ハマグリについて
ハマグリは食用として一般的な貝であり、二枚貝の一種です。
淡水が流れ込む浅瀬や砂泥地に生息しており、丸みを帯びた三角形の殻の形をしています。
ハマグリの食べ方は潮汁・酒蒸し・焼き蛤など様々な食べ方がありますが、他のアサリ貝と比較して値段が高いため、高級食材の1つです。
その一方、ハマグリの二枚貝が同一個体の殻でなければぴったりと重ならないという意味から「貞節」の象徴とされ、行事料理としていただく習慣があります。
この記事では、犬や猫がハマグリを食べても大丈夫か？どのような特徴があるのか、など解説していきたいと思います。
犬猫にハマグリは基本的に与えない
調理法や状態によっては与えることもできますが、犬猫には基本的にハマグリを与えない方が良いでしょう。
注意点などを解説していきます。
生食は絶対にNG
加熱をしていない生のハマグリにはチアミナーゼ（アイノリーゼ）と呼ばれる酵素が含まれています。
このチアミナーゼは犬猫にとって必要な栄養素であるビタミンB1を分解する酵素です。
犬猫がハマグリを生で食べてしまうとビタミンB1が分解され、ビタミンB1欠乏症になる恐れがあるため、生食では与えないようにしてください。
ビタミンB1欠乏症の症状
ビタミンB1欠乏症になると食欲不振、嘔吐の症状があらわれます。
さらに運動機能障害を起こし、ふらついてしまう歩行障害の症状もでてきます。
よく猫がスルメを食べると腰を抜かしてしまうと言われますが、これは歩行障害を起こしている状態です。
消化しづらい
元々犬猫は貝類の消化が不得意です。
消化不良を起こすと、下痢や嘔吐を起こしたり腸閉塞を起こしてしまったりと危険が伴います。
貝毒に注意
与えることをおすすめしない理由に貝毒があります。
生のハマグリは犬猫にとって危険な貝ですが、他にもまひ性貝毒、下痢性貝毒という問題があります。
これはハマグリが餌としているプランクトンが下痢や麻痺の原因となる毒素を持っていることがあり、餌を通して貝に蓄積(主に中腸線)された結果、貝が毒化することがあるためです。
毒化した貝は人が食べても下痢や麻痺といった症状を引き起こします。
犬猫にも貝毒のリスクがあることを認識しておきましょう。
犬猫にハマグリを与える方法
犬猫に無理にハマグリを与える必要はありませんが、もし食べさせたいのであれば注意点を確認しておきましょう。
加熱して与える
犬猫にとって危険のあるチアミナーゼは加熱することで活性を失わせることができます。
このためハマグリは加熱すれば与えることはできますが、十分に加熱しなければならず、リスクを考えると与えることはおすすめしません。
少量を細かく刻んで与える
どうしても与える場合には十分に加熱したハマグリを細かく刻んで少量で与えてください。
前述の通りハマグリは犬猫が消化しにくく、一度に大量に食べてしまうと消化不良を起こしてまう可能性があります。
ハマグリを与える場合は大量に与えるのではなく、少量与えて様子を見てください。
好んで食べる子もいるようですが与えすぎはNGです。
ハマグリの栄養成分
可食部100g当たり
| 成分 | 値 | 単位 | |
|---|---|---|---|
| エネルギー | 35 | kcal | |
| たんぱく質 | アミノ酸組成によるタンパク質 | 4.5 | g |
| タンパク質 | 6.1 | g | |
| 脂質 | 脂肪酸のトリアシルグリセロール当量 | 0.3 | g |
| コレステロール | 25 | mg | |
| 差引き法による利用可能炭水化物 | 3.7 | g | |
| 灰分 | 2.8 | g | |
| ミネラル | ナトリウム | 780 | mg |
| カリウム | 160 | mg | |
| カルシウム | 130 | mg | |
| マグネシウム | 81 | mg | |
| リン | 96 | mg | |
| 鉄 | 2.1 | mg | |
| 亜鉛 | 1.7 | mg | |
| 銅 | 0.10 | mg | |
| マンガン | 0.14 | mg | |
| ヨウ素 | - | ug | |
| セレン | - | ug | |
| クロム | - | ug | |
| モリブデン | - | ug | |
| ビタミン | ビタミンA | 7 | ug |
| ビタミンD | 0 | ug | |
| ビタミンE | 0.6 | mg | |
| ビタミンK | Tr | ug | |
| ビタミンB1 | 0.08 | mg | |
| ビタミンB2 | 0.16 | mg | |
| ナイアシン | 1.1 | mg | |
| ナイアシン当量 | 2.1 | mg | |
| ビタミンB6 | 0.08 | mg | |
| ビタミンB12 | 28.0 | ug | |
| 葉酸 | 20 | ug | |
| パントテン酸 | 0.37 | mg | |
| ビオチン | - | ug | |
| ビタミンC | 1 | mg |
参考：日本食品標準成分表（八訂）増補2023年
犬猫が食べてはいけない貝類
ハマグリは加熱をすることにより少量なら与えることも可能ですが、加熱しても食べることができない貝があります。
それはアワビ・サザエ・トリガイ・トコブシなどで、これらの貝にはチアミナーゼ以外に「ピロフェオホルバイドα」という成分が含まれています。
ピロフェオホルバイドαという成分が原因で猫は光過敏症となり、皮膚に炎症や痒みが出たり、ひどい場合には壊死を起こしたりする可能性があるため危険です。
ピロフェオホルバイドαが含まれている貝は加熱をしても犬や猫に与えないように注意してください。
【まとめ】犬や猫にハマグリは基本的に与えない
犬や猫に与えるハマグリの注意点をおさらいしましょう。
- チアミナーゼが含まれているので生食はNG
- 消化不良になるかもしれないので与える量には注意
- ハマグリ以外の貝の場合、加熱しても危険な貝も有り！「ピロフェオホルバイドα」という成分が含まれている貝は与えないで！
今回はハマグリについて紹介しました。
注意点を踏まえ、リスクを理解した上で判断しましょう。
