犬猫とさんま
秋の味覚として有名な細長い魚さんま。もちろん旬は秋で9月~10月の約1ヶ月ほどしか市場に出回りません。
食べられる期間が限られているものなのでせっかくだったら愛犬や愛猫と一緒に楽しみたいですよね。
犬や猫はさんまを食べても大丈夫!
犬猫はさんまを食べても大丈夫です。
しかしさんまのような青魚を犬猫に与える際には注意すべき点があります。
今回は犬猫へのさんまの与え方や注意点を解説していきます。
生で食べても大丈夫?
海鮮料理のお店などに行くとさんまのお刺身が売られていることもあり、さんまを生食する機会もあると思います。
しかし生のさんまは犬猫に与えない方が無難です。さんまの生食には寄生虫のリスクがあります。
アニサキス
さんまには「アニサキス」という寄生虫が寄生している可能性があり、
このアニサキスを生きたまま食べてしまうと激しい腹痛・嘔吐・下痢などの症状が現れることがあります。
アニサキスは加熱することによって死滅するので犬猫にさんまを与える際は加熱調理をおすすめします。
愛犬や愛猫が苦しまないためにも生のさんまを与えるのはやめておいた方がいいでしょう。
内臓は食べられる?
さきほど紹介した寄生虫のアニサキスはさんまの内臓によく寄生しています。
もちろん内臓を与える際もよく加熱してから食べさせてあげてください。
魚の胃には食べたものが詰まっていてそれが原因で食中毒になるかもという心配があるかもしれませんが
さんまは構造上胃を持たない「無胃魚」と呼ばれる魚に分類されます。
そのため食べたものが消化管を通ってすぐに出て行くのでさんまの内臓に残っているものが原因で食中毒になるというのは考えづらいです。
しかしさんまの内臓は苦く、人間でも苦手な方が多いです。犬猫が喜んでくれるかはわかりません。
さんまに含まれる代表的な栄養素
皮付き 生 可食部100g当たり
栄養素 | 含有量 |
---|---|
エネルギー | 287kcal |
たんぱく質 | 16.3g |
炭水化物 | 4.4g |
脂質 | 22.7g |
ビタミンD | 16.0mg |
参考資料:八訂 食品成分表 2022
たんぱく質
さんまには100gあたり16.3gのたんぱく質が含まれています。
たんぱく質は多くの生き物のからだの材料となっている栄養素で、健康な皮膚・被毛・内臓・骨を維持するのに欠かせません。
また、たんぱく質はエネルギーにもなる栄養素で特に猫のような肉食動物にとっては重要なエネルギー源です。
ただしたんぱく質の摂りすぎは肥満の原因となるので注意しましょう。
不飽和脂肪酸
さんまの脂質は100gあたり22.7gと少し高めに感じますがこの中には体に良い油も含まれています。
その中でも代表的なものが青魚に含まれていることが多いDHAやEPAなどのオメガ3脂肪酸です。DHAやEPAには様々な効果が期待されます。
特にDHAは脳や網膜に最も多い脂肪酸で体が成長する成長期の犬猫にとって特に大切な栄養素です。
他にも血液中の脂質量がふえてしまう高脂血症や動脈硬化に効果があったり、抗炎症作用などがあります。
ビタミンD
ビタミンDは肉類や野菜類にはほとんど含まれず、魚に多く含まれるビタミンです。
カルシウムやリンの吸収を助けて丈夫な骨を作ります。
ビタミンDが不足すると「くる病」という骨の病気になってしまう可能性があります。
逆に過剰になると骨格異常になったりするかもしれないのでバランスよく摂取することが大切です。
犬や猫にさんまを与える際の注意点
ヒスタミン中毒
さんまのような青魚を与えるうえで注意したいのが「ヒスタミン中毒」です。
さんまは「ヒスチジン」というアミノ酸の一種を持っており、ヒスチジンは犬猫にとって必要な栄養素なのですが
常温で長時間放置などして鮮度が落ちたさんまのヒスチジンは「ヒスタミン」という食中毒を引き起こす物質に変化してしまいます。
このヒスタミンは熱に強く、一度生成されてしまうと加熱調理しても活性を失うことはありません。
鮮度が落ちたさんまは犬猫に与えず、飼い主様も食べないでください。
黄色脂肪症
前述したとおり不飽和脂肪酸は体に良い成分ですが、過剰摂取には注意が必要です。
不飽和脂肪酸は酸化しやすいという特徴があり、その酸化を止めるために抗酸化作用のあるビタミンEが働きます。
不飽和脂肪酸を摂り過ぎるとビタミンEがどんどん消費され不足すると黄色脂肪症(イエローファット)という病気になるかもしれません。
症状としては鼠径部や腹部に脂肪が変質した「しこり」ができます。これは痛みを伴うので発症した犬猫は歩き方がおかしくなったり腹部を触られるのを嫌がったりします。
これは歴史的にも魚をよく食べてきた猫に多い病気です。もし愛犬・愛猫が黄色脂肪症になってしまったらすぐに獣医に相談しましょう。
そして普段犬猫に与えている食事内容を見直すことが大切です。
骨はしっかり取ってから与えよう
魚を犬猫に与えるうえで注意しなくてはいけないのは骨です。
犬猫はもちろん人間のように器用に骨を取り除きながら魚を食べるなんてことはできないのであらかじめ取ってあげる必要があります。
もし飲み込んでのどや消化器官に刺さってしまうと最悪の場合外科手術にもなりかねませんのでよく注意して取り除きましょう。
火を通したさんまの身をほぐしながら骨を取り除くと小骨にも気づきやすいと思います。
アレルギーに気をつけて
犬猫はさんまにアレルギーを持っている場合があります。
初めてさんまを与える際は少量に抑えて食べた後の様子をよく観察してあげましょう。
下痢・嘔吐・皮膚の赤みやかゆみ・目の充血などのアレルギー反応が確認できた場合はそれ以降さんまを与えるのをやめ、
症状が酷くなる場合はすぐに獣医に相談しましょう。
犬や猫にあげるさんまのレシピ
犬猫にさんまを与える場合は茹でたものをフレーク状にして普段のペットフードへのトッピングとして活用するのがよいでしょう。
下記リンクはブリのものですが魚をフレーク状にする際の参考にしてみてください。
ただしさんまはブリよりも小骨が多いので骨はよく注意して取り除いてあげてください。
【まとめ】犬猫はさんまを食べても大丈夫
犬猫はさんまを食べても大丈夫ですが以下の点には注意しましょう。
- さんまは生食可能な魚ですが寄生虫などの危険性があるので加熱調理がおすすめ
- ヒスタミン中毒の可能性があるので鮮度が落ちたさんまを犬猫に与えない
- 小骨が多いのでよく注意して取り除く
今回はさんまについて紹介しました。近年では温暖化の影響でさんまが日本海から離れてしまい漁獲量が減り価格が高騰しています。
この先ますます手に入らなくなってしまう可能性もありますので今のうちに愛犬・愛猫と一緒にさんまを楽しむのもよいでしょう。