ヨーグルトは犬猫が食べても大丈夫
ヨーグルトは主に牛乳を原料に作られる発酵食品です。
犬猫に牛乳と聞くと、牛乳に含まれる乳糖(ラクトース)を原因とする乳糖不耐症によって下痢などを引き起こしてしまうのではないかと心配になる方もいるかもしれません。
しかし、ヨーグルトは作られる際の発酵の過程で乳糖が分解され減少するので、犬猫が食べても大丈夫な食材になります。
また、人間用に市販されているヨーグルトでもプレーンヨーグルトであれば与えても大丈夫です。
いわずと知れたビフィズス菌の効果で腸内の善玉菌を増やし、人と同様に犬猫も腸内環境の改善する効果などが期待できます。
ヨーグルトの栄養素
たんぱく質
ヨーグルトには良質なたんぱく質が豊富に含まれています。
たんぱく質は臓器や筋肉、皮膚、被毛などの組織を構成しており、体の基礎をつくる重要な栄養素です。
また、ヨーグルトに含まれるたんぱく質の一部は、乳酸発酵によりペプチド(分解されたたんぱく質)まで分解されているため、消化吸収されやすくなっています。
脂質
ヨーグルトに含まれる栄養素の中でたんぱく質に次いで多いのが脂質です。
脂質と聞くと肥満などのデメリットを思い浮かべる方もいるかもしれませんが、脂質は三大栄養素【糖質、脂質、たんぱく質】の中で最もエネルギーが高く、体を動かすパワーの源となります。
体温の維持や細胞、血液の材料ともなり、不足すると発育や皮膚の健康に影響が出てしまいます。
カルシウム
牛乳を原料とするので、カルシウムを豊富に含んでいます。
ヨーグルトに含まれるカルシウムは乳酸と結びついて、乳酸カルシウムとなって吸収されやすくなっているといわれています。
カルシウムは体を支える骨格を強化する働きがあり、骨や歯の構成に必要不可欠な栄養素で、細胞の分裂や神経興奮の抑制などにも関わります。
ビタミンA
ビタミンAは目の健康に役立つビタミンで、白内障の予防や角膜の健康維持に期待できます。
また、皮膚や粘膜、被毛の健康状態を保つ働きが期待できます。
がん予防、風邪予防、疲れ目の予防、感染症予防などに効果を発揮するといわれています。
ビタミンB群
ヨーグルトにはビタミンB1、ビタミンB2が含まれています。
ビタミンB1は疲労回復効果が期待でき、脳と神経を正常に保つ働きもしています。
ビタミンB2は脂質をエネルギーに変えて、皮膚、粘膜、被毛、爪、赤血球の産生や、免疫力の向上が期待できます。
ヨーグルトに使われる乳酸菌
乳酸菌とは発酵によって糖から乳酸をつくる微生物の総称で、腸内で悪玉菌の繁殖を抑え、腸内環境を整える効果があります。
体に有益な菌のため『善玉菌』とも呼ばれます。
ヨーグルトのほかにも、チーズ、漬け物、味噌や日本酒などの発酵食品に含まれています。
便通改善だけではなく、コレステロールの低下や免疫力アップなど、さまざまな働きがあるといわれています。
ヨーグルトの製造に使われている主な乳酸菌はブルガリア菌、サーモフィルス菌、ビフィズス菌、アシドフィルス菌などです。
ビフィズス菌
腸内の環境を整えることで知られ免疫力アップ、貧血の予防に役立つといわれています。
美肌効果もあるので、犬猫の皮膚の健康維持に期待できます。
ブルガリクス菌
ヨーグルトを作る際には欠かせない菌です。
腸内に住みつくことはできませんが、乳酸を作り出し腸内の環境を整える作用があります。
サーモフィルス菌
サーモフィルス菌はブルガリクス菌と組み合わされて使われることが多く、ブルガリクス菌の生育をサポートします。
ヨーグルトの種となる菌はブルガリクス菌とサーモフィルス菌と国際規格で決められています。
ヨーグルトを滑らかにし、水分が分離するのを防ぐ働きがあります。
アシドフィルス菌
熱や酸にも強いため、直接腸に働きかけることができます。
アシドフィルス菌の抗菌作用の特徴としては、下痢や便秘、消化不良などを引き起こす病原性細菌を特異的に強く阻害する効果があるといわれています。
参考:乳酸菌の基礎知識
ヨーグルトを与えるメリット
腸内環境を整える
腸内には体にとって良い働きをする善玉菌と、悪い働きをする悪玉菌が存在していて、善玉菌より悪玉菌が多くなると腸の働きが悪くなるといわれています。
ヨーグルトに含まれる乳酸菌は、腸内の悪玉菌の繁殖を抑制し腸内環境を整える効果があります。
乳酸菌には生きたまま腸に届くものと届かないものがあります。
しかし、乳酸菌は胃酸などで死滅し死菌状態ととなっても腸内環境を整える効果があるといわれています。
便秘や下痢を繰り返してしまう犬猫には乳酸菌を摂取することで改善されることが期待されます。
口臭予防
上記で解説した通り、ヨーグルトを摂取することで腸内環境の改善が期待されます。
腸内環境が整うと便通の改善だけではなく、口臭の改善にも繋がります。
乳酸菌は犬猫の口内細菌の増殖を抑える効果も報告されており、口臭の改善とともに歯周病予防にも効果的といわれています。
免疫力を高める
