そもそもしらすってなに?
しらすとはイカナゴ・ウナギ・カタクチイワシ・マイワシ・ウルメイワシ・アユ・ニシンなど、体に色素がなく白い稚魚の総称のこと。
現在一般的に「しらす」として売られ、食されているのは主にカタクチイワシの稚魚。カタクチイワシより数は少ないですがマイワシやウルメイワシの稚魚も流通しています。
朝ご飯やしらす丼など和食のイメージが強いですが、サラダやトースト、アヒージョなどの料理にも活用でき、柔軟な食材です。
小魚は栄養価が高いイメージもあり、食べやすそうなので愛犬愛猫に食べさせてみようかな?と気になっている飼い主さんもいらっしゃるのではないでしょうか。
犬や猫はしらすを食べても大丈夫!
しらすは犬猫が食べても大丈夫な食材です。パッとイメージできるカルシウムの他にも犬猫の体にいい栄養素が豊富に含まれています。
ただし、量や与え方などいくつか注意が必要。
今回はしらすを犬猫に食べさせるメリットや注意点、簡単なレシピなどを解説・紹介していきます。
塩分は気にしなくていい?
一般的に流通しているしらすは犬猫にとっては塩分の多い食材であると言えます。
ただし、食べさせる量に気を付ける・減塩のものを選ぶ・塩抜きをするといった塩分への対処方を取ればリスクを減らすことができます。
塩分の及ぼす影響や塩抜き方法などについては後ほど紹介します。
腎臓病や尿路結石など病気への影響は?
しらすは塩分に加え、カルシウムなどのミネラルを豊富に含みます。これらは健康な犬猫が適量摂取する分には体に良い物ですが、腎臓に問題を抱えていたり、尿石症の犬猫には負担となります。
また、健康な犬猫であっても過剰摂取はよくありません。
生のしらすも大丈夫?
見かける機会は少ないかと思いますが、生のしらすも食べさせて大丈夫です。栄養素豊富でありながら、加工されていないので塩分も少ないです。
ただし、しらすは鮮度が落ちやすいので鮮度の確認はしっかりと行いましょう。
加工法によるしらす製品の名称の違い
生のしらすを加工する方法によって以下のように名前が変わります。
釜揚げしらす:塩茹でのみ
しらす干し:塩茹でして少し干したもの
ちりめんじゃこ:塩茹でしてじっくり乾燥させたもの
しらすに含まれる代表的な栄養素
しらす100gあたりの栄養素表
生シラス | 釜揚げシラス | シラス干し | ちりめんじゃこ | |
---|---|---|---|---|
エネルギー | 67kcal | 84kcal | 113kcal | 187kcal |
カルシウム | 210mg | 190mg | 280mg | 520mg |
マグネシウム | 67mg | 48mg | 80mg | 130mg |
リン | 340mg | 320mg | 480mg | 860mg |
ビタミンD | 6.7μg | 4.2μg | 12.0μg | 61.0μg |
食塩相当量 | 1.0g | 2.1g | 4.2g | 6.6g |
EPA | 90mg | 120mg | 150mg | 200mg |
DHA | 250mg | 320mg | 340mg | 570mg |
生しらす:しらす 生
釜揚げしらす:釜揚げしらす
しらす干し:しらす干し 微乾燥品
ちりめんじゃこ:しらす干し 半乾燥品
参考資料:八訂 食品成分表 2022
しらすを犬猫に食べさせるメリット
食いつきが良く食べやすい
しらすはご存じの通り柔らかいので食べやすい食材です。
また、こういった小魚は犬猫の嗜好に合っており好む子も多いです。
最初からバラバラになっているので愛犬愛猫に合わせてトッピングなどで適量を与えやすい点も優れています。
カルシウムやビタミンDによる骨の強化・維持
