春を告げる魚として知られているサワラ。
漢字ではさかなへんに春で「鰆」このように書きます。
淡白ながらも上品な甘みがあり、クセがないため様々な料理に用いられますが、そんなサワラは犬猫が食べても大丈夫なのでしょうか。
犬や猫はサワラを食べても大丈夫!
犬や猫はサワラを食べても大丈夫です。
しかし与える際には注意すべき点がいくつかあるので、今回は犬猫へのサワラの与え方や注意点についてご紹介します。
サワラについて
サワラは春を告げる魚として知られている通り旬は春ですがそれは関西での話です。
サワラはサバ科の回遊魚で一年を通して捕獲することができますが、5~6月ごろに産卵のために瀬戸内海へやってきます。
この時期に関西では栄養をたっぷり蓄えたサワラを多く捕獲できたため関西でのサワラの旬は春とされるようになりました。
一方、関東では12~2月頃に捕獲できる寒さでたっぷり脂ののった「寒鰆」と呼ばれるサワラが好まれるようです。
生で与えても大丈夫?
スーパーなどには生食用のサワラが販売されているところはあまり見かけないことが多いと思います。
サワラはとても足の速い魚のため、生食可の状態でスーパーに並べることが難しいです。
そのため家庭でサワラのお刺身はなかなか食べることができませんし、もしも新鮮なサワラが手に入ったとしても以下の理由から犬猫には与えない方がいいでしょう。
寄生虫の危険性
魚を食べる上で必ず気をつけたいのが「アニサキス」という寄生虫です。
ブリなどに多く寄生しているイメージがありますがサワラもアニサキスが寄生しやすい魚だといわれています。
もしもアニサキスを生きたまま食べてしまうと激しい腹痛に襲われ、下痢や嘔吐を繰り返してしまう可能性があります。
アニサキスは加熱処理や冷凍処理で死滅させることができます。
チアミナーゼ
生魚には「チアミナーゼ」という酵素が必ずと言っていいほど含まれています。
このチアミナーゼには体内のビタミンB1を破壊する性質があるためたくさん摂取すると危険です。
ビタミンB1は神経系が正常に機能するために欠かせない栄養素で不足すると「ビタミンB1欠乏症(チアミン欠乏症)」の恐れがあります。
ビタミンB1欠乏症になると瞳孔散大・運動失調・腹部屈曲などの症状が現れ、最悪の場合昏睡状態から死に至る可能性もあります。
猫は犬よりも約5倍のビタミンB1を必要とすることや猫の方が魚を食べる機会が多いことなどから猫に多い病気だと言われています。
チアミナーゼは加熱することによって活性を失うため加熱調理をすることで安心して与えることができるでしょう。
ヒスタミン中毒
鮮度が落ちているサワラは犬猫に絶対に与えないでください。
サワラの魚肉を構成しているたんぱく質に含まれるアミノ酸の一種に「ヒスチジン」というものがあります。
このヒスチジンは犬猫が摂取することによって皮膚の健康などに役立ちます。
しかし、サワラが常温で放置されるなどして鮮度が落ちてしまうとヒスチジンは「ヒスタミン」という成分に変化してしまいます。
ヒスタミンは食中毒の原因となる成分で、食べると下痢・嘔吐・皮膚のかゆみ・元気喪失などの症状が現れる可能性があります。
ヒスタミンは加熱しても活性を失わず、ヒスタミン中毒は人間でも起こり得る病気なので鮮度が落ちたサワラには皆様も注意してください。
西京焼きは与えて大丈夫?
