犬猫はレモンの果肉、果汁は食べても大丈夫。
レモンは果肉、果汁を少量であれば、犬猫が食べても大丈夫な食材です。
しかし、レモンの皮に含まれる成分が中毒症状を引き起こしてしまう可能性があることから、与える際には注意が必要です。
また酸味を嫌う犬猫は多く、絶対に与えなくてはいけない食材ではありませんので、食べても大丈夫ですが無理に与える必要はないと考えます。
与える際の注意点
皮に含まれる『リモネン』『リナロール』に注意
レモンの皮には犬猫にとって有害となる『リモネン』や『リナロール』という成分が含まれていて、犬猫はこの成分を摂取することで中毒症状を引き起こすといわれています。
また皮自体が硬く消化に悪いため、レモンの皮を誤食してしまうと下痢や嘔吐などを引き起こす原因となります。
皮から出る汁が皮膚に付着すると皮膚炎、そして目に入ってしまうと強い刺激と共に炎症を起こす可能性もあるため、管理には十分に注意してください。
『シトラスオイル中毒』に注意
柑橘系の果物から抽出するシトラスオイルはマッサージオイルや虫よけ、洗剤など、様々な製品に含まれていることがあります。
このオイル等が犬猫の皮膚や被毛につくと皮膚炎をおこしたり、毛づくろいで舐めて中毒症状を引き起こしてしまうケースも。
犬猫は人間より非常に嗅覚に優れているので、人間にはリラックス効果があるとされるアロマの香りだけでも体調不良を起こしてしまうことがあります。
この『シトラスオイル中毒』は猫に強く表れる傾向にあるようで、猫は犬や他の動物と比べると薬剤や植物を含めた多くの化学物質に中毒症状を引き起こす率が高いともいわれています。
シトラスオイルは犬用の虫よけなどには少量使われていることがあり、犬用の虫よけを猫にも使ったところ、過剰な涎や運動失調、筋肉の震えという症状が現れたという報告があります。
犬には犬用、猫には猫用を選んで使う事、また人用のものを犬猫に与えないようにすることや、レモン等の柑橘系、シトラスオイル等の製品を犬猫が触れる環境に置かないように注意が必要です。
レモンの果肉、果汁を大量に与えるのはNG!
レモンの特徴である強い酸味は犬猫にとって刺激が強すぎる事があります。
成分として果肉や果汁に有害な成分が入っていないとはいえ、その強い酸味に体が拒否反応を起こして嘔吐や下痢、腹痛など不調を起こす可能性があります。
子犬やシニア犬に与えること自体は大丈夫ですが、健康な成犬よりも胃腸機能が弱いと考えられるので最初から多量に与えると健康被害を及ぼすことがあります。
総合栄養食のペットフードを食べている場合は無理に与える必要はありませんが、与える際には水に薄めたものを少量与え、摂取後の様子に注意してあげましょう。
また、胃腸機能が弱まっている犬猫には刺激が多いレモンは与えない方が良さそうです。
レモンには光毒性があり、皮膚へダメージを与えることも
レモンだけではなく、オレンジ、ライム、グレープフルーツなどの柑橘系には、紫外線に当たるとシミや肌荒れなどのダメージが起こる『光毒性』があります。
レモンなどの柑橘類をたくさん食べた後に散歩などで外に出て紫外線を浴びると人だけではなく、犬猫の皮膚にもダメージがあると考えられます。
もし、レモンを嫌がらずに食べる犬猫であれば、午前中ではなく夕方以降に与えるとこの皮膚へのダメージを避けられそうです。
前述でレモンに含まれる成分やオイルの危険性について解説しましたが、この光毒性はレモンの精油でより強く現れますので、その点からもレモン、シトラス系のオイルは与えないように十分に注意しましょう。
レモンピールやレモンの加工品は与えない
前述の通りレモンの皮は犬猫にとって有害ですので、レモンの皮の加工品であるレモンピールは与えないようにしましょう。
このレモンピールは人用においしく食べられるように砂糖漬けにしてあるものが多いですが、砂糖の過剰摂取も犬猫にとってよくありません。
また、焼き菓子などにもレモンピールを使用したものが多くありますので注意が必要です。
そのほかにもレモンティーやレモネード、はちみつレモンなど様々な形で商品として並んでいますが人用に加工してあるものは糖分が多く、またカフェインやはちみつのボツリヌス菌などレモンの皮とは別に犬猫にとって有害な成分との組み合わせがあります。
人にとって健康に良いとされるものが必ず犬猫にとっても良いとは限りませんので、人用の加工品を与えることは避けましょう。
レモンの栄養
レモンの皮やオイル等の危険性をお伝えしましたが、果肉、果汁には有害な成分は含まれておらず、健康的なメリットもあります。
大量に与えることはNGですが、犬猫が嫌がらないようであれば時々少量を水で薄めるなどして与えても良さそうです。
ビタミンC
レモンの特徴として一番にあげられるビタミンC。強い抗酸化作用が期待できる栄養素で、肌環境を整えてくれる効果もあります。
クエン酸
レモンには疲労回復に期待できるクエン酸も豊富に含まれています。また、体に吸収されにくいミネラルを水に溶けやすい形に変えて、吸収しやすくするキレート作用もあります。
カルシウム
レモンには骨や歯の構成に必要不可欠な栄養素であるカルシウムも含まれています。
レモンの与え方
犬猫にレモンをどの程度までなら与えても大丈夫という明確な基準はありません。
レモンの主な栄養素であるビタミンCは水溶性のため、摂取しすぎることで中毒を起こすようなことはないと考えます。
しかし犬猫が苦手とする酸味や香りも強いのでびっくりさせないように少量(小さじ半分以下程度)を水などで薄めて与えてもらうと安心して与えることができそうです。
おすすめレシピ
さつまいものレモン煮
①さつまいもを小さめの一口大に切って水にさらします。
②鍋にさつまいも、浸る程度の水を入れて煮ます。
③水分が減り、さつまいもが柔らかくなったら火を止め、粗熱が取れたらレモン汁を少量(小さじ半分以下で十分)入れて和えたら完成です。
さつまいもの甘みでレモンの酸味が和らぎ犬猫でも食べやすいレシピです。
さつまいもの食物繊維とレモンのビタミンで整腸効果と併せて免疫力アップが期待できます。
レモン風味の豚肉キャベツ炒め
①豚肉、キャベツを細かめに切ります。
②フライパンで豚肉の色が変わるまで炒めてからキャベツを加え、しんなりするまで炒め合わせます。
③火を止めてから少量のレモン汁(小さじ半分以下で十分)を合わせて完成。
豚肉のビタミンB群とレモンのビタミンCで免疫力を高め、風邪や感染症予防に活躍するレシピです。
豚肉の香りと旨味が食欲をそそります、キャベツでカサ増しもできて満足感のある一品。
まとめ
犬猫はレモンを食べても大丈夫!
レモンには疲労回復や抗酸化作用などに役立つ栄養が含まれていますが、冒頭で解説したように皮には中毒症状を引き起こす成分も含まれています。
栄養的メリットを考え与える際にはあくまで果肉、果汁を少量食べさせる程度に控えた方が良いでしょう。
また、犬猫が必ず食べなければいけない食材ではないので、危険性を考え食べさせないという選択も大切でしょう。