愛犬・愛猫に与える大豆について
節分の時期になるとスーパーなどでよく見かけるようになる大豆。
節分には豆をまいたり、歳の数だけ豆を食べる風習があります。どうせなら愛犬や愛猫と一緒に日本の風習を楽しみたいですよね。
今回は「犬猫は大豆を食べて大丈夫なのか?与える際の注意点」などについて解説していきます。
犬や猫は大豆を食べても大丈夫!
犬猫は大豆を食べても大丈夫です。愛犬や愛猫と一緒に大豆を楽しむことはできます。
ですが大豆を犬猫に与える際には注意しなければいけないポイントがあります。
大豆の基礎知識
大豆の栄養などを紹介する前に大豆の基礎知識を紹介します。
大豆の仲間たち
居酒屋で定番の枝豆・お正月によく見かける黒豆・コスパ抜群のもやし。これらは全て大豆と同じものです。
枝豆は大豆から芽が出て生長したもの。黒豆は黒大豆という大豆の一種。
もやしは緑豆からできているものなどもありますが「豆もやし」といわれるもやしは大豆を日に当てずに成長させたものです。
大豆はどうやってできるの?
大豆は枝豆を経由してできます。育った枝豆を収穫せずにそのまま育て続けるとやがて枯れます。
枯れてカラカラになった枝豆が大豆なんです。大豆は収穫した後、さらに乾燥させます。
生のまま食べても大丈夫?
上記で説明したように大豆を収穫した後、乾燥させたものが「生大豆」や「乾燥大豆」と言われるものです。
これに比べ節分の時期によく見かける大豆は煎り大豆です。加熱している大豆は犬猫が食べても問題ありませんが生の大豆を犬猫に与えるのはやめましょう。
生の大豆には『トリプシン・インヒビター』という成分が含まれています。この成分は消化酵素である『トリプシン』の働きを阻害します。
トリプシンはたんぱく質を分解し、吸収を助ける働きがあります。犬猫にとって重要なたんぱく質が吸収されないと大変ですので生の大豆を犬猫に与えるのはやめましょう。
大豆を与えるなら加工食品がおすすめ
大豆には「レクチン」という成分が含まれています。
レクチンは毒性のある成分で、成長障害・下痢・嘔吐・赤血球凝固などを引き起こす可能性があるといわれています。
レクチンは加熱処理をすることで毒性が軽減されますがもっと確実なのは水に浸したり発酵させることです。
なので犬猫に大豆を与える際は水煮や納豆などの加工された大豆がおすすめです。
大豆に関連する記事
ペットレシピでは大豆に関連する記事をいくつか投稿しています。
よければこちらもご覧ください。
大豆に含まれる代表的な栄養素
いり大豆 黄大豆 可食部100g当たり
栄養素 | 含有量 |
---|---|
エネルギー | 429kcal |
たんぱく質 | 35.0g |
脂質 | 20.2g |
炭水化物 | 15.9g |
ビタミンE | 2.2mg |
カリウム | 2000mg |
カルシウム | 160mg |
マグネシウム | 240mg |
リン | 710mg |
参考資料:八訂 食品成分表 2022
たんぱく質
大豆のたんぱく質は100gあたり35gと、とても豊富にたんぱく質が含まれています。たんぱく質は皮膚・内臓・骨・被毛など犬猫の体をつくるうえで欠かせない栄養素です。
注意すべきなのは、大豆に含まれるたんぱく質は肉や魚に含まれる動物性たんぱく質とは違い、植物性たんぱく質であるという点です。
犬や猫は動物性たんぱく質であっても植物性たんぱく質であってもさほど変わりなく消化吸収できることがわかっています。
アミノ酸スコア
たんぱく質には『アミノ酸スコア』というものがあり、たんぱく質の栄養価を数値化して表したものです。
具体的にはたんぱく質を構成するアミノ酸のうち必須アミノ酸がどの程度の割合で含まれているかというのを数値化したものです。
植物性たんぱく質は動物性たんぱく質に比べこのアミノ酸スコアが低い傾向にありますが大豆は動物性たんぱく質にも負けないアミノ酸スコアになっています。
ビタミンE
ビタミンEには抗酸化作用があり、血液の循環を良好にするなどの働きがあります。
多くのペットフードにはビタミンEが添加されているのでペットフードを利用していればあえて与えなくても必要量を摂取することができます。
