愛犬・愛猫に与えるエリンギについて
きのこの中でも平らな傘と太い軸が特徴のエリンギ。きのこの中でも香りやクセが弱く、味にはあまり特徴がありません。
でもだからこそカレー・パスタ・汁物・炒め物などどんな料理にも合い、縁の下の力持ち的ポジションになってくれます。
そんなエリンギでも他のきのこにはない特徴としてコリコリとした食感があります。その食感がアワビに似ていることから「白あわび茸」と呼ばれることもあるそうです。
エリンギの旬は10月~12月といわれていますが現在はほとんどが人工栽培のため一年中おいしく食べることができます。
エリンギを好きな方はたくさんいらっしゃると思いますが犬猫はエリンギを食べても大丈夫なのでしょうか。
犬や猫はエリンギを食べても大丈夫!
犬猫はエリンギを食べても大丈夫です。愛犬や愛猫と一緒にエリンギを楽しむことはできます。
しかし与える量や食べさせ方には注意が必要なので解説していきます。
生で食べても大丈夫?
通常エリンギなどのきのこ類を生で食べることはあまりないと思います。もちろんそのまま食べてもおいしくないというのもありますが、実は生のエリンギには危険な成分が含まれています。
微量に毒性がある
エリンギはきのこの中でも「シアン産生菌」という分類で、微量の青酸化合物という毒性のある成分を含んでいます。
摂取してしまっても命に別状はないほどの量ですが腹痛・嘔吐などの症状を発症することがあります。
加熱すれば大丈夫
エリンギに含まれている毒性のある成分は熱に弱いので加熱することで食べることが出来ます。
犬猫に与える場合ももちろん加熱しましょう。人間の場合生で食べてしまっても腹痛や嘔吐などで済みますが犬猫が食べるともっと重症になるかもしれません。
半生・生焼けに注意してしっかり中まで火を通してあげましょう。
どれぐらいの量食べても大丈夫?
犬猫はどれぐらいの量のエリンギを食べても大丈夫なのでしょうか。与える量を考える上で注意したいのがエリンギに含まれる食物繊維の量です。
エリンギは食物繊維が豊富!
食品成分表 八訂によると「エリンギ ゆで 可食部100g当たり」には4.8gととても豊富に食物繊維が含まれています。ちなみにキャベツの食物繊維は100g当たり1.8gです。
食物繊維は腸内環境改善効果があることで知られる成分ですが、主に植物に含まれる成分なので肉食動物の猫や雑食動物の犬は食物繊維を消化吸収できません。ちなみに人間もできません。
じゃあ摂取しても意味ないのでは?と思うかもしれませんがそうではありません。食物繊維には二種類あってそれぞれちゃんと体の中で働いてくれます。
水溶性食物繊維
水溶性食物繊維は海藻類やネバネバしたものに多く含まれる食物繊維です。体の中を通るときに大腸まで水分を運んでくれます。
それにより便がやわらかくなり便秘解消になるということです。
不溶性食物繊維
エリンギなどのキノコ類に多く含まれている食物繊維はこちらの不溶性食物繊維です。
不溶性食物繊維は便の量を増やし、大腸のぜん動運動を促すといった働きがあります。
摂りすぎには注意
上記の通り消化吸収はされずとも体内でしっかり働いてくれる食物繊維ですが摂取しすぎると逆に便秘や下痢の原因になるので気をつけましょう。
人間の場合も食物繊維の摂りすぎには注意が必要ですが、犬猫は人間より食物繊維の許容量がかなり少ないです。
食べても大丈夫な量は?
