愛犬・愛猫に与える桃について
古くから日本人に馴染みのある桃。甘くジューシーな果肉には豊富な食物繊維が含まれており、整腸作用や美肌効果などが期待できるフルーツです。
濃厚な甘みは体の中で素早くエネルギー源になってくれる果糖。おいしく体にも嬉しい栄養がある桃は犬猫が食べても大丈夫です。そのメリットや注意点を解説します。
桃は犬猫が食べても大丈夫
桃の果肉には犬猫にとって有害な成分は含まれていないので、桃を食べても大丈夫です。
桃は90%近くが水分で、ビタミンや食物繊維も豊富に含まれているので犬猫の健康にも有益な栄養素が含まれる食材と言えます。
しかし多くの果糖も含みますので与えすぎは愛犬・愛猫の肥満の要因になってしまいます。
また桃はアレルギー食品の一種なので、与える際には十分な注意が必要です。
桃の種には毒性物質『アミグダリン』が含まれているので絶対に与えないでください
桃の種にはアミグダリンという成分が含まれます。
桃以外にもバラ科の果実(うめ、あんず、びわ等)の種子にも含まれており、アミグダリンは酵素によって分解されると毒性のある青酸化合物になります。
この青酸化合物が中毒症状を引き起こすといわれています。
主な症状として下痢や嘔吐、痙攣、呼吸困難が挙げられます。
また桃の種は硬く、誤飲してしまうと喉や消化器官に詰まってしまう恐れがあります。
最悪の場合死に至るケースもありますので必ず種は取り除き誤飲がないように処理しましょう。
万が一誤飲してしまい呼吸困難やアミグダリンによる症状がみられる場合には速やかに動物病院へ連絡し、獣医師の指示に従いましょう。
桃の栄養について
桃にはフルクトース、ペクチン、クエン酸、カリウム、ビタミンC、ビタミンE、カテキンなど様々な栄養素が含まれています。
フルクトース
桃の主成分は果糖です。桃に含まれる果糖はフルクトースとも呼ばれ、天然に存在する糖の中では最も甘く砂糖の1.5倍程度の甘味を感じるともいわれています。
体内に吸収された後は肝臓に運ばれ、フルクトキナーゼという酵素によって変化して体内で利用されます。
フルクトキナーゼはインスリンの作用を受けない酵素なので果糖はブドウ糖よりも早く体内でエネルギーとして使われるといわれています。
ペクチン
桃はペクチンという食物繊維を含んでいます。このペクチンは果物に多く含まれている水溶性の食物繊維。
血糖値の急激な上昇を抑えたり、血中コレステロール値を正常に保つ働きもあります。
この食物繊維は便秘予防や腸内環境の改善作用も期待できます。
クエン酸
桃にはクエン酸が多く含まれているため、免疫力アップも期待できそうです。疲労回復にも役立つので夏バテ予防にも効果がありそうです。
リンゴ酸
リンゴ酸はクエン酸と同様に体内に溜まった乳酸を分解する作用があり、体内の炎症を癒し、体に溜まった疲労を解消することができます。
カリウム
桃含まれるカリウムはミネラルの一種で、浸透圧の調整などの働きをします。
利尿作用が期待でき、ナトリウムを排出する事で塩分の摂り過ぎを調節する重要な役割を果たします。血圧を下げる効果も期待できます。
しかし腎臓病等の疾患がある犬猫は摂取量に注意してください。
過剰摂取は高カリウム血症の原因になる危険性があり、四肢のしびれや嘔吐、筋力低下、脈拍異常といった体調不良の原因につながります。
ただ桃を少し食べたくらいで問題になることはないかと思います。
ビタミンC
桃はビタミンCを含み、肌を健やかに保つのに役立ちます。
犬猫は体内でビタミンCを作ることができるので犬猫にビタミンCを与える必要はないという考えもあるようですが、昨今では生活環境や病気、体重、年齢など体の状態によってはビタミンC補給が必要と考えられています。
昨今の研究では犬にもビタミンC欠乏症があるとも報告されています。
ビタミンCは皮膚のコラーゲンが作られる際に欠かせず、またメラニン色素が作られるのを抑える働きも期待できるので、お散歩で日光に当たることが多い犬猫の皮膚の健康を保つのに効果的な栄養素と考えます。
ビタミンE
桃に含まれるビタミンEは『若返りのビタミン』とも呼ばれ、強い抗酸化作用を持つ脂溶性のビタミンです。
体内の脂質の酸化を防ぎ、動脈硬化や血栓の予防、血圧の低下、悪玉コレステロールの減少などの働きがあります。
カテキン
桃の皮の近くにはポリフェノールの一種であるカテキンが含まれています。
カテキンには活性酸素を除去する強い抗酸化作用の他に、抗菌や抗ウイルス作用もあるといわれています。
桃を与えるメリット
アンチエイジング
桃に含まれるカテキン、ビタミンC、ビタミンEには強い抗酸化作用が期待できます。
人と同様、犬猫も年齢とともに体が酸化し、老化と言われるあらゆる症状が現れてきます。抗酸化作用とはこの酸化による老化を抑える作用の事を言います。