ビタミンEは脂溶性ビタミンなので体内に貯蓄されます。長期間ビタミンEが過剰な状態が続くと他のビタミンの吸収を妨げる危険性があるので注意しましょう。
ミネラル
大豆には様々なミネラルが含まれています。
カリウム
カリウムは犬や猫だけでなく多くの生物にとって欠かせないミネラルです。
総合栄養食のペットフードを与えているとカリウムが不足する心配は基本的にはありませんが、体調不良や老化により食欲不振や嘔吐が続くとカリウム不足になり「低カリウム血症」を発症する恐れがあります。
低カリウム血症になると筋量低下や歩行不全などの症状が現れます。
カルシウム
骨格の強化に活躍する働きがあり、骨や歯の構成に必要不可欠な栄養素です。
ほかにも筋肉が正常に収縮するのを保つ、神経を安定させる、血液を固めて止血する、ホルモンを分泌させる、細胞分裂を促す、胃液の分泌を調整する、鉄の代謝を補助するなど実に多様な働きをします。
マグネシウム
骨の成長や強化、維持に重要な働きをするミネラルの一種です。
マグネシウムはおよそ300種類の酵素の働きをサポートし、カルシウムと密接に関わりながら、筋収縮の制御や血栓を作りにくくするといった役割があります。
多くの体内酵素の正常な働きとエネルギー産生をサポートするとともに、血液循環を正常に保つ働きがあります。
リン
リンはカルシウムとともに骨や歯に貯蔵されていて、骨格の強化を担っています。
腎機能が衰えた犬猫は余分なリンを上手く体外に排出できなくなるので摂取量には注意が必要です。
鉄
鉄は体内の酸素運搬に関わる栄養素で、機能鉄が不足してくると貧血症状が現れてきます。
貧血予防にも大切な栄養素となります。
亜鉛
亜鉛は肝臓のサポートや皮膚・被毛の健康維持をする重要なミネラルです。
亜鉛を過剰摂取すると「亜鉛中毒」になる可能性がありますが、亜鉛の毒性は極めて低いのでサプリメントの大量誤飲等でなければ滅多に起こりません。
犬や猫に大豆をあげる際の注意点
大豆は犬や猫が食べても大丈夫な食材ですが、大豆を与える際にはいくつかの注意点があります。
細かくして与える
皆様が節分に食べるような煎り大豆をそのまま与えると犬猫にとっては大きすぎて消化不良や喉を詰まらせる原因になります。
豆まきをするご家庭はまいた豆を愛犬や愛猫が食べて喉を詰まらせてしまったなんてことが無いように注意しましょう。
犬猫に大豆を与える場合は、細かく砕いたり粉末状にするなど工夫して与えてあげましょう。
嫌がる場合は与えない
特に猫の場合は肉食動物なので大豆を好んで食べないことがあるでしょう。
そんなときは無理に与える必要はありません。食べるのを嫌がったら諦めましょう。
与えすぎに注意
大豆の与えすぎには注意しましょう。特に猫の場合は植物の消化が苦手です。与えすぎると消化不良や下痢の原因になります。
それに大豆は満腹感を感じやすい食材なので大豆の食べ過ぎで普段のフードが食べられなくなると栄養不足になってしまうかもしれません。
大豆を与える量には注意しましょう。
アレルギーは大丈夫?
犬猫は大豆にアレルギーを持っている場合があります。初めて与える場合はごく少量にして様子を見ましょう。
皮膚や口周りの赤みやかゆみ・腫れ等が見られた場合すぐに与えるのを辞め、症状がひどくなる場合は動物病院へ行きましょう。
犬や猫にあげる大豆のレシピ
節分のときに煎り大豆を与える場合は細かく砕くか粉末状にして普段のフードにかけるなどして与えましょう。
大豆から作られる納豆を使ったレシピも紹介します。
豊富な栄養素が含まれ、健康食として大人気の納豆。犬猫にも納豆の発酵パワーは効果的。
全体の栄養をバランスよく含む卵に、ご飯と納豆を加えたことでバランスのいいパワフルなレシピとなっています。
【まとめ】犬猫は大豆を食べても大丈夫
犬猫は大豆を食べても大丈夫ですが以下の点には注意しましょう。
・生大豆(乾燥大豆)は与えない
・煎り大豆よりも納豆などの加工品がおすすめ
・与える量に注意
今回は大豆について紹介しました。大豆は注意点を守れば犬猫が食べても大丈夫な食材です。
愛犬や愛猫と一緒に節分を楽しみましょう。