犬猫はえごま油を食べても大丈夫!亜麻仁油との違いやα-リノレン酸等の効能について

えごま油はシソ科の一年草である「荏胡麻(えごま)」の種子をしぼって作られる油です。

オメガ3脂肪酸であるα-リノレン酸を多く含む点などから、その健康効果に注目されています。

サラダにかけて食べるのが一般的で、えごま油を使ったドレッシングなども多数のメーカーから販売されています。

えごま油は犬猫が食べても大丈夫!

えごま油は犬猫に与えることができます。

一部のメーカーからは犬猫用のえごま油やえごま油タブレットが販売されています。

本記事では、

  • 犬猫と油の関係について
  • えごま油と亜麻仁油どっちの方が良い?
  • えごま油を犬猫に与えるメリットや注意点
  • 犬猫にえごま油を与える時の適量

などについてお話していきます。

えごま油は腎臓や肝臓に良い?

多少は腎臓や肝臓への健康効果があると思われますが、他の方法を取った方が良いと考えられます。

腎臓や肝臓に良いとされるオメガ3脂肪酸はEPA・DHAであり、リノレン酸は体内でそれに変換されます。

しかし、その変換率は10~15%と少なくなっています。

EPA・DHAは魚などから直接摂取した方が良いでしょう。

犬猫と油・脂質の関係

犬猫に油分はNG!というイメージがありますが、それは「バランスの取れたペットフードを食べているのなら脂質は十分に取れている」「人間用の感覚で油が使われた料理は犬猫に脂質過剰になってしまう」といった理由によるものです。

過剰摂取はもちろんよくありませんが、少量の脂質は犬猫に必要な栄養素です。

脂質は犬猫の体の中で、

  • 細胞膜や血液などの体の構成物質になる
  • エネルギーの貯蔵
  • 生活習慣病の予防
  • 脳の機能維持
  • 体温の調整

などの働きをします。

愛犬愛猫にフードを手作りする場合は脂質のことも考慮し、体質や状況に合わせたオイルを少量取り入れることで健康効果に期待が持てます。

えごま油と亜麻仁油に含まれる主な成分

えごま油とあまに油100gあたりの主な成分

えごま油亜麻仁油
α-リノレン酸58000mg57000mg
オレイン酸15000mg16000mg
リノール酸12000mg14000mg

参考資料:八訂 食品成分表 2022

えごま油と亜麻仁油どっちの方が良いの?

成分表からえごま油と亜麻仁油は微妙な差こそあれ、その成分はかなり近いものだとわかりますね。

その他の要素から違いを考えてみましょう。

微量成分の違い

えごま油と亜麻仁油は微量に含まれる成分に差があります。

ただし、これらは微量なので「そうした効果が期待できるかも」程度にお考えください。

えごま油が微量に持つ成分

ルテリオン:強い抗炎症作用があり、肌や脳機能の低下を防ぐアンチエイジング効果があります。肥満や生活習慣病の予防効果も。
ロズマリン酸:強い抗酸化作用と対アレルギー作用を持っています。

亜麻仁油が微量に持つ成分

リグナン:抗酸化作用のある成分です。コレステロール値を下げる働きも持っています。

味の違い

えごま油:基本的に無味無臭で、クセが無くサラッとしています。
亜麻仁油:青臭さを感じさせ、クセのある苦みがあります。

えごま油と亜麻仁油どちらを選ぶべきか

微量成分の健康効果は大きくは期待できないので、どちらかと言えばクセのないえごま油の方が良いと考えられます。

しかし犬猫の好みにも左右されますので、実際に与えてみて好む方を選ぶと良いでしょう。

亜麻仁油についてはこちらの記事で詳しく解説しています。

犬猫はアマニ油を食べても大丈夫!便秘に効果あり?オメガ3脂肪酸の効果とは?

えごま油を犬猫に摂取させる主なメリット

考えられる主なメリットを簡単にまとめます。

  • 皮膚や毛の健康を維持する
  • 脳細胞の活性化
  • 血液をサラサラにする
  • 脂質代謝の改善
  • アトピーやアレルギー症状の緩和
  • がんや心臓病、血管の病気の予防
  • 悪玉コレステロールを減らし動脈硬化予防
  • 中性脂肪を減らしダイエット効果
  • 肝臓や腸の働きを高める

えごま油は全ても食品の中でもトップクラスのα-リノレン酸を持っている他、オレイン酸・リノール酸も持っているので様々な健康効果に期待できます。

えごま油を犬猫に摂取させる時の注意点

無理に与えない

えごま油は犬猫に様々な健康効果をもたらすことが考えられ、普段の食事にも取り入れやすいですが、愛犬愛猫が嫌がる時は与えるのをやめましょう。

嫌なものを無理に食べるのは犬猫のストレスになりますし、飼い主様との関係が悪化してしまうことも考えられます。

加熱は行わない

えごま油に含まれる中に含まれる成分「α-リノレン酸」は熱に弱いので、加熱処理を行わないようにしましょう。

高温調理や長時間加熱する料理などには向いていません。

温かい食事でも、犬猫が食べられる程度に温度が下がってから加えるのであれば大丈夫です。

過剰摂取はNG

えごま油が健康に良いとはいえ、油ですので過剰摂取は肥満に繋がります。

また、大量に油分を摂取すると犬猫が下痢や嘔吐をしてしまう可能性も。

犬猫に油を摂取させる時は適量を守ったほんの少しにしましょう。

犬猫にえごま油を与える時の適量

1日の目安量は、

3kg以下:小さじ1/2杯
5kg前後::小さじ1杯
10kg~20kg:小さじ2杯程度

とされています。ただしあくまでこちらは目安なので、愛犬愛猫の体格や状況に合わせて調整してください。

与える時は普段のフードなどに混ぜ込むと犬猫も食べやすくなります。

「えごま油」と「ごま油」は名前が似てるけど違うもの?

名前が似ていますがまったく違う油です。

えごま油:シソ科の荏胡麻から作られます。α-リノレン酸が非常に豊富です。

ごま油:ごまから作られます。ごま由来の成分を持っていますが、α-リノレン酸は少なくなっています。

ごま油についてはこちらの記事で解説しています。

犬猫にごま油は与えても大丈夫?ごま油の効果や注意点について解説

【まとめ】

犬猫はえごま油を食べても大丈夫です!

「α-リノレン酸」を全食品の中でもトップクラスに多く含み、アトピーやアレルギー症状の緩和、脳細胞の活性化など様々な健康効果に期待が持てます。

亜麻仁油とは成分が似通っていますが、クセの無さからえごま油の方が食事に取り入れやすいと考えれます。

注意点を3つ紹介します。

  • 犬猫が嫌がる場合は無理に与えるのをやめましょう。
  • α-リノレン酸は熱に弱いので、加熱処理は行わないように。
  • 過剰摂取は肥満などに繋がるので、犬猫に合わせた少量を与えてください。

α-リノレン酸を豊富に持ち、食事に混ぜ込む形で犬猫にも摂取させやすいえごま油。

愛犬愛猫の食事を手作りフードに取り入れてみてはいかがでしょうか。

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鈴木 利奈RINA SUZUKI - PET FOOD ADVISER

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ペットレシピ.jpの記事を執筆・監修しています。

キャットフード勉強会・ドッグフード勉強会を運営している鈴木です。大好きな犬猫とペットフードについて深く学ぶため、講師を呼んで勉強会を開いています。ペットフード販売士、ペット栄養管理士、愛玩動物飼養管理士2級、化粧品検定1級(コスメコンシェルジュ)等の資格を取得。

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