タケノコについて
竹の地下茎から出てくる若い芽をタケノコ(竹の子)と呼びます。
鮮度が命の食材で、旬は春の食材ですが夏と秋に取れるタケノコもあるそうです。
お吸い物や酢の物、煮物、和え物、炒め物、天ぷらなど様々な食べ方があり、タケノコが好きという方も多いのではないでしょうか。
今回は犬猫に食べさせるタケノコについて紹介・解説していきます。
犬や猫はタケノコを食べても大丈夫!
犬猫はタケノコを食べても大丈夫です!
アスパラギン酸、グルタミン酸、食物繊維など、犬猫の体に有用な栄養を含んでいますが、いくつか注意点もあります。
タケノコのえぐみ成分は大丈夫?
ホモゲンチジン酸
自分でタケノコを湯がいているときやタケノコの水煮に白いダマのようなものを見かけたことはないでしょうか。
これはチロシンと呼ばれるアミノ酸の一種ですが、チロシン自体は摂取しても問題がなく、むしろ旨味成分に分類されています。
ただし、このチロシンが酸化されるとえぐみの原因となるホモゲンンチジン酸に変化してしまいます。
収穫直後のタケノコは軽く湯がくだけで食べられるほどえぐみが少ないですが、これはまだチロシンが酸化されていないためホモゲンンチジン酸の量が少ないからです。
そこから徐々にホモゲンンチジン酸の量は増えていき、数日経ってしまうとしっかり下処理をしないと食べられないほどえぐみが強くなってしまいます。
しっかり下処理すればある程度は取り除けますので、愛犬愛猫に与える時は新鮮なものを選ぶか、しっかりえぐみを抜いてあげましょう。
シュウ酸
ほうれん草などに多く含まれるアクの原因シュウ酸は、タケノコにも多く含まれています。
葉野菜など柔らかい野菜に含まれるシュウ酸は軽く茹でるだけでも水中に溶け出しますがタケノコの場合は米ぬかや重曹を用いてアク抜きをします。
前述のホモゲンンチジン酸もこの方法で取り除けますので本記事の下部で詳しく紹介します。
生のタケノコや皮、市販の水煮は食べさせて大丈夫?
前述の通り生のタケノコはえぐみが強くシュウ酸が多く含まれています。
多少誤食してしまった程度ではすぐに命の危険や中毒症状が現れるようなこと考えにくいですがで、犬猫には食べさせないほうがいいでしょう。
タケノコの皮も食べたからといってなにか危険があるようなものではありませんが、サイズや量によっては消化不良や喉のつまりを起こしてしまう場合があります。
市販のタケノコの水煮はえぐみやシュウ酸が取り除かれるので基本的には与えても大丈夫ですが、他の危険な原材料が含まれていないかしっかり確認しましょう。
水煮のタケノコは普通に茹でたタケノコに比べてカリウムが少ないのでカリウムを控えたい場合は水煮がおすすめです。
犬猫が食べるのに適したタケノコの部位はどこ?