最初は犬の場合は5kgの犬で30g程度、猫の場合は小さじ1程度与えてみるのが良いと思います。
そこから便の様子を見て量を調節してあげましょう。エリンギを食べた以降に異常が見られたらそれ以降食べさせるのはやめましょう。
エリンギに含まれる代表的な栄養素
ゆで 可食部100g当たり
栄養素 | 含有量 |
---|---|
エネルギー | 32kcal |
たんぱく質 | 2.0g |
脂質 | 0.3g |
糖類 | 3.0g |
食物繊維総量 | 4.8g |
カリウム | 260mg |
ビタミンD | 2.6μg |
参考資料:八訂 食品成分表 2022
カリウム
カリウムは犬や猫だけでなく多くの生物にとって欠かせないミネラルです。カリウムはナトリウムと共に体液の浸透圧の調整や細胞機能の維持をしています。
総合栄養食のペットフードを与えているとカリウムが不足する心配は基本的にはありませんが
体調不良や老化により食欲不振や嘔吐が続くとカリウム不足になり「低カリウム血症」を発症する恐れがあります。
低カリウム血症になると筋量低下や歩行不全などの症状が現れます。
ではカリウムはできるだけたくさん摂取した方が良いように思えますが例外があります。通常、摂取しすぎたカリウムは尿と共に体外へ排出されます。
しかし、老化などで腎機能が低下した犬猫はカリウムの排出が上手くできず「高カリウム血症」になってしまう恐れがあります。
人間の場合でも腎臓病患者はカリウム制限をしないといけません。高カリウム血症は最悪の場合死に至る恐ろしい病気です。腎機能が低下している愛犬・愛猫には普段から気を配ってあげてください。
ビタミンD
エリンギにはビタミンDが含まれています。ビタミンDはリンやカルシウムの代謝において重要な役割を果たします。
人間や草食動物はこのビタミンDを日光を浴びることで生成することができますが、犬や猫はそれができません。
なので犬や猫にとってビタミンDは食事から摂らなくてはならない重要な栄養素の1つといえます。
β-グルカン
β-グルカンは食物繊維の仲間で、免疫力アップの効果が期待されます。
β-グルカンは体内で悪いことはしませんが体の中に入ったときに免疫細胞に悪者扱いされてしまうのです。
β-グルカンを発見した免疫細胞は退治しようと働きます。そうなることによって免疫細胞が活性化し、免疫力がアップするといった仕組みなのです。
犬や猫にエリンギをあげる際の注意点
エリンギは犬や猫が食べても大丈夫な食材ですが、エリンギを与える際にはいくつかの注意点があります。
細かくしてから食べさせて
犬猫にエリンギを与える場合は消化不良を起こしにくいように細かく刻んでから与えましょう。フードプロセッサーなどでペースト状にしてあげるのも良いです。
細かく刻むことで飲み込みやすくなりのどに詰まらせるなどのリスクを減らすことも出来ます。
味付けはNG
皆さんはエリンギを食べるときに味付けをすると思いますが犬猫に与える場合は人間用に味付けされたものは与えないでください。
人間用の味付けは犬猫にとって塩分過多や糖分過多となることがほとんどです
もちろん塩分も多少は犬猫にとって必要ですし、余分な塩分は尿とともに排出されるようになっています。
しかし犬猫が塩分を摂りすぎるとその塩分を薄めるために水を多く飲んで血液の中に水分を摂り込みます。すると血液量が増えて高血圧の状態になります。
高血圧は心臓や腎臓などの臓器に大きく負担をかけ、さらに毛細血管を傷つけてしまうなど健康を害する原因になるのです。
アレルギーは大丈夫?
どんな食べ物でもアレルギーの可能性は少なからずあるので注意しましょう。
犬猫のアレルギー反応は人間のアナフィラキシーショックのような大きな反応は滅多になく、皮膚の赤みやかゆみなどの場合が多いです。
症状に気づかず与え続けるのは大変危険なので初めて与える場合は少量に抑えて食べた後の様子をよく観察してあげましょう。
皮膚や口周りの赤み・腫れなどが見られた場合はそれ以上与えるのをやめ、症状が悪化する場合は獣医に相談しましょう。
犬や猫にあげるエリンギのレシピ
犬猫にエリンギを与える場合は中まで火が通るようによく茹でたものを細かく刻むもしくはフードプロセッサーでペースト状にしてあげるのがおすすめです。
時に猫の場合は肉食動物ということもあり、そのまま与えても食べないかもしれません。
そんなときは普段与えているフードにトッピングしてあげると食べてくれるかもしれませんが、それでも食べなかった場合は無理に与えるのはやめましょう。
総合栄養食のペットフードを与えていると栄養面に問題はないので無理にエリンギを食べさせる必要はありません。
【まとめ】犬猫はエリンギを食べても大丈夫
犬猫はエリンギを食べても大丈夫ですが以下の点には注意しましょう。
・生のエリンギには毒性のある成分が含まれている
・食物繊維が原因で消化不良を起こす可能性があるので与えすぎない
・アレルギーに注意
今回はエリンギについて紹介しました。エリンギは注意点を守れば犬猫が食べても大丈夫な食材です。
手作りフードのレシピに加えてみてください。