稲作よりも前、縄文時代に日本に伝わったとされる歴史のある野菜、里芋。
煮物でおなじみのこの里芋は芋類の中でも独特の粘り気があり人気の食材です。
そんな里芋は犬猫が食べても大丈夫なのでしょうか。
犬や猫は里芋を食べても大丈夫!
犬や猫は里芋を食べても大丈夫です。
ただし犬猫に里芋を与える場合には注意すべき点があります。
この記事では里芋の与える時の注意点やレシピなどをご紹介します。
生で食べるのはNG
犬猫も人間も、生の里芋は食べてはいけません。
理由は以下の通りです。
デンプンを消化できない
食べてはいけない理由の一つは里芋に含まれている「デンプン」にあります。
デンプンは生の状態では消化することが出来ないのでもし生の里芋を食べてしまうとお腹を壊してしまうかもしれません。
かゆみの原因、シュウ酸カルシウム
里芋には「シュウ酸カルシウム」という成分が含まれています。
これは針のような形をしており、生の里芋を触れたときにかゆみの原因となる成分です。
生の里芋を食べるとこのシュウ酸カルシウムが原因で皮膚炎を起こしてしまったり、のどや胃の粘膜が荒らされてしまうかもしれません。
また、シュウ酸カルシウムは「シュウ酸カルシウム結石」の原因となる可能性があるので注意しましょう。
シュウ酸カルシウムは水溶性のため茹でることにより大幅に量を減らすことが可能です。
そもそも生の里芋はえぐみが強くて美味しくないので食べることは無いと思いますが愛犬愛猫が目を離した隙に生で食べてしまうようなことが無いように注意しましょう。
里芋の水煮は大丈夫?
里芋の皮を剥くのが苦手でいつも水煮を使うという方も多いのではないでしょうか。
水煮された加熱されでんぷんにも火が通っていて、煮ることでシュウ酸カルシウムも減っているため、基本的には犬猫が食べても大丈夫です。
ただし塩が使われていたり気になる添加物が使われていないか、しっかり確認しましょう。
里芋に含まれる代表的な栄養素
球茎 生 可食部100gあたり
栄養素 | 含有量 |
---|---|
エネルギー | 53kcal |
たんぱく質 | 1.2g |
脂質 | 0.1g |
炭水化物 | 10.3g |
食物繊維総量 | 2.3g |
カリウム | 640mg |
ビタミンB1 | 0.07mg |
参考資料:八訂 食品成分表 2022
食物繊維(ガラクタン)
里芋のぬめりの正体が「ガラクタン」という水溶性食物繊維の一種です。
このガラクタンには胃腸の粘膜を保護し、消化を促進する役割があるほか、免疫力アップの効果も期待されています。
カリウム
カリウムはミネラルの一種で細胞機能・神経伝達・エネルギー代謝などに関わるとても重要な栄養素です。
過剰も欠乏も病気の原因になるのでバランス良く摂取することが大切です。
高カリウム血症
通常、体に不必要な分のカリウムは尿と一緒に体外へ排出されるため基本的にカリウム過剰になる心配はありませんが腎臓病を患っており、
うまくおしっこを出せない犬猫は「高カリウム血症」の注意が必要です。
高カリウム血症とはカリウムの排出がうまく出来ずに血中のカリウム濃度が上がってしまった状態のことで神経や消化器に異常をきたし、最悪の場合死に至ってしまうとても恐ろしい病気です。
人間の場合でも腎臓病を患っている場合はカリウム制限が必要とされています。もし愛犬・愛猫が腎臓を悪くしている場合は十分注意しましょう。
低カリウム血症
普段から総合栄養食のペットフードを与えている場合はカリウムが不足する心配はあまりありませんが
手作りご飯の与えすぎによるカリウム不足や食欲不振が続いている場合には「低カリウム血症」の心配があります。
症状は高カリウム血症に似たものや筋力低下・歩行不全などがあります。
愛犬・愛猫はよく見てあげて
高カリウム血症や低カリウム血症はなかなか飼い主様が気づきにくい病気です。
愛犬・愛猫の様子は普段からよく見てあげて、トイレの回数が増えた・トイレに行ってもおしっこが出ていない・ご飯を食べないなどの症状が見られる場合は一度に獣医に相談してみましょう。
犬や猫に里芋をあげる際の注意点
そのほか、犬猫に里芋を与える際の注意点を紹介します。
与えすぎに注意!
里芋には食物繊維が含まれていますが犬や猫は食物繊維を消化吸収することができないため必要以上に摂取してしまうと
消化不良から下痢などの原因となる可能性があります。
また、里芋は満腹感を感じやすい食材のため里芋を食べ過ぎると普段与えているペットフードを食べられなくなるかもしれません。
ペットフードを食べないと栄養不足になってしまうので注意しましょう。
食べやすくして与えよう
里芋の大きさやゆで加減にもよりますが、茹でたものをそのまま犬猫に与えるとのどに詰まらせてしまう可能性もあります。
潰してマッシュポテトのようにするか細かく刻んであげるとよいでしょう。
アレルギーに気をつけて
どんな食べ物でもアレルギーの可能性は少なからずあるので注意しましょう。
犬猫のアレルギー症状は下痢・嘔吐・皮膚の赤みやかゆみ・目の充血などがほとんどで人間のアナフィラキシーショックのような大きな反応は滅多にありません。
アレルギー反応を示しているのに気づかずに与え続けてしまわないように里芋を初めて与えた後はよく観察してあげましょう。
また、初めての食材を与える場合は少量に抑え、少しでも異常が見られたらそれ以上与えるのをやめ、症状が酷くなる場合は獣医に相談しましょう。
犬や猫にあげる里芋のレシピ
鱈と里芋のトッピングご飯
材料
- 里芋 ・・・ 30g
- 鱈 ・・・ 20g
- 人参 ・・・ 10g
- 小松菜 ・・・ 10g
①材料全てをよく火が通るまで茹でる(里芋を皮付きのまま茹でる場合は鍋を分けた方が良いです)
②里芋は潰し、鱈は骨を取り除きながら身をほぐす
③人参と小松菜は細かく刻む
④材料を全て混ぜ合わせ、普段与えているペットフードにトッピングして完成
ただ潰した里芋をトッピングするだけではなく魚を使うことによって猫も喜んで食べてくれそうなレシピです。
【まとめ】犬猫は里芋を食べても大丈夫
犬猫は里芋を食べても大丈夫ですが以下の点には注意しましょう。
- 生食はNG!よく茹でてから食べさせてあげましょう
- カリウムが豊富に含まれているので腎臓が悪い犬猫は食べない方がいい
- 食物繊維が含まれているので与えすぎに注意
今回は里芋について紹介しました。
紹介した注意点を守って手作りご飯を考えてみてください。