ほうれん草について
カレー・パスタ・おひたしなど様々な料理に使われる人気の野菜ほうれん草。スーパーなどで一年中手に入りますが本来の旬は11月~3月の寒い冬の時期です。
寒い時期のほうれん草は凍ってしまわないために自ら糖度を上げるので甘味が増して美味しくなります。
暑さに弱い野菜なので夏はビニールハウスや高冷地で栽培されます。
栄養満点で冷凍保存もできることからとても人気のほうれん草ですが犬猫は食べても大丈夫なのでしょうか。
犬や猫はほうれん草を食べても大丈夫!
犬や猫はほうれん草を食べても大丈夫です。
ただしほうれん草には気をつけなくてはいけない成分が含まれているので与え方や注意点を解説していきます。
生のほうれん草は食べさせちゃダメ
人間の場合ほうれん草を生で食べる機会はあまりないと思います。
サラダ用ほうれん草というものもありますが、通常の生のほうれん草は食べれないことはありませんがアクが強くて美味しくないです。
人間の場合は食べようと思えば食べれますが、犬猫に生のほうれん草は与えないでください。
シュウ酸
生のほうれん草はアクが強いという話をしましたがアクの原因はほうれん草に含まれる「シュウ酸」という成分です。
このシュウ酸は体内でカルシウムと結合し「シュウ酸カルシウム結石」という尿石の原因となる成分です。
シュウ酸カルシウム結石が原因の尿石は犬猫がかかりやすい病気なので気をつけたいですね。
シュウ酸は水溶性なので茹でることによってお湯に流れ出します。犬猫に与える際は茹でてシュウ酸の量を減らしてから与えましょう。
ほうれん草はあらゆる食材の中でもシュウ酸の含有量がトップクラスに多い食材です。気をつけましょう。
参考資料:文部科学省 食品成分データベース
ほうれん草に含まれる代表的な栄養素
葉 通年平均 生 可食部100gあたり
栄養素 | 含有量 |
---|---|
エネルギー | 18kcal |
たんぱく質 | 1.7g |
炭水化物 | 0.3g |
食物繊維総量 | 2.8g |
ビタミンC | 35mg |
カリウム | 690mg |
鉄 | 2.0g |
参考資料:八訂 食品成分表 2022
食物繊維
ほうれん草には食物繊維が豊富に含まれています。
食物繊維は水溶性食物繊維と不溶性食物繊維の2種類に分けられます。
水溶性食物繊維
不溶性食物繊維は保水性が高く、水分を腸まで運んでくれます。水分を腸に運ぶことで便が固くなるのを防ぎ排便を助けます。
水溶性食物繊維は海藻やオクラなどのネバネバしたものに多く含まれています。
不溶性食物繊維
不溶性食物繊維は体内で水分を吸収することで便の体積を増やし大腸を刺激することで腸のぜん動運動を活発にします。
腸内の有害物質を掃除してくれる働きもあります。不溶性食物繊維は豆類、芋類、きのこ類などに多く含まれています。
ほうれん草に含まれている食物繊維
ほうれん草には水溶性食物繊維と不溶性食物繊維どちらも含まれていますが不溶性食物繊維が主です。
食物繊維は犬猫の腸内環境を整えてくれますが犬猫は食物繊維の消化吸収ができません。
食物繊維は主に植物から摂取できるものなので肉食動物の猫や雑食動物の犬は食物繊維を消化する酵素を持っていないのです。
なので与えすぎると消化不良や下痢の原因になるので気をつけましょう。
ビタミンC
ビタミンCには抗酸化作用があるので人間だけでなく犬や猫にも必要なビタミンです。
残念ながらビタミンCは水溶性ビタミンなのでほうれん草を茹でるとシュウ酸とともに流れ出てしまいます。
しかし犬や猫は人間と違って肝臓でビタミンCを生成することができますし、完全栄養食のペットフードを食べているとビタミンCが不足する心配はありませんが