サワラといえば有名な調理法に西京焼きがあります。
サワラの西京焼きはごく少量であれば犬猫に与えても大丈夫ですが西京焼きには「西京味噌」をいう味噌を使用するため塩分が多く含まれています。
西京味噌は「甘味噌」という種類の味噌で、味噌の中では塩分量が少ない方ですがそれでも犬猫にとっては多いので注意しましょう。
塩分は犬猫の心臓や腎臓に負担をかけてしまう可能性があるのでそれらに持病を抱えている犬猫には与えない方がいいでしょう。
サワラに西京焼きが多い理由
前述したようにサワラはとても足が速い魚なので昔から鮮度を保つために様々な工夫が行われていました。
そのうちの1つが西京味噌で漬け込むという方法でした。
西京味噌の甘味とほどよい塩味がサワラと相性ぴったりで今でもたくさんの方に好まれて食べられています。
サワラに含まれる代表的な栄養素
さわら 生 可食部100gあたり
栄養素 | 含有量 |
---|---|
エネルギー | 161kcal |
たんぱく質 | 18.0g |
脂質 | 8.4g |
炭水化物 | 3.5g |
カリウム | 490mg |
ビタミンD | 7.0μg |
参考資料:八訂 食品成分表 2022
不飽和脂肪酸
サワラのような青魚にはDHA(ドコサヘキサエン酸)やEPA(エイコサペンタエン酸)などの不飽和脂肪酸が多く含まれています。
DHAやEPAには抗炎症作用があり、体内で炎症を抑制する物質が生成されます。
DHAは脳や網膜に多く、胎児や成長期の犬猫など体が成長する時期に大切な栄養素と言われています。
また、不飽和脂肪酸は摂取しすぎると「黄色脂肪症(イエローファット)」という病気になる可能性があるため注意しましょう。
カリウム
カリウムは細胞の機能やエネルギー代謝に欠かせないほか、腎臓や心臓の働きをサポートするとても重要な栄養素です。
様々な食材に含まれる栄養素で多くのペットフードにも十分量含まれているため犬猫がカリウム不足になることはあまりありません。
しかし下痢や嘔吐などが続いている場合はカリウムの吸収が上手くできておらず「低カリウム血症」になる可能性があります。
低カリウム血症になると常に下を向いている・歩行不全・運動失調などの症状が見られます。
動物病院でカリウムを投与することですぐに回復するケースが多いようですが早期発見が大切なので犬猫の異常にはすぐに気づいてあげましょう。
また、健康な犬猫の場合摂取しすぎたカリウムは腎臓の働きによって尿とともに体外に排出することができますが腎臓病を患っている場合は注意しましょう。
腎機能に難がある犬猫はカリウムの排出が上手くできず血中のカリウム濃度が上がり「高カリウム血症」になってしまう可能性があります。
高カリウム血症は最悪の場合死に至る可能性もある恐ろしい病気です。
ビタミンD
ビタミンDはカルシウムやリンの代謝に欠かせない栄養素で丈夫な骨や筋肉の生成において重要な役割を担っています。
人間や草食動物は紫外線を浴びることによってビタミンDを体内で生成することが可能ですが犬猫はそれができないため食事から摂取する必要があります。
犬や猫へのサワラの与え方
サワラは加熱調理がおすすめですので焼き・茹で・蒸しなどの調理をおすすめします。
以下のような他の魚を使用したレシピの代用としても使用出来ます。
淡白な味で癖がなく、脂質が少ないのが魅力のマダラ。
オリーブオイルで焼いたおいしい香りで食欲を刺激します。
祝い事にもかかせない真鯛を使ったレシピ。パーティレシピにも良さそうです。
【まとめ】犬猫はサワラを食べても大丈夫
犬猫はサワラを食べても大丈夫です。今回のポイントをおさらいしましょう。
- 生食には寄生虫やチアミナーゼのリスクがあるためおすすめしない
- 鮮度が落ちたサワラはヒスタミン中毒の可能性があるため絶対に与えない
- 西京焼きなども与えてはいけないわけではないが基本的に調味料は使わないようにする
今回は犬や猫にサワラを与える注意点を解説しました。
犬や猫の健康を考える上で、正しい与え方を守り、バランスの良い食事を提供することが大切です。