犬猫はえごま油を食べても大丈夫?亜麻仁油との違いやα-リノレン酸等の効能について

えごま油はシソ科の一年草である「荏胡麻(えごま)」の種子をしぼって作られる油です。

オメガ3脂肪酸であるα-リノレン酸を多く含む点などから、その健康効果に注目されています。

サラダにかけて食べるのが一般的で、えごま油を使ったドレッシングなども多数のメーカーから販売されています。

えごま油は犬猫が食べても大丈夫

えごま油は犬猫に与えることができます。

一部のメーカーからは犬猫用のえごま油やえごま油タブレットが販売されています。

本記事では、

  • 犬猫と油の関係について
  • えごま油と亜麻仁油どっちの方が良い?
  • えごま油を犬猫に与えるメリットや注意点
  • 犬猫にえごま油を与える時の適量

などについてお話していきます。

えごま油は腎臓に良い?

多少は腎臓への健康効果があると思われますが、他の方法を取った方が良いと考えられます。

腎臓や肝臓に良いとされるオメガ3脂肪酸はEPA・DHAであり、リノレン酸は体内でそれに変換されます。しかし、犬や猫においてALAからEPA・DHAへの変換効率は高いとは言えず、とくに猫ではDHAの合成能力が非常に限られていると報告されています。

慢性腎臓病の栄養管理では、複数のガイドラインで魚由来のEPA/DHAの補給が言及されており、腎臓保護の観点からはEPA・DHAを直接摂取する方法が用いられることがあります。そのため、腎臓疾患を意識したオメガ3補給を目的とする場合はえごま油よりも魚由来EPA/DHAを直接摂取するほうが適していると考えられます。

ただし慢性腎臓病の治療に関しては、栄養管理のみで病態をコントロールできるものではありませんので、必ず主治医の獣医師の指示に従うことが重要です。

参考:Chronic Kidney Disease (CKD) in Dogs
参考:Nutrient Requirements of Dogs and Cats

犬猫と油・脂質の関係

犬猫に油分はNG!というイメージがありますが、それは「バランスの取れたペットフードを食べているのなら脂質は十分に取れている」「人間用の感覚で油が使われた料理は犬猫に脂質過剰になってしまう」といった理由によるものです。

たしかに、総合栄養食を適切量与えている場合、通常は必要量の脂質は満たされています。そのため、過剰摂取はもちろんよくありませんが、一定量の脂質は犬猫に必要な栄養素であり、必須脂肪酸の摂取は必要なものであると考えられます。

脂質は体内でエネルギー源として利用されるほか、細胞膜の構成成分となり、脂溶性ビタミン(A・D・E・K)の吸収を助ける役割を担います。また、必須脂肪酸は皮膚や被毛の健康維持にも関与します。

愛犬愛猫に手づくりごはんを与える場合は主食で与える総合栄養食に含まれる脂質のことも考慮し、過剰な油の追加はしないように注意しましょう。

えごま油と亜麻仁油に含まれる主な成分

えごま油とあまに油100gあたりの主な成分

えごま油亜麻仁油
α-リノレン酸58000mg57000mg
オレイン酸15000mg16000mg
リノール酸12000mg14000mg

参考資料:食品成分データベース

えごま油と亜麻仁油どっちの方が良いの?

成分表からえごま油と亜麻仁油は微妙な差こそあれ、その成分はかなり近いものだとわかりますね。

その他の要素から違いを考えてみましょう。

微量成分の違い

えごま油と亜麻仁油はいずれも主成分はα-リノレン酸(ALA)で、脂肪酸組成は非常に近い油です。

日本食品標準成分表(八訂)では、えごま油のALA割合は約60%前後、亜麻仁油は約50〜60%前後とされ、えごま油のほうがやや高い傾向があります。

一方で、リノール酸(オメガ6脂肪酸)は亜麻仁油のほうがやや多いと報告されています。また、ビタミンE(トコフェロール)量には製品差があります。

味の違い

えごま油:基本的に無味無臭で、クセが無くサラッとしています。
亜麻仁油:青臭さを感じさせ、クセのある苦みがあります。

えごま油と亜麻仁油どちらを選ぶべきか

微量成分の健康効果は大きくは期待できないので、どちらかと言えばクセのないえごま油の方が与えやすいかもしれません。

しかし犬猫の好みにも左右されますので、実際に与えてみて好む方を選ぶと良いでしょう。

亜麻仁油についてはこちらの記事で詳しく解説しています。

犬猫はアマニ油を食べても大丈夫。便秘に効果あり?オメガ3脂肪酸の効果とは?

