猪肉は日本で古く縄文時代から食べられてきたと言われています。
1908年頃からは味噌仕立てで食べる「ぼたん鍋」が親しまれるようになり、近年はジビエ肉の一種として鹿や鴨と共にその美味しさや栄養価に注目が集まっています。
犬猫は猪肉を食べても大丈夫!
猪肉はジビエの中でもクセが少ないので食べやすく、犬猫に対して毒性のある成分などを含んでいません。
一部のメーカーからは犬猫用の猪肉ジャーキーなどが販売されています。
本記事では、
- 猪肉ってどんな肉?鹿肉や豚肉との違いは?
- 猪肉を犬猫に食べさせるメリットや注意点
- 愛犬愛猫用の猪肉を使った手作りレシピ
といった内容についてお話していきます。
犬猫に猪肉を与える効果は?
ビタミンB群や鉄分が豊富で、代謝の活性化や疲労回復、貧血予防効果が期待できます。
詳しい栄養素や健康効果は後ほどお話します。
猪肉を食べると下痢になる?
生で食べた時や、犬猫がアレルギーに該当する場合は可能性があります。
しかし、猪肉が極端に下痢を引き起こす食材であるわけではありません。
食べさせる時の注意点などは後ほど詳しくお話します。
ジビエとして注目されている猪肉ってどんな肉?
ジビエとは
ジビエはフランス語で「天然の野生鳥獣の食肉」を意味する言葉です。
ヨーロッパでは貴族の伝統料理として古くから発展して来ており、フランス料理ではジビエが高級食材として重宝されています。
ジビエとして食される鳥獣は様々な種類が居ますが、主なものは
- 鹿
- 猪
- 鴨
- キジ
- ウズラ
- アナグマ
などが挙げられます。
フレンチのコース料理などで、ジビエを口にしたことのある方も多いのではないでしょうか。
猪と豚の関係
猪を扱いやすく品種改良した生き物が豚であり、生物学的には猪と豚はほとんど同じ種類です。
野生で育った方が猪、家畜として育った方が豚と考えるとわかりやすいですね。
ピンクでコロコロと丸い印象のある豚に対して、猪は黒っぽい茶色で毛は硬く歯が牙のようで野生を感じる見た目をしています。
猪肉ってどんな味?
肉に弾力があり、濃厚な味わいなのが特徴です。
ベースは豚に近いものがありますが、野山を駆けまわり運動量が多いため脂身が少なくなっています。
また、人の管理下に無いので食感や味にバラつきがあり、処理の仕方や状況によっては独特の「獣臭」を漂わせていることもあります。
猪肉に含まれる主な栄養素
猪肉と豚肉の栄養成分の比較(可食部100gあたり)
猪肉 | 豚肉 | |
---|---|---|
エネルギー | 249kcal | 237kcal |
たんぱく質 | 16.7g | 14.7g |
脂質 | 18.6g | 18.4g |
鉄分 | 2.5mg | 0.6mg |
ビタミンB1 | 0.24mg | 0.63mg |
ビタミンB2 | 0.29mg | 0.23mg |
ビタミンB6 | 0.35mg | 0.28mg |
ビタミンB12 | 1.7μg | 0.5μg |
参考資料:八訂 食品成分表 2022
ジビエである猪肉と、元は同じ種類であり私達に馴染み深い豚肉の栄養素比較です。
エネルギー・たんぱく質・脂質は近いですが、猪肉の方が鉄分は約4倍、ビタミンB12は約3倍も多くなっています。
その他の部分も豚肉に勝っているものが多く、猪肉が栄養面で優れていることがよくわかりますね。
犬猫に猪肉を食べさせるメリット
猪肉の持っている主な栄養素とその働きについて簡単にまとめます。
- たんぱく質:肉や内臓など体作り全般に必要な栄養素です。精神を安定させる効果も持っています。
