真珠ほどの大きさの小さな赤い実を付けるのが特徴的なナンテン。
その名前から難(ナン)が転(テン)ずると言われ、縁起物とされてきました。
お正月の飾りなどにも使用されるナンテンですが犬猫にとって安全な植物なのでしょうか。
ナンテンは犬猫にとって危険な植物!
ナンテンは有毒な成分を含んでいるため犬猫が誤食してしまうと危険です。
今回はナンテンに含まれる毒の成分・症状・食べてしまったときの対処法などについて解説していきたいと思います。
ナンテンの基本情報
学名
Nandina domestica
科・属
メギ科・ナンテン属
原産地
中国
開花時期
6月~7月(実が成るのは11月~12月)
別名
ナンテンチク(南天竹)・ナルテン
花言葉
私の愛は増すばかり・機知に富む・福をなす・良い家庭
ナンテンに含まれる毒性成分
ナンテンには2種類の有毒な成分が含まれているのでそれぞれご紹介したいと思います。
ドメスチン(ナンテニン)
ナンテンの実には「ドメスチン」や「ナンテニン」と呼ばれる成分が多く含まれています。
ドメスチンには咳止めの効果があり、のど飴などにも使用されている成分です。
神経に作用し、働きを鈍らせることによって咳止めの効果があります。
薬用成分も過剰に摂取すると衰弱・運動障害・痙攣・呼吸不全などの症状を引き起こす可能性があるので注意しましょう。
ナンジニン
ナンテンの葉には「ナンジニン」という成分が含まれています。
赤飯の上にナンテンの葉が添えられることがしばしばありますが、ナンジニンは熱と水分に反応して「チアン水素」を発生させます。
チアン水素は猛毒成分のため危険なように感じますが、ナンテンの葉に含まれるナンジニンは微量です。
そのため、チアン水素が持つ殺菌作用や防腐効果を逆に利用するために赤飯にはナンテンの葉が添えられています。
とはいえ、ナンテンの葉を直接食べたり犬猫が食べてしまうと危険なので注意しましょう。
アルカロイド
ドメスチンやナンジニンは「アルカロイド」という成分に分類されるものです。
アルカロイドとは、自然界で生成されるアルカリ性の化合物のことで、有名なものではカフェインやニコチンなどがあります。
アルカロイドの中には、カフェインやドメスチンなどのように少量であれば人間にとって良い効果をもたらすものもあります。
しかし、ふぐの毒として知られているテトロドトキシンのように少量でも命に関わるものもあるため注意しましょう。
また、多くのアルカロイドは犬猫にとって刺激が強すぎるため、例え少量でもカフェインなどを犬猫に与えないようにしましょう。
人間も注意が必要
ナンテンに含まれるドメスチンやナンジニンは多量に摂取すると人間にとっても有毒なため注意しましょう。
特に小さいお子様がいらっしゃる場合は、公園などに生えているナンテンを誤って食べてしまわないように目を離さないようにしましょう。
味は美味しくないので食べてしまっても吐き出す可能性が高いですが、最悪の場合意識障害や呼吸不全になる可能性があります。
犬猫がナンテンを食べてしまわないために
ナンテンは外に生えていることが多い植物です。
犬の散歩中など犬猫とお出かけする機会には犬猫が生えている南天や落ちている実には近づけないようにしましょう。
また、お正月飾りなど、室内の観賞用に使用する場合は犬猫の手が届かないところで管理するようにしましょう。
猫は跳躍力が高く、どこにでも登ってしまうため猫を飼っている場合は猫が入れない部屋か屋外で管理するようにするとよいでしょう。
もしも食べてしまったら
万が一、犬猫がナンテンを食べてしまったらすぐに獣医師へ相談することをおすすめします。
どの程度食べてしまったかにもよりますが少量でも重篤化する可能性も無いとは言い切れないので注意しましょう。
もしもすぐに動物病院へ行けない状況であればその後の様子をよく観察してあげましょう。
- 嘔吐などの症状が治まらない
- 明らかに元気がない
- 歩く・起き上がるなどの日常生活の動作に違和感がある
上記のような場合は夜間診療や休日診療に対応している動物病院なども活用し、可能な限り早く診療を受けましょう。
ナンテンを飾ることが多い年末年始などの時期は動物病院が休みになっている場合も多いので誤食には注意しましょう。
既に飲み込んでしまったものを素人が無理矢理吐き出させようとするのは、犬猫の消化器官や内臓に負担がかかるのでやめましょう。
【まとめ】ナンテンは犬猫にとって危険な植物
ナンテンには有毒な成分が含まれているため犬猫が誤って食べてしまうと危険な植物です。
今回紹介した成分や危険性についておさらいしましょう。
- 実には鎮咳効果のあるドメスチンが含まれているが摂取しすぎると呼吸不全などのリスクがある
- 葉には熱と水分に反応してチアン水素を発生させる「ナンジニン」という成分がある
- もしも食べてしまったらできるだけ早く動物病院で適切な治療を受ける
今回は犬猫に対するナンテンの危険性についてご紹介しました。
ナンテンは木の実で、鳥が食べることもありますが犬猫や人間にとっては毒となることもあります。
小さいお子様や犬猫の誤食には十分注意してください。