タケノコの部位は食感や味などにより大きく以下の4つに分けられます。
- 姫皮
- 穂先
- 中央部
- 根本
この内犬猫に食べさせるのに適しているのは柔らかな穂先の部分です。
他の部分を与える場合はなるべく細かく刻んであげましょう。
大きく固いまま食べさせてしまうと消化不良で下痢や嘔吐を起こしてしまう可能性もあります。
タケノコに含まれる代表的な栄養素
可食部100gあたり
ゆでタケノコ | 水煮タケノコ | |
---|---|---|
エネルギー | 31kcal | 22kcal |
食物繊維 | 3.3g | 2.3g |
カリウム | 470mg | 77g |
亜鉛 | 1.2mg | 0.4mg |
アスパラギン酸 | 650mg | 500mg |
グルタミン酸 | 290mg | 220mg |
ゆでタケノコ:たけのこ 若茎 ゆで
水煮タケノコ:たけのこ 水煮缶詰
参考資料:八訂 食品成分表 2022
犬猫がタケノコを食べるメリット
犬猫がタケノコを食べることで考えられるメリットを紹介します。
不溶性食物繊維による便秘改善
タケノコは不溶性食物繊維の一種であるセルロースやリグニンなどが豊富です。
腸の中で水分を吸って大きく膨らみ、便の量を増やし腸を刺激することで排便を促します。
便秘・肥満・糖尿病の犬猫に効果的です。
アスパラギン酸による疲労回復
アスパラギン酸はアミノ酸の一種で窒素やエネルギーの代謝に深く関わり、疲労によって溜まった乳酸を分解してエネルギーに変換します。
これにより疲労回復の効果があると考えられます。
グルタミン酸による胃腸のサポート
昆布のうまみ成分として知られるグルタミン酸はたんぱく質の合成に関わる様々な役割を果たします。
腸のエネルギー源となり、消化吸収を促す作用も。
老化防止効果もあります。
チロシンによる新陳代謝促進・認知症予防
前述の通りタケノコについている白いダマのようなものはチロシンというアミノ酸の一種です。
チロシンは認知症予防や新陳代謝の促進効果が期待されます。
犬や猫にタケノコを食べさせる際の注意点
アク抜きをする
前述の通り処理をしていないタケノコにはホモゲンチジン酸とシュウ酸が含まれていますので下処理をしてから食べさせてください。
とくにシュウ酸を過剰に摂取するとシュウ酸カルシウム尿石の原因となりますので、心配な場合やすでに尿路結石の犬猫の場合は食べさせないでください。
尿路結石についてはこちらの記事で詳しく解説しています。
タケノコの加工品に注意
タケノコの水煮は犬猫に食べさせても大丈夫ですが、それは塩などの犬猫によくない調味料が入っていないものに限ります。
水煮以外のタケノコの加工品も調味料で味つけされたものは犬猫に食べさせてはいけません。
カリウムに注意
カリウムが多く含まれるタケノコは腎臓機能が低下している犬猫に食べさせるとカリウムの過剰摂取となり、高カリウム血症を引き起こす可能性があります。
腎臓病やカリウムを制限している犬猫には食べさせない方がよいでしょう。
食物アレルギーに注意
どんな食べ物でもアレルギーの可能性は少なからずあるので注意しましょう。
アレルギー症状は下痢・嘔吐・皮膚の赤みやかゆみ・目の充血などが現れます。
初めての食材を与える場合は少量に抑え、食べたあとは様子をしっかりと観察しましょう。
タケノコのアク抜き方法
米ぬかやとぎ汁でアク抜きをする方法もありますが、唐辛子を一緒に使うことが多いので今回は重曹を使った簡単な方法を紹介します。
- 重曹:水1リットルに対し小さじ1が目安
- 鍋
- タケノコがかぶる量の水
タケノコを茹でやすい大きさにカットし、重曹を入れたたっぷりの湯で、弱火で30~40分茹でます。
この茹で時間はタケノコの大きさによって変わりますので短縮したい場合は小さくカットしましょう。
犬猫用のタケノコを使ったレシピ
上記の注意点を確認したら、ぜひ愛犬愛猫に手作りごはんを作ってみましょう。
簡単タケノコおじや
用意するもの
- タケノコ(アク抜き済)
- 鶏肉
- にんじん
- 小松菜
- 鰹節
- ごはん
- 水
作り方
- 具材をそれぞれ愛犬・愛猫が食べやすいサイズにカットする
- 鍋にカットした具材、ごはん、鰹節ひとつまみを入れる
- ひたひたになる程度に鍋に水を入れ、弱火~中火でしっかりと煮込み完成
タケノコ以外にも様々な食材を煮込み、栄養価が高く食べやすいレシピです。
【まとめ】犬猫はタケノコを食べても大丈夫
犬猫はタケノコを食べても大丈夫!
下処理をしていない生のタケノコにはホモゲンチジン酸やシュウ酸が含まれえぐみが強く食べさせられません。
アク抜きによりある程度は取り除けますが、尿路結石・腎臓猫・カリウム制限の犬猫は注意しましょう。
下処理をしたタケノコは便秘改善や疲労回復効果も期待できますので、注意点を守り愛犬愛猫の手作りごはんにぜひ取り入れてみてください。
参考文献
- KAGOME:たけのこの旬や種類、おいしいたけのこの見分け方など、豆知識!
- JAグループ:春の旬野菜タケノコ(筍)