犬猫にザクロは食べさせないで
ザクロは古くから美容や健康に役立つ効果があることや、女性ホルモンに似たエストロゲン様物質を含むことで女性の機能を正常に保つ効果などが期待された果物です。
人間に対して健康的メリットがあるとしてザクロ酢やザクロジュースなどの商品がスーパーやコンビニなどで並ぶのを目にすることも多くありますが、犬猫が食べてはいけない食材のひとつです。
ザクロの危険性や注意点などを解説します。
犬猫にザクロを与えてはいけない理由
樹皮、根皮に有害成分
ザクロには樹皮や根皮に揮発性のアルカロイド『ペレチエリン』『イソペレリエン』が含まれています。
その為、様々な書籍やインターネット上でも注意喚起がされています。
~省略~ザクロ(ミソハギ科)など 34種が含まれ(表 4),食用植物といえども正しい取扱いを知らないと事故に繋がる危険性があることを示している
~中略~
ザクロ 樹皮,根皮に揮発性アルカロイドのペレチエリン,イソペレリエリンなどを含む
ザクロの樹皮や根皮を人間の薬用として用いられることがあります。
生薬名をそれぞれセキリュウヒ (石榴皮)、セキリュウコンピ (石榴根皮) と呼び、古くから条虫駆除薬とされていました。
しかし、作用がとても激しいため、医師や薬剤師などの専門家の指示によって用いられていたように、人間に対しても注意が必要であるといえます。
ザクロの皮や種も危険
ザクロに関して危険な部位は樹皮や根皮と記載されることが多いので、皮や実は大丈夫と考える方もいるかもしれませんがザクロは皮も大変危険です。
ザクロの皮にも揮発性アルカロイドのペレチエリンが含まれているので、犬猫だけではなく人間でも皮を食べてしまうと重篤な中毒症状を引き起こす場合があります。
また、ザクロは可食部である実の中に1粒づつ種が入っていますが、犬猫が口の中で取り除いて吐き出すことは難しく、実を食べる=種も食べる形になってしまいます。
この種にはタンニンが多く含まれており、適量であればメリットが考えられる成分ですが、犬猫が過剰に摂取してしまうと肝臓障害や腎臓障害につながるといわれています。
種の摂取により便秘や下痢、消化不良を起こす可能性もあるため注意が必要です。
犬猫がザクロで引き起こす中毒症状
犬猫がザクロの有害物質を摂取してしまった場合に引き起こす可能性がある中毒症状は下記の通りです。
- 嘔吐
- 下痢
- 胃炎
- めまい
- 運動失調
- 精神混乱
- 失神
- 中枢神経麻痺
これらの症状がみられる場合には、速やかに動物病院を受診しましょう。
その際に、何時、どれくらいの量を摂取したのかなど記録して獣医師に伝えると診察の際に役立つことがあるでしょう。
犬猫がザクロを食べてしまった時の対処法
もし愛犬愛猫がザクロを食べてしまったら、まずは動物病院へ相談しましょう。
その際はザクロをどの程度食べてしまったのか、果実部分だけなのか、皮をかじったのか、また食べた量や時間の経過など詳細を獣医師へ伝えて指示に従いましょう。
果実部分だけであれば様子をみましょうとの指示を受ける事もあるでしょう。
その場合には食後数日間は愛犬愛猫に異変がないか時系列に記録を残しておくことも大切です。
観察する中で少しでもおかしいと感じれは、大事に至る可能性もあるため早急に動物病院を受診しましょう。
自宅での対処法として、飼い主の自己判断による塩やエタノールなどを使用した催吐処置は大変危険なのですすめできません。
知識を持たない人間が行う動物への催吐処置は誤嚥の危険や、塩、エタノールを使用することでそれらの摂取を原因とする健康被害の危険もあります。
催吐処置は獣医師が行う処置なので、飼い主は冷静に状況を確認し、動物病院へ速やかに繋げられるよう日中、夜間ともにすぐに連れていける動物病院を把握しておくことが大切であると考えます。
ザクロの加工品も犬猫に与えるべきではない
ザクロは人間にとって健康的メリットがある食材として人気であるため、様々な加工品が販売されています。
主にザクロ酢やザクロジュースなどが有名でしょう。
これらの食品はザクロの皮や樹皮、根皮などとは無縁に感じ、ザクロジュース等を少しくらいなら犬猫の健康に役立つのでは?と考える場合もあるかもしれません。
しかし、生のザクロと同様にザクロの加工品も与えるべきではありません。
ザクロ酢やザクロジュースはザクロの成分が濃縮されおり、タンニンの含有もありえるため、犬猫にとって安全な飲み物とは言い難いでしょう。
そもそも人間用の加工品は人間がおいしく摂取できるように多量の糖分が加えられていることが多く、犬猫には不要であり健康被害を及ぼす可能性も強くあります。
まとめ
犬猫にザクロは与えないでください。
ザクロの樹皮、根皮、果皮に含まれるアルカロイドは中毒症状を引き起こす可能性が非常に高いため、決して犬猫が届く範囲にザクロを保管しない、ザクロの木には近づけないように気をつけてください。
また果実部分に含まれる種にはタンニンの含有があり、適量であれば健康的メリットも考えられる成分ですが、過剰摂取は犬猫の健康被害を及ぼす成分でもあります。
ザクロ酢やザクロジュースなどが人間にとって健康的メリットがあるからといって、犬猫にとってもいいものとは限りません。
ザクロに限らず人間用に加工された食品に含まれる糖分や添加物は犬猫にとってはデメリットとなりますので与えないようにしましょう。
愛犬愛猫の健康を守るためにも、飼い主は犬猫が食べてはいけない食材について正しい知識を持つことが大切です。