イラクサとは
イラクサはイラクサ科に属し、本州、四国、九州の低山地に分布する多年草で、日本では若芽を山菜として食べる地域があります。
また、セイヨウイラクサはネトルとも呼ばれ、アレルギーや膀胱炎などに有効なハーブとしても知られています。
一見するとシソのような見た目をしていますが、自生したままのイラクサには表面に細いトゲがあり、触れると鋭い痛みが走ることから、人にとっても犬猫にとっても危険なイメージを持っている方がいるかもしれません。
では、実際のところ犬猫にイラクサを与えても大丈夫なのでしょうか。
犬猫にイラクサはそのまま与えない
前述の通り、セイヨウイラクサはハーブとしても知られるため、ペットフードに使用されることもあり、加工方法によっては犬猫も食べることが出来る食材です。
しかし、自生したイラクサには蟻(ギ)酸と呼ばれるアリと同様の毒を持ったトゲがあり、そのままの状態で口にしてしまうと皮膚炎や口腔内の炎症に繋がる恐れがあります。
イラクサを湯通しするとトゲや毒性はなくなりますが、消化不良などの心配もあるので犬猫にはあえて与える必要はないでしょう。
イラクサを取り入れるのであれば、そのまま与えるのではなく、すでにイラクサが配合されたペットフードやサプリをおすすめします。
ペットフードにイラクサを配合するメリット
イラクサは天然のマルチビタミンと呼ばれるほど栄養を豊富に含んでいます。
イラクサの効果効能により考えられるメリットを紹介いたします。
ビタミン、ミネラルなど栄養が豊富
セイヨウイラクサには、ビタミンA、C、Kなどのビタミン類や、カルシウム、カリウム、鉄などのミネラル類が豊富に含まれています。
ミネラルやビタミンの他にも視覚の健康維持に効果のあるルテインや抗酸化作用のあるβ-カロテン、またセイヨウイラクサの葉や種子には必須脂肪酸のα-リノレン酸やリノール酸など様々な栄養素が含まれています。
抗アレルギー・抗炎症作用
セイヨウイラクサにはフラボノイドのケルセチンが含まれていますが、ケルセチンはアレルギー症状を引き起こすヒスタミンの分泌を抑える働きがあります。
また、炎症を引き起こすロイコトリエン分泌も抑制することから、抗炎症作用も期待されています。
利尿剤や緩下剤としての効果
セイヨウイラクサは古くから利尿剤や緩下剤などの民間薬として利用され、排尿促進や便をやわらかくして便秘を改善する効果があるといわれています。
特に猫の場合は排尿回数や量が少なく腎臓病や下部尿路の疾患を患うことが多いため、利尿作用による腎臓機能のサポートが期待されています。
浄血・造血作用による血行促進、血流改善、貧血改善
セイヨウイラクサには、浄血・造血作用のあるクロロフィルや鉄分が豊富に含まれており、造血・浄血によって血流改善、血行促進、貧血改善などに役立つといわれています。
犬猫にイラクサを与える場合の注意点
イラクサをそのまま与えてはいけないと説明しましたが、加熱したイラクサや加工されたイラクサを与える場合にも注意点があります。
自生したイラクサの場合は下処理をする
自生したイラクサを下処理して与える場合は、よく加熱した上で細かく刻み、ごく少量に留めておきましょう。
嫌がる場合は無理して与える必要はありません。
過剰摂取に注意
総合栄養食のペットフードに配合されているような場合は給与量を守れば心配ありませんが、サプリメントは成分が凝縮されているので注意が必要です。
私達にとってはわずかな量に思えても、身体の小さな犬猫にとっては過剰摂取となる可能性があります。
妊娠中のNG
人間の場合、妊娠中は支給を収縮させる可能性があるので禁忌と言われています。
妊娠中の犬猫への影響は不明確ですが、イラクサそのものや成分が凝縮されたサプリメントを妊娠中の犬猫に与えるのは控えた方が良いでしょう。
持病がある場合や投薬中は注意
心臓病、腎臓病など持病がある場合や投薬中の場合は、念のためかかりつけ医に相談してから与えましょう。
まとめ
イラクサはペットフードの原材料に使用されることもあり、犬猫にとっても健康的メリットのある食材ですが、自生したイラクサをそのまま与えることはNGです。
イラクサはトゲがあり、触れると痛みを伴うため、犬猫が自生したイラクサに近づかないよう注意しましょう。
栄養豊富で抗アレルギー・抗炎症効果などを持つイラクサですが、イラクサが配合されたペットフードやサプリメントを取り入れる場合も過剰摂取は禁物です。
妊娠中の場合は与えないようにし、持病がある場合は事前にかかりつけ医に相談すると良いでしょう。