生け花などにも人気の赤いトゲトゲした実を付けるのが特徴的なトウゴマ。
「ヒマ(蓖麻)」という名前もありますが、実の中にある種から胡麻のように油が摂れることから「トウゴマ」と呼ばれています。
トゲトゲしさと可愛らしさを併せ持つトウゴマですが、犬猫にとって安全な植物なのでしょうか。
トウゴマは犬猫にとって危険な植物?
トウゴマは犬猫の病気の治療に使われることもありますが、誤って食べてしまうと危険な成分が含まれています。
今回は薬としてのトウゴマの効能や誤食した際の危険性や症状などについて解説していきたいと思います。
トウゴマの基本情報
学名
Ricinus communis
科・属
トウダイグサ科・トウゴマ属
原産地
インド・小アジア・北アフリカ
開花時期
8月~9月
別名
ヒマ(蓖麻)
花言葉
いつもそばに・魔除け
トウゴマから抽出される『ひまし油』
トウゴマの種から抽出される「ひまし油」には犬猫や人間に良い効果をもたらします。
別名「キャスターオイル」とも呼ばれ、美容液などとして活用されています。
ひまし油にはとてもたくさんの効能があるのでご紹介します。
肌荒れの改善
ひまし油には「リシノール酸」という脂肪酸が含まれており、肌荒れに効果があると言われています。
そのため、リップクリームや口紅などに含まれています。
ヘアケア
髪の痛みや乾燥を改善する効果もあるので、髪質が気になる方は髪に塗りしばらく時間をおいてから洗い流す「ヘアパック」がおすすめです。
ひまし油を塗ると髪が早く伸びるという噂があるようですが科学的根拠は無いようです。
しかし、抜け毛予防にはなると言われています。
温熱湿布
ひまし油は「温熱湿布」としてよく活用されています。
「ひまし油湿布」などとも呼ばれるこの療法は100年ほど前にアメリカ人のエドガー・ケイシーによって発案されました。
100年近く利用され続けているこの自然療法には以下のような症状に効果があると言われています。
- アトピー性皮膚炎
- 便秘
- 関節炎
- 頭痛
- 大腸炎
- 胆嚢炎
- 腎不全
- 硬皮症
症状から見てわかるように炎症にとても効果のある成分です。
犬猫への効果
犬猫に対しては「腫瘍性大腸炎」などの炎症や皮膚炎・便秘などの際に、ひまし油を用いた治療が行われることがあるようです。
実際にひまし油湿布で炎症が治まったり、便通が良くなったりなどの声も見かけます。
ひまし油があればガーゼやカイロなどを使用しておうちでもできる療法ですが、実践する前には念のため獣医師に相談するようにしましょう。
トウゴマが持つ有毒な成分
トウゴマには糖タンパク質の一種である「リシン」が含まれています。
このリシンは種子に特に多く含まれており、とても毒性が強いため注意が必要です。
リシンがもたらす影響
リシンは体内の細胞を破壊し、痙攣・運動失調・腎障害などを引き起こします。
他にも血液中の酸素が減少する「チアノーゼ」を引き起こす可能性があります。
チアノーゼになると舌や唇が青っぽく変色します。学校のプールの授業などで唇が青っぽくなるのもチアノーゼの一種です。
致死量
トウゴマの種子は1粒でも中型犬が死亡する恐れがあると言われています。
トウゴマを家で育てていない限りは犬猫が触れる危険性はあまり無いかと思いますが注意しましょう。
また、ひまし油は種子から抽出されますがリシンは絞りかすの方に残るため含まれません。
犬猫に薬として数滴飲ませることもあるようです。
しかし、基本的には食べるものではないので極力犬猫が食べてしまわないように注意しましょう。
ひまし油湿布などを行う場合はエリザベスカラーなどの活用をおすすめします。
もしも食べてしまったら
万が一、犬猫がトウゴマを食べてしまった場合はすぐに動物病院へ連れて行きましょう。
特に種子は猛毒のため毒が回ってしまう前に処置を行う必要があります。
実際に症状が現れるまでは12時間~3日ほどかかるようですが、症状が出てからでは手遅れの場合もあるので迅速に対処することをおすすめします。
動物病院では胃洗浄や催吐処置や必要に応じて外科治療など、適切な治療を受けることができます。
【まとめ】トウゴマは犬猫にとって危険な植物
トウゴマにはとても強力な有毒成分が含まれているため犬猫が誤って食べてしまうと大変危険な植物です。
今回紹介した成分や危険性についておさらいしましょう。
- トウゴマには「リシン」という少量でも死に至る可能性のある猛毒成分が含まれている
- リシンは種子に特に多く含まれるが、種子から抽出されるひまし油には含まれていない
- ひまし油は人間にとって美容効果が期待できるだけでなく犬猫の炎症や便秘などの症状にも効果がある
今回は犬猫に対するトウゴマの危険性についてご紹介しました。
トウゴマから抽出されるひまし油は犬猫にとって良い効果をもたらす反面、ひまし油の元となる種子にはとても危険な成分が含まれています。
注意点をよく理解して正しく使用するようにしましょう。