キッチン用品・スマホケース・食器など現代では様々な製品にシリコーンが使われています。
とても便利なシリコーン製品ですが、独特の弾力から犬猫が興味を持ち、かじっているうちに誤飲してしまう可能性もあります。
今回は犬猫がシリコーン製品を誤飲する危険性や誤飲する可能性の高いシリコーン製品についてご紹介します。
そもそもシリコーンとは?
私たちの生活に身近なシリコーンですが、皆様はシリコーンが何からできているかご存知ですか?
シリコーンの原料
ゴムの木の樹液や石油を原料として作られるゴム製品に対してシリコーンの原料は「石」です。
「ケイ素(Si)」という元素を原料として作られるのですが、ケイ素は単体で自然界に存在せず酸素と結びついています。
酸素と結びついたケイ素は「ケイ石」と呼ばれ、石状の形をしています。
ケイ石に複雑な化学反応加えることによって「シリコーンゴム」や「シリコーンオイル」などが作られます。
シリコンとシリコーン
「シリコン」と「シリコーン」はただの表記揺れではなく、実は明確な違いがあります。
どちらもケイ石から作られますが、半導体や太陽光パネルの素材となる金属に加工されたものが「シリコン」です。
「シリコーン」は前述したようにケイ石をゴムやオイルに加工したものです。
英語でも「Silicon(シリコン)」「Silicone(シリコーン)」と、スペルに違いのある別の単語になっています。
誤飲の危険性
犬猫がシリコーン製品を誤飲すると窒息や閉塞の危険性があります。
閉塞の危険性
閉塞とは、食べたものが消化器官内で詰まってしまうことで、各器官で起こる危険性があります。
食道閉塞
食道は喉を通過した食べ物が胃にたどり着くまでに最初に通る器官です。
そのため、食道で閉塞を起こすと症状が発症するのも早いです。
呼吸困難・嘔吐・唾液多量分泌などの症状が引き起こされます。
胃閉塞
胃で消化された食べ物が小腸へ向かう前に「幽門(ゆうもん)」という少し狭くなった部分があります。
この部分で閉塞を起こすと胃に栓をした状態になり、食べ物が腸へ送られなくなり激しい嘔吐などの症状を引き起こします。
最悪の場合、循環器障害を引き起こして死亡してしまう可能性もあるので注意しましょう。
ビー玉やコインなどの刺激の少ない異物が胃の中に留まると無症状のこともあり、誤飲から閉塞までに時間差がある場合もあります。
また、鋭利なものや角があるものが胃に留まると胃壁を傷つけてしまう可能性や、穴が空いて他の臓器にまで危害を及ぼす可能性もあります。
腸閉塞
食べ物を最終的に消化・吸収する役割を持つ腸はとても長い消化器官で、体長50cmの猫で約2mほどの長さがあると言われています。
細長い腸は閉塞が起こりやすい器官でもあり、異物誤飲による腸閉塞の症例は数多くあります。
腸閉塞を起こすと便が出なくなるため比較的気付きやすい病気ではあります。
早急に対処しないと腸管が壊死し、命に関わる危険性もあるので注意しましょう。
異物が腸まで到達してしまうと開腹手術が必要になる場合もあります。
誤飲しやすいシリコーン製品
イヤーチップ
イヤホンの装着部に着いている柔らかい部分で、「イヤーピース」「イヤーパッド」「イヤホンゴム」などと呼ばれることもあります。
サイズ的にも犬猫が誤飲してしまう可能性が高いので注意しましょう。
また、最近ではコードのない完全ワイヤレスイヤホンが増えてきています。
犬猫がイヤホンごと誤飲してしまわないように注意が必要です。
ペット用歯ブラシ
ペット用歯ブラシの中にはシリコーン製の指サックのようなものがあります。
犬猫の歯茎を傷つけないように柔らかくできており、サイズもイヤーチップより大きいため誤飲した際の閉塞のリスクが高いといえます。
スマホケース
日常的によく使用するスマートフォンのカバーは犬猫とも接触する機会が多いです。
犬猫が丸呑みするには大きいサイズですが、大きいシリコーン製品でも噛みちぎって誤飲してしまう可能性があるので注意しましょう。
シリコーン製品の誤飲を防ぐために
基本的にイヤーチップなどの誤飲の可能性が高いものは、犬猫の手が届かない場所で保管するようにしましょう。
生活用品に広く使用されているシリコーン製品と犬猫の接触を完全に避けるのは難しいかもしれません。
そのため、犬猫にシリコーン製品を噛んでしまうクセがあるかどうかによって予防法を考えましょう。
もし、大きいシリコーン製品でも噛んでしまうクセがあるなら犬猫が接触しないように努力が必要になります。
誤飲してしまった際の対処法
万が一、犬猫がシリコーン製品を誤飲してしまったことがわかっている場合は直ちに動物病院へ行きましょう。
素早く対処することによって催吐処置や内視鏡検査によって異物を取り出すことができます。
気付かないうちに誤飲してしまっている場合は症状に気付けるようにしておきましょう。
数日便が出ていない・嘔吐するがなにも出ない・ごはんを食べないなどの症状は重篤化に繋がる恐れがあるので獣医師へ相談するのがおすすめです。
【まとめ】シリコーン製品の誤飲は非常に危険!
犬猫がシリコーン製品を誤飲すると窒息や閉塞などのリスクがあります。
今回紹介したポイントをおさらいしましょう。
- シリコーン製品を誤飲すると窒息や消化器官の閉塞が起こり命に関わる可能性がある
- イヤーチップなどの小さなものは犬猫の誤飲の可能性が高いので注意が必要
- もし誤飲してしまった場合はできるだけ早く動物病院へ連れて行く
今回はシリコーン製品を誤飲する危険性についてご紹介しました。
日常の生活にシリコーン製品はとても多いので犬猫の誤飲には十分注意しましょう。