犬猫ににらは危険です!
独特の風味がスタミナ料理などで人気の『にら』は、匂いが気になりますが好きな方も多いと思います。
しかしにらはネギ属に分類され犬猫には中毒症状を起こす危険な食材です。
今回はにらがなぜ犬猫に危険なのか、致死量や考えられる症状などを解説していきます。
少しくらいなら大丈夫?致死量や症状が現れるまでの時間は?
目を離した隙に舐めたり噛んだりされてしまう誤食・誤飲。
どの程度の量を食べると危険なのか気になるところですが、はっきりとお伝えすることが難しいです。
- 体重1kgに対して5g食べると中毒症状
- 体重1kgに対して20g食べると致死量
こちらが目安と考えられていますが、あくまで目安です。
人間同様に犬猫も様々な個体差があり、少量のにらで重篤な症状を起こす子もいれば、多めに食べても症状が軽い子もいます。
症状は少量であれば数日後、たくさん食べた場合は1日ほどで現れる傾向にありますが症状が現れなくともにらを誤食したことが分かった際はすぐに動物病院に連絡し指示を仰ぎましょう。
にらに含まれる犬猫に危険な成分
有機チオ硫酸化合物
にらは玉ねぎやネギを始めとするネギ属に分類され、有機チオ硫酸化合物という成分を含んでいます。
人間が有機チオ硫酸化合物を摂取する分には抗がん作用や血栓の予防、免疫力アップなど様々な健康効果が期待できます。
しかし、犬猫は有機チオ硫酸化合物を消化する酵素を保有しておらず中毒症状を発症し、赤血球が破壊されるリスクがあります。
犬猫がにらを食べてしまった時に考えられる症状・病状
有機チオ硫酸化合物による赤血球破壊の影響によって以下のような症状・病状が考えられます。
- 嘔吐・下痢
- 皮膚の赤み・痒み
- 呼吸困難
- 食欲不振
- ぐったりして元気がなくなる
- よだれを垂らす
- 舌や歯茎が白っぽくなる
- 血尿・血便
- 吐血
- 溶血性貧血
- 急性腎障害
貧血や血尿などはネギ属による中毒症状の主たるものです。最悪の場合死に至ることがあります。
こういった症状が現れた場合はネギ属による中毒をまず疑い、速やかに動物病院へ連絡を取りましょう。
誤って口にしてしまった時の対処方法
にらを誤って食べてしまった時や、少し時間が経ってから誤食の疑いが出てきたときはどのような対処をすべきなのでしょうか?
動物病院へ連絡する
ネギ属を食した時の中毒症状は発症までに時間が掛かることや、個体差により平気な子も居るので安心してしまいがちですが誤食がわかった時点ですぐに動物病院へ連絡をしましょう。
診察の際は、
- にらをどの程度食べてしまったのか?
- 生なのか加熱したものなのか?
- 食してからどの程度経っているのか?
といったことをスムーズに伝えられるようにしておきましょう。
家庭で無理に吐かせるのはやめる
一部で「こういった誤食の際は塩やオキシドールを使い吐かせて応急処置をしましょう」という話を見かけますが、飼い主さんが安全に犬猫を吐かせることは難しいです。
家庭でこうした処置を行うことは大変危険なので行わないようにしましょう。獣医師に連絡を取り、どのようにすべきか指示を仰ぎましょう。
誤食を無くすには
これはにらに限った話ではありませんが犬猫に危険な食べ物を口にさせないために、
- 荷物を放置せず、犬猫が取り出せないところに危険物をしまう
- 落ちたものの誤食を防ぐために調理中はキッチンなどに近づけないようにする
- 食事のしつけをしっかりとし、口にするものを制限させる
普段からこういったことに注意を払いましょう。
思いがけない誤食にも注意
にらを切った後の包丁やまな板にはにらに含まれる中毒物質が残っています。
調理したあとの器具をそのまま犬猫のフード作りに使うと中毒症状を発症してしまうことがあります。
にらの調理後は自分の手にも注意し、スキンシップを取る前によく洗いましょう。
また生のにらはもちろん危険ですが、火を通しても毒性は残りますしスープなどにも毒性のエキスが含まれています。
犬猫に直接食べさせるのはもってのほかですが、間接的ににらと接していたり、にらのエキスなどが含まれている食品を口にさせないように気を付けましょう。
にらの匂いは大丈夫?
匂いで犬猫が中毒症状を引き起こすことはありません。
しかし匂いを嗅げているということは犬猫がにらにかなり接近しているということ。
そもそも匂いを嗅ぐことのできるほどの近くに行かせない方が良いでしょう。
にら以外の中毒症状を起こすネギ属の野菜
今回はにらのお話でしたが、にらが分類されるネギ属は「有機チオ硫酸化合物」が含まれており犬猫には危険です。
ネギ属の代表的な野菜を簡単にまとめておきます
- 玉ねぎ
- ねぎ
- にんにく
- らっきょう
- エシャロット
これら以外にもネギ属の野菜には注意が必要です。
【まとめ】
にらは犬猫にとって中毒症状を起こす危険な食材です。
絶対に食べさせてはいけません。
有機チオ硫酸化合物という成分により、嘔吐・下痢、貧血や血尿と言った中毒症状を引き起こし最悪の場合死に至ります。
- 体重1kgに対して5g食べると中毒症状
- 体重1kgに対して20g食べると致死量
と考えられていますが、あくまで目安です。
犬猫の個体差や状況により症状の現れ方には大きな違いがありますので、誤食が起きた場合は症状の有無にかかわらず速やかに動物病院へ連絡しましょう。
参考
監修:服部幸 構成:ねこねっこ「猫が食べると危ない 食品・植物・家の中の物図鑑」
環境省「飼い主のためのペットフードガイドライン」