犬猫はごまを食べても大丈夫!不飽和脂肪酸は腎臓病に効果あり?栄養と注意点を解説

犬猫はごまを食べても大丈夫!

私たちが普段口にしているごまは、ごまという植物の種子です。

白ごま、黒ごま、金ごまに分類されていて3000種類ほどあるといわれています。

世界三大美女のクレオパトラも美を保つためにごまを欠かさず食べていたといわれているほど、ごまには美容効果や健康効果が期待されています。

健康的効果が期待できるこのごまには、犬猫にとって有害とされる成分は含まれていないので、犬猫が食べても大丈夫な食材といえます。

その栄養や注意点を解説します。

栄養を吸収するためには『すりごま』や『刻みごま』がおすすめ

ごまはその小さな粒の中に、健康的メリットがある栄養をたくさん含んでいます。

しかし、ごまの種皮は硬いので粒のまま食べても消化吸収をほとんどされずに便として排出されてしまうこともしばしば。

ごまに含まれる栄養を効率よく吸収させるためには、すりごまや、包丁などで刻んでから犬猫にたべさせてあげると良いでしょう。

漢方に使われるのは黒ごま

ごまの種類の中でも、主に漢方に用いされるのは種皮にアントシアニンが含まれる黒ごまです。

人間用ではありますが、かゆみが強い慢性の皮膚疾患に用いられる処方薬である『消風散』に使われています。

また、『紫雲膏』などの軟膏の基材としてごま油が使われるなど、皮膚への健康効果が期待されるものとしてごまが使用されています。

ごまを与えるメリット

ごまの成分の半分以上は不飽和脂肪酸!腎臓病予防に期待

ごまの半分以上を占める成分としてリノール酸やオレイン酸といった不飽和脂肪酸があります。

この不飽和脂肪酸は植物や魚の脂に多く含まれるもので、体内では合成できないものですが、犬猫は基本的に肉食で摂取されるのは動物性の脂に含まれる飽和脂肪酸に偏りがちです。

飽和脂肪酸も重要なエネルギー源ではありますが、摂りすぎると血中総コレステロールが増加し、心筋梗塞をはじめとする循環器疾患のリスクが増加することが予想されています。

不飽和脂肪酸は血中の脂質低下作用や、抗血栓、抗動脈硬化、腎臓病の進行を防ぐことが期待される栄養素であり、高脂血症が疑われる際にはリノール酸などが含まれる多価不飽和脂肪酸のサプリメント療法が行われることもあります。

ペットフードや手作りご飯にトッピングとして少量のごまを活用すれば、野菜が苦手な犬猫でも不飽和脂肪酸の摂取が容易に出来るのでおすすめです。

参考:犬猫における高脂血症

参考:不飽和脂肪酸(厚生労働省)

参考:脂質による健康被害

食物繊維豊富で便秘改善!

ごまには不溶性の食物繊維が多く含まれています。

この不溶性食物繊維は保水性が高いので、胃や腸で水分を吸収して大きく膨らみ、腸のぜん動運動を活発にしてくれます

そのため、便通が促進されて便秘の改善に役立ちますので、便秘に悩む愛犬、愛猫の食事にプラスワンですりごまや刻みごま食べさせてあげると良いかもしれません。

ごま特有のポリフェノールで老化防止に期待!

