犬猫はレモングラスを食べても大丈夫?
レモングラスとは、ススキのような姿でレモンに似た香りがあるイネ科のハーブです。
原産地はインドで鶏肉や魚介類との相性がよくエスニック料理の風味づけによく使われ、猫草として栽培される植物と同じイネ科であるため食べても大丈夫とされる情報をよく見かけます。
しかしこのレモングラスに含まれる精油成分は犬猫に注意が必要であるため、安易に犬猫が食べても大丈夫とは言い難い食材です。
犬猫に対するレモングラスの注意点
レモングラスに含まれる精油成分『シトロネラール』
レモングラスは柑橘類ではありませんが、精油成分のシトロネラールが含まれておりレモンのような香りがすることが最大の特徴です。
このシトロネラールは猫が中毒症状を起こすことで知られ、犬に関しても口にすることはあまり推奨されていません。
生のレモングラスには柑橘類の皮に含まれるほどのシトロネラールは含まれていないので、少量口にする程度で犬猫が重篤な中毒症状を引き起こすことは考えづらいでしょう。
しかし犬猫の個体差やレモングラスを食べた量によっては健康被害を起こす可能性はゼロとは言えないので、レモングラスを犬猫に積極的に与える必要はないでしょう。
レモングラスを原料とする精油やアロマオイルに関してはシトロネラール等の含有量が異なるため、犬猫用に安全確認ができていない製品は取り扱いに十分注意が必要です。
レモングラスにシアン配糖体は含まれるのか?
シアン配糖体は天然に存在する化合物で、人間や犬猫にとっても命に係わる毒性をもっています。
海外のサイトではレモングラスにシアン配糖体が含まれるとの情報がありますが、レモングラスに含まれる成分については下記の研究報告がされています。
ナイジェリアの薬用植物 (レモングラス) の化学的および栄養的組成の定性的および定量的測定が、標準的な方法、すなわち近接分析、原子吸光分光光度法 (AAS) および複素滴定を使用して実行されました。~中略~
アントラキノンとシアン配糖体は検出可能なレベル未満でした。これらの結果は、この植物が示す薬効および薬理学的活性を裏付け、人間や家畜の栄養源としてその植物が使用できる可能性を明らかにしています。
上記の研究報告から考えれば、レモングラスに検出できるほどのシアン配糖体は含まれていないので、これによる毒性の心配はあまり必要ないでしょう。
ただし、犬猫に対しての研究報告ではないので、判断は飼い主の方に委ねられるところではあります。
参考:食品安全委員会
レモングラスからEPN検出?
EPNは殺虫剤として用いられる成分で、日本においては毒物として指定されている物質です。
平成21年、厚生労働省から「タイ産レモングラス及びその加工品に基準値を超えるEPNが検出された」との報告がありました。
ただしこの報告に関しては輸入されたレモングラスに現地での消毒に使われる農薬に含有されていたものが残留していたことが原因と考えられています。
EPNは、人の許容摂取量が体重1kg当たり0.0014mg/日とされており、体重60kgの人がEPNが0.03ppm残留したレモングラスを毎日約2.8kg摂取し続けたとしても、健康に影響はないとされています。
レモングラスを犬猫が毎日大量に食べるような状況は考えにくいのですが、輸入品のレモングラスにこのような前例があったことは念頭に置いておくと良いかもしれません。
参考:輸入食品に対する検査命令の実施について(タイ産レモングラス及びその加工品)
レモングラスは消化が難しい
レモングラスはイネ科の植物なので、葉は硬く繊維質で犬猫には消化が難しいものですが、少量口にする程度であればそこまで心配するものでもありません。
ただし犬猫の中にはレモングラスを好み、育てているレモングラスをむしゃむしゃと食べるという情報も多くあります。
食べてはいけないと断言するほどの有毒性はないレモングラスであっても、無制限に食べても大丈夫な植物ではありません。
硬い繊維質であるレモングラスを大量に食べてしまうと、腸閉塞を引き起こす可能性があります。
レモングラスを大量に食べたことが分かった後に、嘔吐、便秘、発熱、腹部の腫れなどがあればそれは腸閉塞の兆候である可能性があります。
食後に異変がある場合は動物病院へ相談しましょう。
まとめ
レモングラスに含まれる精油成分や繊維質で硬い葉に対する懸念があるため、当サイトでは安易に犬猫の与えても良いとおすすめができません。
しかし、現時点で少量のレモングラスを口にしたことで犬猫に重篤な症状が起きたという報告はないので、飼い主の方の判断に委ねられるところにあります。
万が一犬猫がレモングラスを食べた後に異変を感じた場合はすぐに動物病院へ相談しましょう。