しらすに豊富に含まれるカルシウムは骨や歯を形成・強化し、体を支える重要な役割を果たしています。
カルシウムは吸収率の低い栄養素ですが、しらすにはビタミンDも含まれておりカルシウムの吸収と沈着をサポートし骨の形成を助けます。
DHA・EPAによる血栓症防止・皮膚粘膜の保護・ガン予防
オメガ3脂肪酸に分類されるDHA・EPAがしらすには含まれています。
オメガ3脂肪酸は体内で生成できない栄養素。摂取することで皮膚粘膜を保護し皮膚や毛並みを健康に保つ、血栓症の防止・ガン予防と言った健康効果が考えられます。
犬猫にしらすを食べさせる際の注意点
塩分が多い
栄養素表に記しておりますが、一般的に流通している釜揚げしらす100gには2.1g、干ししらす100gには4.2gの食塩相当量が含まれています。
犬猫の1日における塩分摂取量目安は、体重5kgの犬で0.18g、猫は0.33gですので、その塩分量の多さがお分かりになるかと思います。
犬猫に多少の塩分は必要ですが、塩分を過剰に摂取すると高血圧となり心臓や腎臓へ大きな負担を掛けます。
ただし、しらす100gというと1パックまるごとでも足りないこともある相当な量です。
しらすほんのひとつまみ、3g程度でしたら過剰な摂取にはあたりません。
それでも塩分が気になるという時は、
- 塩抜きを行う
- 減塩しらすを選ぶ
- 犬猫用しらすを購入する
という手段を取りましょう。
ちりめんじゃこはかなり塩分量が多いので、犬猫には食べさせないほうが良いでしょう。
尿石症と腎臓への影響
しらすに含まれる豊富なミネラルにより、ミネラル成分が結晶化しストルバイト結石やシュウ酸カルシウム結石という症状が起きることがあります。
また、ミネラルは摂り過ぎると腎臓にも負担を掛けてしまいます。
既に尿石症や腎不全の犬猫に食べさせることは厳禁です。健康な犬猫にも過剰摂取は危険となります。
犬猫の尿路結石についてはこちらの記事で詳しく解説しております。
食物アレルギーに気をつけて
健康な犬猫であれば問題ありませんが、魚介類にアレルギーを持っている場合はアレルギー症状が出てしまう可能性があるので控えるべきです。
まずはほんの少量、ひとつまみ程度の量を食べさせ様子をよく観察しましょう。
体の痒み・皮膚の赤み、下痢や嘔吐といった症状が現れた場合は動物病院に連絡を取りましょう。
犬猫へのしらすの食べさせ方
しらすを食べさせる時の適量
あくまで少量をおやつや普段の食事へのトッピングとして食べさせましょう。
この時の適量はほんのひとつまみ、約3g程度にしておくと良いでしょう。小さじ1杯で約1.5gですので、2杯で丁度良い量です。
この量でしたら塩分もさほど気になりません。ただしあくまで目安量です。
毎日は食べさせず、週1~2回程度に抑えると良いでしょう。
しらすの塩抜きについて
それでもやはりもう少し塩分を落としたいという時は塩抜きを行いましょう。
茶こしやザルにしらすを広げ、熱湯を回しかければOK。
こうすることで約40%の塩分を抜くことができます。水分をよく切ってから愛犬愛猫に食べさせましょう。
【まとめ】犬猫はしらすを食べても大丈夫
犬猫はしらすを食べても大丈夫な食材です。
食べやすく犬猫の食欲をそそり普段のフードへのトッピングに適しています。
カルシウムを始めとしたミネラルやDHA・EPAが含まれており、骨や歯、皮膚や毛並みを強く健康に保ちます。
- 塩分の多さ
- ミネラルの過剰摂取
- 食物アレルギー
といった点には注意が必要です。
既に尿石症を抱えていたり、腎臓に問題のある犬猫には食べさせるべきではありません。
犬猫への適量はほんのひとつまみ程度ですので、これを守り過剰摂取とならないように気を付けましょう。