免疫細胞の約70%は腸内にいると言われています。
そのため腸では多くの免疫細胞が病原体と戦うスタンバイをしています。
ヨーグルトに含まれる善玉菌によって腸内環境が整えば、腸内にいる免疫細胞が活性化し免疫力が高まります。
免疫力がアップすることで体内に侵入しようとする細菌やウイルスと戦ったり、老廃物や死んだ細胞を処理する働きが良くなります。
カルシウムを効率よく吸収
ヨーグルトはカルシウムを豊富に含んでいます。
また、カルシウムの吸収を助けるたんぱく質のカゼインも含まれていることや、乳酸発酵によって乳酸とカルシウムが結合すると乳酸カルシウムとなり、より体内に吸収されやすくなります。
カルシウムは体を支える骨格の強化に活躍する働きがあり、骨や歯の構成に必要不可欠な栄養素です。
また、神経興奮の抑制効果でイライラやストレスの緩和効果が期待されています。
ホエーにも栄養たっぷり!捨てないで一緒に食べましょう
ヨーグルトの表面に浮いている上澄みの液体はホエー(乳清)と呼ばれ、乳酸菌の発酵が進むことや振動などで分離されたものです。
このホエーは水溶性のビタミン、たんぱく質、ミネラルが豊富に含まれているので、捨てずにヨーグルトと一緒に摂るとより有益な栄養素を摂取できます。
参考:ヨーグルト
与える際の注意点
アレルギー
人と同様に犬猫も食品によってアレルギー症状を起こす可能性があり、乳はアレルギー特定原材料7品目に含まれています。
主な原料は牛乳ですので、乳アレルギーを持つ犬猫には与えないようにしましょう。
また発酵の過程で乳糖は減少しますが完全になくなるわけではありませんので、乳糖不耐症とわかっている場合には与えないようにしましょう。
初めてヨーグルトを与える場合には少量から始め、食後は体調の変化がないか注意観察をしてください。
ヨーグルト摂取後に下痢や嘔吐、ふらつき、発疹などの症状が現れた場合にはかかりつけの動物病院へ相談し、獣医師の指示に従ってください。
与えすぎは肥満や下痢の原因に
犬猫はヨーグルトの原料である牛乳に含まれる乳糖を分解する消化酵素が少ないため、その乳糖が原因とされる乳糖不耐症を引き起こすことがあります。
主な症状として下痢があげられています。
ヨーグルトは発酵の過程で乳糖が分解され減少しているので犬が食べても大丈夫な食材ではありますが、完全に乳糖がなくなるわけではないので過剰摂取すると下痢を引き起こす原因となってしまいます。
また、ヨーグルトには脂質や糖質も豊富に含まれているので比較的高カロリーな食材です。
体内でエネルギーとして使われなかった脂質や糖質は蓄積され脂肪となり肥満の原因となるので、必要以上に与えることは控えましょう。
加糖タイプなどのヨーグルトの加工品は与えないでください
健康志向の高まりから様々な種類のヨーグルトが販売され、スーパーでも売り場は広く展開されているのをよくみかけます。
しかし、犬猫に与えるのに適しているヨーグルトは基本的にプレーンヨーグルトです。
その中でも低脂肪や無脂肪のものがあればさらに健康に配慮して与えられるでしょう。
加糖タイプ、フルーツ入り、またヨーグルト風味の飲料やゼリー、お菓子などには砂糖が多く含まれている場合が多く、フルーツに関しては犬猫が食べると中毒症状を引き起こす食材が含まれる可能性があります。(主にブドウやプルーン等)
ヨーグルトははちみつとも相性がいいので、はちみつ入りのものも多く売られています。
はちみつの糖分も注意すべきですが、ボツリヌス菌によってあらゆる中毒症状を引き起こす原因となる可能性もあります。
購入する際には必ず原材料や成分表などの確認をし、無糖であることや犬猫にとって有害な食品が含まれていないか確認を行ってください。
健康被害の危険を避けるためにも、プレーンヨーグルトか犬猫用のヨーグルトを選ぶようにしましょう。
おすすめレシピ
ヨーグルト寒天
水分摂取、投薬補助、フルーツを足してバリエーションなど意外と使い方の豊富なヨーグルト寒天。
寒天は食物繊維も豊富で満腹感も与えますので、いつもの食事以外にもっと食べたい場合やダイエットにも効果的です。
さつまいものヨーグルトサラダ
さつまいもをレンジで加熱し柔らかくします。
1、2㎝程のサイコロ状にカットし、プレーンヨーグルトと和えて完成。
さつまいもは食物繊維が豊富なのでヨーグルトと合わせることで整腸作用が更にアップします。
さつまいもの甘みは犬も感じることができておいしく食べてくれることが期待できます。
バナナきなこヨーグルト
バナナを小さめにカットし、ヨーグルトときな粉を和えて完成。
ヨーグルトとバナナは非常に相性が良い事でしられています。
バナナには食物繊維やオリゴ糖が含まれており、ヨーグルトと合わせることで善玉菌を増やす働きが期待できます。
きな粉にも豊富な食物繊維やミネラルが含まれているので免疫力アップが期待できる最高の組み合わせ。
酸味を嫌がる犬も少なくはないので、バナナの甘さで気にせず食べてくれそうです。