「立てば芍薬座れば牡丹歩く姿は百合の花」という都々逸でも有名な百合。
結婚式の贈り物などでよく使用される花です。
ギリシャ神話や聖書にも登場し、とても歴史の深い百合ですが犬猫にとっては危険な花です。
今回は犬猫にとっての百合の危険性や対策などをご紹介したいと思います。
百合の基本情報
学名
Lilium
科・属
ユリ科・ユリ属
原産地
北半球の熱帯地域
開花時期
5月~6月
花言葉
純粋・無垢・威厳・無邪気・高貴・自尊心・栄華(白百合の場合)
百合中毒に注意!
もしも犬猫が百合を食べてしまった場合は「百合中毒」の恐れがあります。
百合中毒はとても危険性の高い中毒症状なので犬猫を飼っている方は覚えておきましょう。
百合中毒の症状
犬猫が百合中毒になると腎臓の一部が壊死し、急性腎不全を発症します。
急性腎不全になると食欲不振・下痢・嘔吐・元気喪失・多飲多尿などの初期症状が現れ、その後腎臓の機能が衰えていき、尿が上手く出せなくなってしまいます。
尿が出せなくなってしまうと体外に出ていくべき老廃物が体内に蓄積される「尿毒症」になり、ここまで進行すると生死に関わる危険な状態といえます。
とても進行が早い
百合中毒による急性腎不全はとても進行が早いです。
百合を口にしてから2~6時間ほどで初期症状が現れ、3日以内に腎不全を起こす可能性があります。
さらに早い場合は1週間ほどで死に至るケースもあるようです。
中毒症状の原因は?
犬猫が百合を食べてしまうことによって発症することは明らかになっていますが中毒症状を起こす原因となる成分は解明されていません。
さらに百合による急性腎不全に効果的な薬も今のところ開発されていません。
人間にとっても危険な植物?
百合は人間にとっても有毒で危険な花だという噂を聞いたことはありませんか?
実際には全くそんなことはなく、人間に対しては毒性はありません。
オニユリ・コオニユリ・ヤマユリ・カノコユリなどの根は「ゆり根」として食用で販売されているものもあります。
食用ではない百合の根もアクが強く食用に向いていないだけで人間にとって毒性があるわけではありません。
ただし同じユリ科の植物であるチューリップ・スズラン・ヒガンバナなどは人間にとっても有毒のため注意しましょう。
百合の花に囲まれて寝ると・・・
百合に関する噂でもう一つ面白いものをご紹介します。
それは「大量の百合の花に囲まれて眠ると安らかに死に至る」というものです。
前述したように百合は人間に対しては毒性はなく、毒性のある成分をガス状のように飛ばすこともないため百合に囲まれて寝ても死んでしまうことはありません。
考えられるとすれば百合の花が呼吸することによって部屋の酸素が減り二酸化炭素濃度が高くなり死に至るケースです。
しかしこれを実現するにはかなり密閉性の高い部屋でものすごく大量の百合の花が必要となります。
しかも結果的に窒息死なので安らかに眠ることはできず、かなり苦しむことになるようです。
犬猫が百合を食べてしまわないために
犬より猫の方が百合が飾ってあるような高所へも行きやすいこともあり、百合中毒の疑いで動物病院を受診するのは犬より猫の方が多いようです。
愛犬愛猫が花瓶や鉢を倒してしまう危険があるため、日常的に花を飾らない家庭が多いかと思いますが、何かお祝い事やプレゼントで百合の花束をもらう機会があった場合は犬猫が触れることのできない場所に飾りましょう。
犬猫が入れない部屋やトイレの中などがおすすめかと思います。
もしも百合を食べてしまったら
犬猫が百合を食べてしまった場合はすぐに動物病院へ連れて行きましょう。
急性腎不全は進行が早く1週間ほどで死に至るケースもあるため、様子を見ているうちにどんどん症状が進行する可能性もあります。
前述したように百合中毒の原因となる成分は解明されておらず、百合が原因の急性腎不全に効果的な薬も開発されていません。
しかしすぐに動物病院へ連れて行くことによって胃洗浄や催吐処置などの対処が可能となります。
その他の注意点
百合の全てに注意
百合は花びら・葉・茎・花粉など全てが犬猫にとって有毒です。
また百合の切り花を刺している花瓶に入った水を飲むことでも犬猫は百合中毒を起こす可能性があるので注意しましょう。
他のユリ科の植物や野菜
前述した人間にとっても危険なチューリップ・スズラン・ヒガンバナなどのユリ科の植物は犬猫にとっても危険なので注意しましょう。
犬猫が食べてはいけない野菜として有名な玉ねぎ・ねぎ・にんにくなどもユリ科の植物です。
同じユリ科の植物でもアスパラガスは人間にも犬猫にも無害となっています。
【まとめ】百合は犬猫にとって危険な植物!
犬猫がいる環境では百合は育てない方がいいです。
百合の毒性や今回の注意点についておさらいしましょう。
- 犬猫が百合を食べると百合中毒になり一週間ほどで死に至るケースもある
- 百合中毒の原因となる成分は解明されていない
- 花びら・葉・茎・花粉・百合を刺している水全てが犬猫にとって危険
今回は犬猫を飼っている環境での百合についてご紹介しました。
犬猫を飼っている方は百合を飾らないようにして、やむを得ない場合は犬猫の手が届かないところで管理しましょう。