犬や猫が老化すると当然内臓の機能が衰えてきますので肝臓がビタミンCを生成する能力も衰えるわけです。特にシニアの犬や猫には注意が必要といえます。
カリウム
カリウムは犬や猫だけでなく多くの生物にとって欠かせないミネラルです。カリウムはナトリウムと共に体液の浸透圧の調整や細胞機能の維持をしています。
総合栄養食のペットフードを与えているとカリウムが不足する心配は基本的にはありませんが
体調不良や老化により食欲不振や嘔吐が続くとカリウム不足になり「低カリウム血症」を発症する恐れがあります。
低カリウム血症になると筋量低下や歩行不全などの症状が現れます。
ではカリウムはできるだけたくさん摂取した方が良いように思えますが例外があります。通常、摂取しすぎたカリウムは尿と共に体外へ排出されます。
しかし、老化などで腎機能が低下した犬猫はカリウムの排出が上手くできず「高カリウム血症」になってしまう恐れがあります。
人間の場合でも腎臓病患者はカリウム制限をしないといけません。
高カリウム血症は最悪の場合死に至る恐ろしい病気です。腎機能が低下している愛犬・愛猫には普段から気を配ってあげてください。
鉄
鉄の主な役割は「酸素の運搬」です。さらに詳しく言うと酸素を運搬する物質を作ることです。
赤血球の中にあるヘモグロビンや筋肉の中にあるミオグロビンというたんぱく質の一種が酸素を運ぶ役割を持っているのですが鉄はそのヘモグロビンやミオグロビンを構成する重要な要素です。
人間が鉄分不足になると貧血になりますが犬猫にも同じようにふらついたりする症状が現れます。
過剰に摂取しても下痢や食欲低下につながるので注意しましょう。
犬や猫にほうれん草をあげる際の注意点
犬猫にほうれん草を与える際の注意点を紹介します。
細かくしてから与える
犬猫にほうれん草を与える際は細かく刻んでから与えて少しでも消化しやすくしてあげましょう。特に茎の部分は繊維質なので細かく刻んで与えましょう。
また、細かく刻むことによって喉へ詰まらせる心配もなくなります。
アレルギーに気をつけて
犬猫はほうれん草にアレルギーを持っている可能性がゼロとは言えません。初めて与える場合はごく少量にして様子を見ましょう。
皮膚や口周りの赤みやかゆみ・腫れ等が見られた場合すぐに与えるのを辞め、症状がひどくなる場合は動物病院へ行きましょう。
犬や猫にあげるほうれん草のレシピ
イワシと野菜の具だくさんスープ
材料
(1食分ではないので量は調節してあげてください)
イワシ ・・・ 80g
ほうれん草 ・・・ 25g
大根 ・・・ 45g
枝豆 ・・・ 10g
干ししいたけ ・・・ 1枚
乾燥ひじき ・・・ 1g
黒ごま ・・・ ティースプーン1/2
水 ・・・ 250ml
①イワシは頭・内臓・中骨を取り、ひと口大に切る。枝豆はさやから出す。干ししいたけは250mlの水に15分以上浸す。
②茹でたほうれん草と水で戻したひじきを細かく刻む。
③鍋を用意し、①の干ししいたけと戻し汁を沸騰させて大根をすり入れ、イワシ、枝豆、ほうれん草、ひじきを全て入れ3分ほど煮る。
④一度しいたけを取り出し、細かく刻んで鍋へ戻し1分ほど煮たら完成。
犬猫に与えるときはやけどしないように冷ましてからあげましょう。
【まとめ】犬猫はほうれん草を食べても大丈夫
犬猫はほうれん草を食べても大丈夫ですが以下の点には注意しましょう。
- シュウ酸がとても多いので生では与えず茹でてから与える
- 細かく刻んでから与える
- アレルギーに注意
今回はほうれん草について紹介しました。
紹介した注意点を守って手作りレシピに彩りを加えてみてください。