玉ねぎを与えてはいけない理由
玉ねぎは犬猫に与えてはいけません。犬猫は少しでも食べたり舐めてりするだけで『玉ねぎ中毒』になる可能性があります。重篤な症状を引き起こしたり、死に至ってしまうという最悪なケースもあります。
これは玉ねぎだけではなく長ネギ、ニラ、ニンニクといったネギ類全般に含まれる成分が犬猫にとって有害となります。
犬猫にとって有害な玉ねぎの成分
有機チオ硫酸化合物
玉ねぎには『有機チオ硫酸化合物』という成分が含まれています。犬猫がこの有機チオ硫酸化合物を摂取すると赤血球や赤血球中に含まれるヘモグロビンが酸化し、赤血球が破壊されてしまいます。鉄が酸化し、サビてボロボロになってしまう様子をイメージするとわかりやすいかもしれません。
アリルプロピルジスルフィド、ジアリルジスルフィド（二硫化アリル）
また、ネギ類独特の匂いの元となる『ジアリルジスルフィド（二硫化アリル）』『アリルプロピルジスルフィド』という成分はネギ属の植物にみられる有機硫黄化合物であり、有機硫黄化合物が有機チオ硫酸化合物の吸収力高められるといわれていて、玉ねぎ中毒の原因物質とされています。犬猫の体内にこれらの中毒物質が入ると、赤血球のヘモグロビンが酸化し、溶血性貧血という状態になります。
しかし以下のような論文があるようですので、アリルプロピルジスルフィドについては一定の疑問も残ります。
しかし実際は、ある論文で「アリルプロピルジスルフィド allyl propyl disulfide」が原因物質らしいが、それ自体を入手することができず、組成が近い物質（n-propyl disulfide)で犬に貧血を起こすことに成功した事が一人歩きし。その結果タマネギ中毒の原因は「アリルプロピルジスルフィド allyl propyl disulfide」である。となってしまったようです。そして長らく間違ったことがまかり通っていたようです。
玉ねぎを使った料理にも気をつけてください
玉ねぎ中毒の原因物質である有機チオ硫酸化合物は加熱では分解されません。加熱して調理したものでも中毒を起こすので、犬猫が食べるものに入っていないか必ず確認する必要があります。
玉ねぎは様々な料理に使われます。肉じゃが、シチュー、カレーやスープ等々具材として一緒に煮込んだものは煮汁に中毒成分が溶け出しているので玉ねぎを避けたとしても、一緒に調理したものは絶対に与えてはいけません。
調理中に誤食を防ぐためにキッチンに近づかないように対策することも大事です。玉ねぎを切った後の手や調理器具を犬猫がなめてしまっただけで中毒症状を引き起こす可能性もなくはありません。調理後は石鹸でしっかり手を洗い、調理器具も洗剤で洗って犬猫の届かない場所へ片づけるように心がけましょう。
調味料や人用のスナック菓子にもネギ類が使用されていることが多々あります。市販品を与える際には成分表を見てネギ類が使用されていないか必ず確認しましょう。
市販品、缶詰などに『野菜エキス』と記載されている場合があり、この野菜にネギ類が含まれている場合があります。基本的には人用の市販品は与えないのが大前提ですが、与える前にはメーカーに問い合わせをして内容の確認をしてから与えるかどうかの選択をすることをお勧めします。
どんな中毒症状が起こるか
主に貧血の症状が現れます。
- 元気がない
- めまい、ふらつき
- 下痢
- 嘔吐
- 食欲不振
- 血尿や濃い色の尿が出る
- 歯茎や目等の結膜が白くなる（貧血）
- 黄疸（おうだん）
- 呼吸困難
- 血便
- 意識がなくなる（ショック症状）
重症化した場合はけいれん発作や呼吸困難を起こし、最悪の場合死亡してしまうこともあります。
もし玉ねぎを食べてしまったら
玉ねぎの中毒症状が現れるのは早くて30分～、遅いと数日後ともいわれており、摂取量や個体差によります。
もし玉ねぎを食べた事がわかったら、いつ何をどの程度食べたか、症状がでていればその症状の詳細をメモし動物病院へ連絡をしましょう。
口に入ってまだ飲み込んでいない場合には口から取り出した方がいいですが、飲み込んでしまったときに自己判断で吐かせたり、薬を使うことは非常に危険なのでやめましょう。
飲み込んでしまった、舐めてしまった場合には速やかに動物病院へ連絡し、医師の指示に従ってください。