- 脂質:過剰摂取はよくありませんが、エネルギー貯蔵や動脈硬化予防・生活習慣病の予防効果などを持っています。
- 鉄分:赤血球ヘモグロビンの構成物質となり、貧血予防に効果的な栄養素です。
- ビタミンB1:糖質の代謝を助け疲労を回復します。糖質が溜まると疲れやすくなり、神経も正常に働きづらくなります。
- ビタミンB2:細胞の再生を促す重要な働きをしています。このほか、皮膚や粘膜の健康をサポートする効果も。
- ビタミンB6:たんぱく質や脂質の代謝を促進します。猪肉には元からどちらもあるので効率的です。
- ビタミンB12:赤血球の合成を助け貧血を防ぎます。また、神経や脳の働きの維持にも役立っています。
犬猫に猪肉を食べさせる時の注意点
食中毒の危険!生食は絶対にNG
豚肉を生で食べることが危険だと皆さんご存じかと思いますが、猪はさらに危険です。
人の管理下でないところで活動しているので、どのような病原菌や寄生虫を保有しているのかが不透明です。
これまで
- E型肝炎
- サルモネラ
- カンピロバクター
といった食中毒細菌の検出が報告されており、犬猫がこれらを口にした時には様々な異常が現れる可能性があります。
十分な加熱処理を行えばこうした脅威はなくなるので、猪肉を始めとしたジビエは絶対に生で食べさせないようにしましょう。
万が一、生や生焼けの猪肉の誤食が発生した場合は、すぐに動物病院へ連絡してください。
参考
栃木県「ジビエ(野生鳥獣の肉)はよく加熱して食べましょう」
公益社団法人 日本獣医学会「Q:犬、猫に生の鹿・猪肉を与えてよいか」
下痢や嘔吐の可能性!アレルギー面も気を付けて
猪肉がアレルギー面で極端に危険というわけではありませんが、犬猫に初めての食材を食べさせるときは食物アレルギーに気を付けましょう。
まずはほんの少量から食べさせ、様子を見るようにしてください。
アレルギーの場合は下痢や嘔吐、目や皮膚を痒がり掻きむしるといった症状が現れます。そうした際は食べさせるのをやめましょう。
犬猫用の猪肉を使った手作りジビエレシピ
ぼたん鍋
材料
- 猪肉
- 焼き豆腐
- 白菜
- 舞茸
- にんじん
- おろししょうが
- 昆布だし
作り方
- 材料をそれぞれ愛犬愛猫が一口で食べられる小さいサイズにカットします。
- 土鍋に切った材料をキレイに並べてからひたひたになるまで昆布だしを入れ、最後にすりおろししょうがを鍋に溶かします。
- 強火で一煮立ちさせたらすぐ弱火にし、そのまま15分ほど煮込んだら完成!
犬猫用の調味料を使わないで作るぼたん鍋です。
実際に食べさせる量は、愛犬愛猫に合わせた少量にしてください。
余った分に味噌や醤油をプラスすると、私たちも美味しく食べることができます。
【まとめ】犬猫は猪肉を食べても大丈夫!
犬猫は猪肉を食べても大丈夫です。
生物学的には豚とほとんど同じ種類で、肉は豚に近いながら脂身が少なく弾力があり、濃厚な味わいをしています。
栄養も豚に近いものを有していますが、鉄分やビタミンB12は猪の方が圧倒的に豊富です。
猪肉を犬猫に食べさせると貧血予防や疲労回復、体作り、精神の安定効果などが見込めます。
注意点を2つ紹介します。
- 食中毒の危険があるので、必ず十分に火を通してください。
- 食物アレルギーに注意し、初めて食べさせる時は少量から与えて様子を見るようにしましょう。
鹿と並んでジビエの中でもポピュラーで食べやすい猪肉。
美味しく栄養も優れているので、本記事を参考に愛犬愛猫の食事に取り入れてみてはいかがでしょうか?