども販売されています。
クランベリーの栄養や効能、与える際の注意点を解説します。
犬猫にクランベリーを与えるメリット
クランベリーにはポリフェノールやビタミンが含まれているので、アンチエイジングに役立つと考えられています。
クランベリーに期待される様々な健康的メリットについて解説します。
歯周病に効果が期待されるクランベリー
歯周病は犬猫共に口腔疾患のなかで最も多い病気です。
クランベリーには歯周病予防に効くとの情報があり、その効果についての研究報告があるようです。
クランベリーは、齲蝕原性細菌や初期付着細菌の歯面への付着とバイオフィルム形成を抑制するということから、クランベリーの摂取によってデンタルプラークの形成を抑制または遅らせる事ができ、齲蝕や歯周病などの口腔感染症に貢献できるものと思われる。
上記の参考文献からも、歯周病への効果に期待がされています。
クランベリーの摂取だけで歯周病を防ぐことは難しいでしょうが、日々の口腔ケアにプラスして適度なクランベリーの摂取は犬猫の口腔ケアにも活躍してくれそうです。
ただし過剰摂取はシュウ酸カルシウム結石の誘発をしてしまう可能性があるため、おやつや食事のトッピング程度に控えましょう。
プロアントシアニジン
クランベリーの最大の特徴ともいえる栄養素『プロアントシアニジン』。
ポリフェノールの一種で、細胞レベルで酸化を防ぐといわれるほど非常に強い抗酸化作用があります。
プロアントシアニジンには、脂肪蓄積による肥満および血糖調節機能の低下が抑えられるとの研究報告もあり、これらの効果から生活習慣病全般に有効的であるといわれています。
キナ酸
キナ酸はクランベリーに含まれる植物酸のひとつです。
キナ酸は尿を酸性に保つ効果から、尿路への細菌の付着を抑制する働きがあり、昔から尿道炎や膀胱炎への対処を目的に利用されています。
猫は犬やほかの動物に比べて泌尿器系のトラブルが多いことが知られています。
そのため、膀胱炎に効果があるとされているクランベリーのキナ酸は健康維持に役立つと考えられます。
犬にももちろん膀胱炎などの泌尿器系のトラブルは起こる可能性があるので、犬猫ともに有効成分といえるでしょう。
マグネシウム
クランベリーにはミネラルの一種であるマグネシウムが含まれています。
マグネシウムは骨や歯の形成、エネルギー生産、神経伝達、血圧の調整に関わる酵素の働きを助ける効果が期待されてます。
クランベリーを与える際の注意点
人間用の加工品は与えない
クランベリーは犬猫が食べても大丈夫な食材ですが、生食があまりすすめられないほど強い酸味がある果物です。
そのため、人間用に販売されているクランベリーの加工品であるジュースやジャム、お菓子などには酸味を抑えるためにたっぷりの糖分が加えられていることを理解しておく必要があります。
クランベリーはドライフルーツでの販売も多くみられますが、こちらにも糖分を添加しているものが多くあります。
また冷凍食品として加工されている物にも砂糖や他の添加物の存在には注意が必要です。
クランベリーには犬猫に対する健康効果が期待されているため、犬猫用のおやつやサプリメントも販売されています。
おやつやサプリメントを購入される場合には、人間用加工されたクランベリー商品ではなく犬猫用に販売されている物を選んであげると安心です。
シュウ酸カルシウム結石を患っている犬猫にはNG!
ネット上ではクランベリーがストルバイト結石に効く食べ物としてよく見かけますが、これについては情報が混迷しているところがあります。
尿路結石に対してはストルバイト結石の場合に尿中のph値を下げることに期待されたクランベリーなので、もしシュウ酸カルシウム結石を患っている場合などには尿を酸化に傾かせ悪化させてしまう恐れも考えられます。
そのため、シュウ酸カルシウム結石を患っている犬猫には与えないように注意が必要です。
また現在シュウ酸カルシウム結石を患っていなくても、毎日のように過剰にクランベリー摂取させてしまうとシュウ酸カルシウム結石を誘発する可能性が高く考えられますので、与えすぎないように注意しましょう。
アレルギーに注意
クランベリーは特別アレルギーを起こしやすいという食品ではありませんが、どの食材にも絶対はありません。
初めて食べさせる場合には必ず少量から始め、食後は注意観察を怠らないようにしましょう。
クランベリーはツツジ科の植物で、ブルーベリー、ビルベリーなども同じツツジ科です。
クランベリーでアレルギーを起こした場合には同じツツジ科の果物を与えないように注意が必要です。
食後に下痢や嘔吐、発疹などの症状がみられた場合には、早急にかかりつけの動物病院へ相談しましょう。
まとめ
クランベリーは犬猫に対する有害成分は含まれていないので食べても大丈夫な果物です。
強い抗酸化作用を持つポリフェノールや尿路への細菌の付着を抑制する働きのある植物酸が含まれるなどの健康効果が知られ、他にも犬猫ともに悩まされることが多い歯周病の予防効果が期待されています。
ただしクランベリーは生食にはあまり向かないほどの強い酸味があるため、人間用のクランベリーの加工品にはたくさんの糖分が使用されることが多くあります。
人間用の加工品を犬猫に与えてしまうと健康被害を及ぼす危険性がありますので、犬猫用に販売されているものを選び食べさせてあげるといいでしょう。
尿を酸性に傾かせる効果があるため、シュウ酸カルシウム結石を患っている犬猫には与えないように注意しましょう。