初夏になるとラッパのような形をした花をたくさん咲かせる姿が印象的なジギタリス。
現在では観賞用として人気の植物ですが、かつては薬として使用されていた歴史もあります。
そんなジギタリスは犬猫がいる環境でも安心して育てることができるのでしょうか。
ジギタリスは犬猫にとって危険な植物!
ジギタリスには犬猫が摂取すると危険な成分が含まれています。
今回はジギタリスに含まれる成分・食べてしまったときの対処法・薬としての作用などに関してご紹介したいと思います。
ジギタリスの基本情報
学名
Digitalis purpurea
科・属
オオバコ科・キツネノテブクロ属
原産地
ヨーロッパ・西アジア・中央アジア・北東アフリカ
開花時期
5月~6月(品種によっては6月~11月)
別名
キツネノテブクロ(英名のFoxgloveからきている)
花言葉
不誠実・熱愛
ジギタリスに含まれる毒性成分
ジギタリスには「ジギトキシン」という強心配糖体が含まれています。
配糖体とは、別名「グリコシド」とも呼ばれる糖と有機化合物が結合した物質の総称です。
自然界には数多くの配糖体が存在しており、その性質や効果は様々です。
特に植物はほとんど全てが何かしらの配糖体を持っており、ジギタリスが持つ配糖体は「強心配糖体」と呼ばれています。
強心配糖体
強心配糖体とは、その名の通り強心作用のある配糖体で、100種類以上も存在することがわかっています。
スズランなどの身近な植物にも含まれています。
ジギタリスに含まれるジギトキシンとは別ですが、スズランには「コンバラトキシン」という強心配糖体が含まれています。
強心作用とは?
強心作用は「収縮力増大作用」とも呼ばれ、心臓を動かす「心筋」という筋肉の収縮力をアップさせる効果があります。
心臓は全身に血液を送り出し、酸素の運搬をするポンプのような役割を担っているとても重要な臓器です。
心不全患者の薬となる
強心配糖体は心不全患者の薬に活用される成分です。
- 心筋梗塞
- 狭心症
- 心筋症
- 弁膜症
- 高血圧
- 先天性心疾患
- 不整脈
上記のような要因で心臓が血液を送り出す力が弱まってしまうことを「心不全」と言います。
心不全になると動機・息切れ・尿量の低下・うっ血・呼吸不全など様々な症状が現れます。
心不全の治療や改善には薬の投与が必要で、そのうちの一つが強心配糖体から作られる「強心薬」です。
強心配糖体の持つ強心作用を利用し、心臓のポンプの役割を活発にします。
直接食べると危険
強心作用はとても強い作用のためジギタリスを食べるのは危険です。
犬猫だけでなく、人間に対しても厚生労働省より注意喚起がされているほど毒性の強い植物です。
中毒症状
胃腸障害、おう吐、下痢、不整脈、頭痛、めまい、重症になると心臓機能が停止して死亡することがある。
参照:厚生労働省「自然毒のリスクプロファイル:高等植物:ジギタリス」
人間でも死亡する可能性が危惧されているので犬猫が食べてしまわないようにすると共に、皆様も誤食には注意してください。
犬猫がジギタリスを食べてしまわないために
ジギタリスは野生で咲いていることはあまりないので、おうちで育てる場合には注意しましょう。
基本的には屋外で育てる植物なので、ベランダやお庭に犬猫が出ない場合はあまり心配する必要はありません。
もしも、ベランダやお庭で遊ぶ場合は目を離さないようにしましょう。
また、ジギタリスは寒さに強いため冬を越すことは出来ますが暑さに弱く、日本では二年ほどで枯れてしまうことが多いため二年草として扱われています。
本来は多年草の植物のため、涼しい場所で管理すれば夏を越して毎年花を咲かせることが出来ます。
室内で夏越しさせる場合は犬猫が触れられないような場所で管理しましょう。
もしも食べてしまったら
万が一、犬猫がジギタリスを食べてしまったら、必ずすぐに獣医師へ相談しましょう。
強心配糖体は人間でも死亡する可能性があるほど強力な成分です。
食べてしまったあと迅速に対処することによって、最悪の事態を免れる可能性が高くなります。
必要に応じて動物病院で胃洗浄や催吐処置などの適切な治療を受けましょう。
【まとめ】ジギタリスは犬猫にとって危険な植物
ジギタリスには有毒な成分が含まれているため犬猫が誤って食べてしまうと危険な植物です。
今回紹介した成分や危険性についておさらいしましょう。
- ジギタリスには「ジギトキシン」という強心作用のある配糖体(強心配糖体)の一種が含まれている
- 強心配糖体は心不全患者に投与する強心薬を作るために必要だが強力な成分のため直接摂取すると危険
- 人間に対しても有毒で、厚生労働省から注意喚起が出ている
今回は犬猫に対するジギタリスの危険性についてご紹介しました。
ジギタリスは薬を作るために必要な一方で、犬猫や人間の命に関わる可能性のある成分を含んでいます。
誤食には十分注意しましょう。