愛犬・愛猫に与えるホタテについて
手のひらほどのサイズがある大きな二枚貝のホタテ。
ホタテの旬は5月~8月と12月~3月の夏と冬の2回と言われていますが近年では国内でホタテの養殖が盛んになり一年を通しておいしく食べることができます。
旨みのある肉厚な貝柱は刺身や揚げ物、焼き物などさまざまに楽しめます。そんなホタテを犬猫と一緒に楽しむことはできるのでしょうか。
今回は「犬猫はホタテを食べて大丈夫なのか?与える際の注意点」などについて解説していきます。
犬や猫はホタテを食べても大丈夫!
犬猫はホタテを食べても大丈夫です。愛犬や愛猫と一緒にホタテを楽しむことはできます。
ですがホタテのような貝類には犬猫に与える際に注意しなければいけないポイントがあります。
生で食べても大丈夫?
人間の場合、生のホタテをお刺身やお寿司で楽しむことも多いかと思います。
でも犬猫に生のホタテは絶対に与えないでください。
ホタテのような魚介類にはチアミナーゼという酵素が含まれています。チアミナーゼはビタミンB1を破壊してしまう酵素です。
ビタミンB1は食事からしか摂取ができない栄養なので、ホタテを生で与えることによって欠乏しては大変です。
チアミナーゼは加熱することで死滅するので、ホタテを猫に与える際には必ず火を通してから与えるようにしましょう。
猫が貝を食べると耳が落ちる?
「猫が貝を食べると耳が落ちる」なんて噂を耳にしたことがありませんか?
結論から言うとこの噂は半分本当です。猫がアワビやサザエなどの貝を食べるとピロフェオホルバイドαという成分が影響して光線過敏症という病気になることがあります。
光線過敏症になると皮膚が日光に当たることで炎症が起きてしまいます。
猫の体は被毛に覆われていますが毛の薄い耳にかゆみや腫れが生じ、猫が掻きむしって耳が取れてしまったり壊死することがあるそうです。
ここから「猫が貝を食べると耳が落ちる」といわれるようになりました。
ちなみにホタテは貝類の中でも猫が食べても大丈夫な種類なのでホタテを食べて光線過敏症になることはありません。
食べても大丈夫な部位
ホタテは大きく分けると貝柱、ヒモ、エラ、生殖巣、ウロの5部位に分けられます
以下の画像をご覧ください。
このうち犬猫が食べても大丈夫なのは貝柱とヒモの部位です。人間の場合は生殖巣とエラも食べることができますが犬猫にとっては毒になる成分が含まれているので与えないようにしましょう。
また、黒い部分は「ウロ」と呼ばれる部位ですが、ここは犬猫も飼い主様も食べないでください。
ウロは中腸線と呼ばれる器官で、人間でいう肝臓や胃と同じような働きをするところです。このウロには貝毒と呼ばれる毒が集まっています。
もともとホタテには毒がありませんがホタテがエサとしているプランクトンの中には有毒なものもいます。ホタテがそういったプランクトンを食べた際に毒をためておく器官がウロ(中腸線)なのです。
ホタテに含まれる代表的な栄養素
貝柱 焼き 可食部100g当たり
栄養素 | 含有量 |
---|---|
エネルギー | 123kcal |
たんぱく質 | 18g |
脂質 | 0.1g |
炭水化物 | 12.4mg |
亜鉛 | 2.2mg |
カリウム | 480mg |
ビタミンB12 | 2.1mg |
参考資料:八訂 食品成分表 2022
たんぱく質
ホタテは100gあたり18gとたんぱく質がとても豊富に含まれています。
他の食材と比べてみましょう。
可食部100g当たりのたんぱく質含有量
食材 | たんぱく質含有量 |
---|---|
大豆(全粒 黄大豆 国産 乾) | 32.9g |
サーモン(養殖 皮なし 生) | 16.7g |
牛肉(もも 赤肉 生) | 17.8g |
豚肉(もも 赤肉 生) | 18.0g |
鶏肉(むね 皮なし 生) | 19.7 |
鶏卵(全卵 生) | 11.3g |
参考資料:八訂 食品成分表 2022
ホタテに含まれるたんぱく質量はサーモンやお肉にも引けを取らない数値といえます。
たんぱく質は皮膚・内臓・骨・被毛など犬猫の体をつくるうえで欠かせない栄養素です。しかし、過剰に摂取すると肥満の原因にもなりますので注意しましょう。
タウリン
タウリンは犬や人間は体内で生成することができますが猫はできません。つまり猫にとってタウリンは必須アミノ酸の一つなのです。
また、犬は体内でタウリンの生成をすることができるとはいえ人間と比較するとその力は弱いです。
血圧の維持・視力の衰えを防ぐ・肝臓の解毒能力の維持など、タウリンは体内で様々な働きを担ってくれます。
カリウム
カリウムは犬や猫だけでなく多くの生物にとって欠かせないミネラルです。
カリウムの働き
カリウムは同じミネラルであるナトリウムと共に体液の浸透圧の調整や細胞機能の維持をしています。
また、ナトリウムが増えすぎた場合に体外へ排出するのもカリウムの役割です。
カリウムが不足するとどうなる?