カテキンはポリフェノールの一種で、お茶に含まれていることが有名です。
抗酸化作用で老化の抑止や病気の予防が期待できるほかにも血圧の上昇を抑えたり、血中コレステロールを下げる効果も期待ができます。
ビタミンC、ビタミンEも活性酸素を取り除く強い抗酸化作用が期待できます。
生きていく上で避けては通れない体の酸化だからこそ、愛犬・愛猫にも毎日食べる食事から抗酸化作用のある食べ物を取り入れてアンチエイジング効果に期待したいですね。
腸内環境の改善
桃にはペクチンという水溶性食物繊維が豊富に含まれていることを紹介しましたが、不溶性食物繊維も含まれており、二種類の食物繊維が腸内細菌のエサとなり善玉菌を増やしてくれます。
水溶性食物繊維は食後の血糖値の上昇を緩やかにし、コレステロールの排出をサポートします。
便秘解消に役立ちます。不溶性食物繊維は腸内で水分を吸って膨らむことで便のカサを増し、便通を改善してくれる効果が期待できます。
桃に含まれるペクチン等の食物繊維は、下痢や便秘を頻繁に起こしてしまうお腹の弱い犬猫に有効的な食材でしょう。
桃を与える際の注意点
桃はアレルギーの特定原材料21品目のひとつ
桃はアレルギー症状を引き起こす特定原材料に準じる21品目のひとつとして挙げられています。
人と同様にアレルギーを持つ犬猫もいます。桃やバラ科の食品(うめ、あんず、びわ等)でアレルギー症状を起こしてしまう犬猫もいますので、与える際には注意が必要です。
桃だけに限らず、初めて与える食材はごく少量から始め、食後の体調には十分に注意観察をしてください。
嘔吐や下痢、発疹等のアレルギー症状がみられた場合は速やかにかかりつけの動物病院へ相談しましょう。
桃を与える際の処理方法
桃の皮は絶対に食べさせてはいけない部分ではありませんが、消化に悪いので犬猫に与える際には剥いてから与えましょう。
鍋にお湯を沸かし、20秒ほど桃を茹でます。
すぐに氷水で冷やすと手で皮が向きやすくなりますので試してみてください。
皮をむいた後は種を取り除き、実の部分だけを小さくカットしてから与えると丸のみによって喉を詰まらせてしまう心配がなくなります。
桃の加工品は与えないようにしましょう
桃は一年中購入できる桃の缶詰(桃缶)も親しみ深いと思います。
しかし、缶詰に加工された桃は多くの砂糖を使用したシロップが使われているので犬猫には与えないようにしましょう。
またゼリーやジュース等の桃の加工品は多数販売されていますが、これらも多量の砂糖が使用されていることが多く、犬猫に与えてしまうと肥満やそれを起因とした病気などの健康被害を及ぼすことになります。
人用に加工された食品は基本的に犬猫には与えないようにしてください。
与えすぎは肥満の原因
桃の主な成分は果糖であるフルクトースです。エネルギー源となる大事な栄養素ですが、その糖分は過剰摂取すると肥満の原因になってしまいます。
また、水分も多く食べ過ぎは下痢を引き起こす要因となります。
健康に良いとされるものでも過剰に摂取すると逆に健康被害を及ぼす原因になってしまいますので、愛犬・愛猫の体格や体調に合わせておやつ程度の適量を与えるようにしましょう。
おすすめレシピ
桃とモッツァレラチーズのサラダ
桃の皮を剥き、種を取り除いて小さめにカットします。
モッツァレラチーズも桃と同様の大きさにカットし、オリーブオイル(1g程度で十分)と乾燥パセリを一つまみをカットした桃と和えて完成です。
見た目にも涼やかで、お祝いの時にも役立ちそうな一品。
モッツァレラチーズは比較的塩分の少ないフレッシュチーズなので、少量であれば犬猫に与えても大丈夫です。栄養価の高いチーズと桃のビタミンや食物繊維で腸内環境を整え、免疫力アップやアンチエイジングが期待できるレシピです。
オリーブオイルも少量であれば犬猫の健康に有効的で、皮膚や毛の健康維持に役立ちます。
桃のヨーグルトアイス
皮を剥き種を取り除いた桃の果肉適度な大きさにカットし、プレーンヨーグルトをポリ袋に入れて手で揉みつぶしながら桃とヨーグルトを良く混ぜます。
ポリ袋のまま冷凍庫に入れ、1時間から2時間程度したら再度ポリ袋を揉んで中身を混ぜます。これを2、3回繰り返せば桃のヨーグルトアイスの完成。
冷凍庫で保存しておけば、好きなときに好きな量を取り出せる便利なレシピです。夏の暑い時期に少量出してあげればクールダウンに役立ちます。
桃は疲労回復や夏バテ防止に役立つ果物なので、犬猫が喜ぶヨーグルトの嗜好性と栄養をプラスして散歩の後にぴったりなおやつになります。
アイスなので与えすぎは下痢を引き起こす要因になりかねません。おやつ程度に控えて与えてあげてください。