えごま油を犬猫に摂取させる主なメリット

えごま油はα-リノレン酸(ALA)を豊富に含む植物油です。ALAは必須脂肪酸の一種であり、体内でエネルギー源として利用されます。

脂質は細胞膜の構成成分となり、脂溶性ビタミンの吸収を助けるなど、生理機能の維持に関与します。また、必須脂肪酸は皮膚のバリア機能や被毛の状態維持に関与することが知られています。脂質が不足すると、被毛の乾燥や皮膚トラブルが起こる可能性がありますので、日常的な健康維持を支える基礎的な栄養素のひとつと言えます。

えごま油を犬猫に摂取させる時の注意点

無理に与えない

えごま油は犬猫に様々な健康効果をもたらすことが考えられ、普段の食事にも取り入れやすいですが、愛犬愛猫が嫌がる時は与えるのをやめましょう。

嫌なものを無理に食べるのは犬猫のストレスになりますし、飼い主様との関係が悪化してしまうことも考えられます。

加熱は行わない

えごま油に含まれる中に含まれる成分「α-リノレン酸」は熱に弱いので、加熱処理を行わないようにしましょう。

高温調理や長時間加熱する料理などには向いていません。

温かい食事でも、犬猫が食べられる程度に温度が下がってから加えるのであれば大丈夫です。

過剰摂取はNG

えごま油が健康に良いとはいえ、油ですので過剰摂取は肥満に繋がります。

また、大量に油分を摂取すると犬猫が下痢や嘔吐をしてしまう可能性も。

犬猫に油を摂取させる時は適量を守ったほんの少しにしましょう。

犬猫にえごま油を与える場合

えごま油に関して、犬猫用の公的な「推奨投与量」は設定されていません。脂質は高エネルギー栄養素であり、1gあたり約9kcalを持つため、少量でも総摂取カロリーに大きく影響します。

たとえば、小さじ1杯(約5g)を与えれば約45kcalに相当します。これは、小型犬・猫にとっては1日の総カロリーのかなりの割合になります。

総合栄養食を適量与えている場合、通常は必要な脂質量は満たされているので、追加する場合はごく少量に留めるべきでしょう。フードに混ぜることで嗜好性は高まることがありますが、与えすぎには注意が必要です。

「えごま油」と「ごま油」は名前が似てるけど違うもの?

名前が似ていますがまったく違う油です。

えごま油:シソ科の荏胡麻から作られます。α-リノレン酸が非常に豊富です。

ごま油:ごまから作られます。セサミンやセサモールといったごま由来の成分を持っていますが、α-リノレン酸は少なくなっています。

ごま油についてはこちらの記事で解説しています。

犬猫にごま油は与えても大丈夫?ごま油の効果や注意点について解説

【まとめ】

犬や猫はえごま油を少量であれば与えても大丈夫な食材です。

えごま油はα-リノレン酸(ALA)を多く含む植物油として健康効果が期待されています。脂質は犬猫にとって必須栄養素であり、エネルギー源となるほか、細胞膜の構成成分として体の機能維持に関与します。ただし、ALAからEPA・DHAへの変換効率は高いとは言えず、特定の疾患管理を目的とする成分ではありません。

注意点

・犬猫が嫌がる場合は無理に与えない
・α-リノレン酸は酸化しやすいため、加熱せず新鮮な状態で使用する
・脂質は高エネルギー栄養素のため、過剰摂取は肥満などにつながる可能性がある

総合栄養食を適量与えている場合、通常は脂質は十分に満たされています。手作りごはんに取り入れる場合は、全体のエネルギーバランスを考慮したうえで慎重に使用するようにしましょう。

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鈴木 利奈

鈴木 利奈ペットフードアドバイザー

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WEBサイトのキャットフード勉強会、ドッグフード勉強会の旧管理者。現在は犬猫レシピの記事を執筆・監修しています。ペット栄養管理士、愛玩動物飼養管理士2級、化粧品検定1級(コスメコンシェルジュ)等の資格を取得。

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