ごまに含まれるセサミン、セサモリン、セサモールといったポリフェノールをまとめてゴマリグナンと呼びます。

このゴマリグナンは脂溶性の抗酸化物質で、体内の有害な活性酸素を消去する働きがあるといわれています。

この活性酸素を消去する働きは老化防止の効果が期待できることで有名ですが、がんや動脈硬化、心筋梗塞の予防に効果があるとも考えられています。

また、ゴマリグナンはエストロゲンに類似した性質があるため、ホルモンバランスを整える働きも期待されています。

ごまの栄養

リノール酸

ごまに含まれるリノール酸については不飽和脂肪酸である事を上記で解説しましたが、その中でも多価不飽和脂肪酸のn-6系脂肪酸に分類されます。

このn-6系脂肪酸であるリノール酸は血中コレステロールの低下が期待でき、更に体内でアラキドン酸を作り出す事で知られています。

オレイン酸

ごまに含まれるオレイン酸については上記で不飽和脂肪酸である事を解説しましたが、その中でも一価不飽和脂肪酸に分類されます。

この一価不飽和脂肪酸であるオレイン酸は、高コレステロール、高エネルギーな食事等によって過剰に増えた悪玉コレステロールを抑制する効果が期待されています。

セサミン

上記の与えるメリットでも解説したように、ごまにはポリフェノールが含まれており、その中にセサミンも含まれています。

ごまの栄養と言えばセサミンが最も広く知られる栄養ではないでしょうか。

人間用のサプリメントでも有名なほど、アンチエイジング効果や、コレステロール値、血圧を正常に保つ効果が期待されています。

また、肝機能を高める効果や抗炎症作用があるといわれており、慢性炎症や慢性的な疾患などの改善や予防につながる可能性も期待されているようです。

参考:セサミンの抗炎症効果に関わる分子的作用機構を世界で初めて解明

ビタミンB1、B6

ごまにはビタミン類のなかでもビタミンB1 とB6が多く含まれています。

B1は糖質をエネルギーに換えたり、疲労物質を作りにくくする働きがあり、B6は免疫機能を健全に保ち、皮膚の抵抗力の増進にも役立ちます。

カルシウム

ごまにはカルシウムも多く含まれることが知られています。その含有量はなんと牛乳の10倍以上とも言われています。

カルシウムは、犬猫の骨格を強化する骨や歯の構成に必要不可欠な栄養素です。

ほかにも神経を安定させる、抗ストレス作用も期待されています。

ごまを与える際の注意点

ごまは意外と高カロリー

冒頭で不飽和脂肪酸について健康的なメリットを解説しましたが、健康的な油といっても、油分として高カロリーである面があります。

市販の練りごまの瓶を確認するとよくわかるのですが、その瓶の中には多量な油が入っていて、これはごまをすりつぶすことで出てきたごま自身の油です。

いりごまのエネルギーは可食部100gあたり605㎉。

犬猫に100gを一度に食べさせる事は考えにくいですが、大さじ1杯(15g)にしても約90㎉程度と、決して低カロリーとは言えず、過剰摂取は肥満の原因となってしまいます。

カロリー面から考えると、ごまは1日に大型犬中型犬であれば小さじ1~2杯程度で十分といえ、小型犬や猫に関しては小さじ1/2杯以下に控えると良いでしょう。

消化不良を起こす可能性

ごまに含まれる不溶性の食物繊維は過剰摂取すると消化不良による下痢などを引き起こしてしまう可能性もあるので、あくまで普段の食事にトッピングする程度に控え、日常的に多量に与える事は控えましょう

アレルギー

犬や猫にもごまでアレルギーを発症する場合があります。

ごまを食べた後に、下痢や嘔吐、口回りや体を痒がるなどアレルギーが疑われる症状を引き起こした場合には、速やかの動物病院へ連絡し、獣医師に相談しましょう。

アレルギーは、重篤な場合には呼吸困難や意識障害を起こすなどの命に係わる症状が出ることもあります。

ごまだけに限らず、初めて食べさせる食材はごく少量から与えて食後の様子には十分に注意しましょう。

ごまを使った加工品

風味の良さや、健康的効果かからごまを使った加工品は多く市販されています。

人間用に加工されたごまドレッシング、ごませんべい、胡麻豆腐、ごまプリン等は味付けも濃く、その塩分や糖分は犬猫にとって健康的ではありません。

また、ドレッシングなどの調理、調味に使うものの中には中毒症状を引き起こす可能性がある食材が使われていたり、ごま自体が油分が多く高カロリーであるのに、更に別の油をプラスしていたりと犬猫に健康被害を及ぼす可能性があるものもあります。

『ごま』と名前がついていると、健康に良さそうなイメージが浮かびますが、人間用に加工したものは基本的に犬猫に与えないようにしましょう。

黒ごまきな粉は食べても大丈夫?

昨今では健康志向の高まりにより、日常的に使いやすく加工した黒ごまきな粉のようなきな粉と混ぜられたものが売られているのをよく目にします。

上記のように塩や砂糖、そのほか調味料などで味付けをされたものは与えるべきではないと考えますが、きな粉は大豆を炒って粉砕されただけの製品で、犬猫が食べても大丈夫な食材です。

シンプルなすりごまときな粉を合わせただけの製品であれば犬猫が食べても大丈夫と言えるでしょう。

犬猫に食べさせたいと考える場合には、必ず原材料を確認し、犬猫にとって有害な食材が使われていないことを確認しましょう。

まとめ

犬猫はごまを食べても大丈夫!

ごまはその小さな粒から考えられないほどに健康効果が期待される栄養の詰まっていて犬猫にも健康的メリットがあると考えられ、食べても大丈夫な食材と言えるでしょう。

成分の半分以上が不飽和脂肪酸であり、コレステロールや中性脂肪を低下させる働きで腎臓病予防への効果が期待できますが、油分として高カロリーな面もあります。

健康効果を期待するのであれば、一度に大量のごまを与えるのではなく、総合栄養食であるドッグフードやキャットフード、または手作りのごはんに少量トッピングする程度に控えると良いでしょう。

また稀ではありますがごまアレルギーを発症する犬猫もいますので、初めて与える際には十分に食後の様子に注意しましょう。

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スギさん@マッサンペットフーズ

株式会社ヒューマル マッサンペットフーズの公式WEBサイト「マッサンのペットフードの学校」の開設時から運営に参画しています。6年間の学びを生かしてペットレシピ.jpにも執筆しています。

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