総合栄養食のペットフードを与えているとカリウムが不足する心配は基本的にはありませんが、体調不良や老化により食欲不振や嘔吐が続くとカリウム不足になり「低カリウム血症」を発症する恐れがあります。
低カリウム血症になると筋量低下や歩行不全などの症状が現れます。
たくさん摂取しても大丈夫?
通常、摂取しすぎたカリウムは尿と共に体外へ排出されます。しかし、老化などで腎機能が低下した犬猫はカリウムの排出が上手くできず「高カリウム血症」になってしまうかもしれません。
高カリウム血症は最悪の場合死に至る恐ろしい病気です。腎機能が低下している愛犬・愛猫には普段から気を配ってあげてください。
亜鉛
亜鉛は肝臓のサポートや皮膚・被毛の健康維持をする重要なミネラルです。
亜鉛を過剰摂取すると「亜鉛中毒」になる可能性がありますが、亜鉛の毒性は極めて低いのでサプリメントの大量誤飲等でなければ滅多に起こりません。
ビタミンB12
ビタミンB12は動物性食品にのみに含まれるビタミンです。
ビタミンB12はたんぱく質の合成や赤血球の形成に重要な成分で、体を若々しく保つために大切な成分といわれています。
犬や猫にホタテをあげる際の注意点
ホタテは犬や猫が食べても大丈夫な食材ですが、ホタテを与える際にはいくつかの注意点があります。
人間用のおつまみはNG
人間用のおつまみとしてホタテの貝柱や貝ヒモの干物があると思います。
おうちで晩酌をしているときに犬猫が気になって見てきたり匂いを嗅いで来ることもあるかもしれません。
しかし人間用に作られたおつまみ類は味付けされているものが多いです。そのような味付けは犬猫にはNGなので愛犬や愛猫が欲しがっていても与えないようにしましょう。
貝類は消化に悪い
ホタテは犬猫が食べても大丈夫な食材ですが、そもそもホタテのような貝類は犬猫にとって消化の悪いものだということを覚えておいてください。
いくら食べても大丈夫とはいえ消化に悪いので大量に与えるのはいけません。
また、犬猫が食べる際は細かくしてあげましょう。貝ヒモは固くて特に消化に悪い部位なので気をつけましょう。
アレルギーは大丈夫?
犬猫はホタテにアレルギーを持っている場合があります。初めて与える場合はごく少量にして様子を見ましょう。
皮膚や口周りの赤みやかゆみ・腫れ等が見られた場合すぐに与えるのを辞め、症状がひどくなる場合は動物病院へ行きましょう。
犬や猫にあげるホタテのレシピ
ホタテのムース
【材料】
- ホタテ貝柱 ・・・ 4粒
- 生クリーム ・・・ 25cc
- 卵白 ・・・ 1個分
①ホタテ貝柱と生クリームをミキサーでなめらかになるまで撹拌する
②卵白をしっかり泡立つまでハンドミキサーや泡立て器で混ぜる
③①と②をよく混ぜ、耐熱容器に移す
④ふわふわに固まるまで蒸したら完成
ホタテを蒸してふわふわにした一品。普段与えているフードに混ぜたりトッピングしたりしてあげてください。
生クリームは脂肪分が多いので与える際は量を調整してください。
【まとめ】犬猫はホタテを食べても大丈夫
犬猫はホタテを食べても大丈夫ですが以下の点には注意しましょう。
・生では与えない。
・食べられない部位があるので注意
・食べ過ぎは消化に悪い
今回はホタテについて紹介しました。ホタテは注意点を守れば犬猫が食べても大丈夫な食材です。
普段のフードにちょい足しで与えてみてください。