春になると顔を出す山菜の一種つくし。
山菜狩りで採ったことのある方やお家の近くに生えるという方もいらっしゃるかもしれません。
そんなつくしは犬猫が食べても大丈夫なのでしょうか。
犬や猫はつくしを食べても大丈夫!
犬や猫はつくしを食べても大丈夫です。
つくしは人間が食べる際に下処理が必要ですが、しっかり下処理をしてあげることで犬猫にも与えることができます。
今回はつくしの下処理の方法や与える際の注意点を紹介していきます。
つくしってなに?
そもそもつくしが食べられることを知らなかった方や実際には見たことのない方もいるんじゃないでしょうか。
実は「つくし」というのは植物名ではなく正しい植物名は「スギナ」というシダ植物で以下のような見た目をしています。
シダ植物は花を咲かせず種子も作らず「胞子」によって繁殖するという特徴があり、同じ山菜だとワラビやゼンマイがシダ植物にあたります。
そしてつくしはスギナの胞子を飛ばすために生えてくる「胞子茎」と呼ばれるもので地下茎を通してスギナと繋がっています。
つくしは胞子を飛ばした後枯れてしまい、その後スギナの葉が光合成のために生えてきます。
なのでつくしはそのまま成長してスギナになるわけではなくつくしとスギナは別々に生えてくる同じ植物ということです。
生食はNG!
つくしは犬猫に生のまま与えてはいけません。
特に犬を飼っている方は愛犬の散歩中などに生えているつくしを食べてしまわないように注意しましょう。
人間が食べる際に生のままだとアクがとても強く食べにくいため下処理をしますが犬猫に与える際もしっかりした処理をしましょう。
つくしのアクの原因となっている胞子をよく洗い流してあげることが重要です。
また、つくしには「チアミナーゼ」という成分も含まれています。
このチアミナーゼは体内のチアミン(ビタミンB1)を破壊する作用があり、摂取しすぎると「チアミン欠乏症」の恐れがあります。
チアミン欠乏症になると筋力低下・歩行障害・運動失調などの症状が現れ、最悪の場合死に至る可能性もあります。
チアミナーゼは熱に弱く、しっかり下茹でしてあげることで大幅に摂取量を減らすことできます。
つくしには毒がある?
植物の中には「植物アルカロイド」という有機化合物を作り出すものがあります。
麻薬として知られるコカインやタバコに含まれるニコチン、じゃがいもの芽の毒のソラニンなども植物アルカロイドの一種です。
例に挙げたもののように植物アルカロイドの中には生物にとって有毒なものもあり、実はつくしにも「パルストリン」という毒性のある植物アルカロイドが含まれています。
しかし含まれている量はごく微量で大量に食べない限りは問題ないと言われているので犬猫に与える際は少しだけにしておきましょう。
パルストリンはつくしの頭の部分に含まれているので不安な方は頭を取って食べさせてあげましょう。
つくしに含まれる代表的な栄養素
胞子茎 生 可食部100gあたり
栄養素 | 含有量 |
---|---|
エネルギー | 31kcal |
たんぱく質 | 3.5g |
脂質 | 0.1g |
炭水化物 | 0g |
β-カロテン当量 | 1100μg |
ビタミンE | 4.9mg |
ビタミンC | 33mg |
参考資料:八訂 食品成分表 2022
β-カロテン当量
β-カロテンは主に野菜や果物に多く含まれている栄養素で、体内の酵素の働きによってビタミンAに変換されます。
ビタミンAは免疫機能や視力を維持するのに必要な脂溶性ビタミンで犬猫にとって欠かせません。
しかし猫は犬や人間と違ってβ-カロテンをビタミンAに変換する酵素を持っていません。
ビタミンAは肉類に多く含まれているため完全肉食動物の猫はβ-カロテンをビタミンAに変換する機能が必要なかったためです。
ビタミンE
ビタミンEには抗酸化作用があり、「活性酸素」などによる細胞の酸化に対抗するビタミンです。
体内で活性酸素が過剰になると細胞が攻撃され、老化・がん・生活習慣病・動脈硬化などの要因になると言われています。
ビタミンC
上記で紹介した抗酸化作用のあるビタミンEですが、活性酸素や過酸化物と闘ったあとは「ビタミンEラジカル」という犬猫にとって悪い成分に変わってしまいます。
ビタミンCには自身に抗酸化作用があるだけではなく、このビタミンEラジカルを正常なビタミンEに戻す働きがあります。
ビタミンEとCをバランス良く取ることによってより効果が期待できます。
犬や猫へのつくしの与え方
下処理
つくしを食べる前には正しい下処理が必要ですので手順をご紹介します。
- 袴と呼ばれるつくしの節目のような部分を取り除く
→縦に裂くように取るのではなく横向きにリンゴの皮剥きのような要領で取り除く(手で取れます)
→ご自身で収穫される場合は収穫後すぐの方が取りやすいです - つくしをたっぷりの水でよく洗い、つくしの胞子や汚れを取る
→洗った後の水が緑色になりますがそれがつくしの胞子でアクの原因となります - 水を替えてもう一度よく洗う
- たっぷりの沸騰したお湯でつくしを10分ほど茹でる
- ザルにとって冷水で洗う
- 水を氷水に替えて締め、10分ほどそのまま氷水にさらす
- 軽く絞ってキッチンペーパーで水気を取る
これでつくしの下処理は完了です。
少し手間ですがここまでするとつくしの胞子はほとんど落とされて食べやすくなっているはずです。
つくしのレシピ
つくしを食べることが多い九州や四国の方は天ぷら・佃煮・卵とじなどにして食べることが多いようです。
このうち卵とじは調味料無しで作ることができ、犬猫も食べることができます。
皆様が食べる時は醤油・砂糖・みりんなどで味付けしましょう。
また、下処理が完了したつくしは以下のようなスープに入れることでも美味しく食べることができるでしょう。
犬猫が好みやすい豚の肉団子を使った食欲を刺激するスープレシピ。
豚肉と野菜の旨味が溶け込んだスープでおいしく水分補給ができます。
基本の茹でささみと基本の鶏ガラスープを使用した簡単レシピ。
【まとめ】犬猫はつくしを食べても大丈夫
犬猫はつくしを食べても大丈夫です。注意点をおさらいしましょう。
- 胞子のアクが強く、チアミナーゼも含まれているため生食はNG
- 毒性のある植物アルカロイド「パルストリン」がごく微量含まれている
- 調理の際はしっかりと下処理を行う
今回は犬や猫につくしを与える注意点を解説しました。
正しく下処理を行うことで愛犬・愛猫と一緒に春の山菜を楽しむことができます。