ヒガンバナは日本特有の彼岸の時期に咲く花として知られており、夏~秋頃に美しい花を咲かせる植物です。
代表的なものは赤い花を咲かせるものですが、白や黄、オレンジ、青など様々な色の種類があり、観賞用に楽しまれています。
しかしヒガンバナは犬や猫にとって有毒な植物であり、根・茎・葉・花の全草において有害であるといわれています。
学名:Lycoris
その他の名前:ヒガンバナ(彼岸花)、マンジュシャゲ(曼珠沙華)など
科名 / 属名:ヒガンバナ科 / ヒガンバナ属(リコリス属)
ヒガンバナの持つ毒性成分リコリン
ヒガンバナに含まれる成分の中には犬猫の健康に悪影響を及ぼす毒性を含むものがあります。
その中の主な成分はアルカロイドの一種であるリコリンと呼ばれる成分です。
このリコリンは動物に対して有毒であり、人間でも経口摂取することで中毒症状を引き起こします。
リコリンの致死量は人間であれば10g程度といわれています。
多量に摂取すれば人間であっても死亡するケースがあるリコリンを、人間よりデリケートで個体として小さな犬猫が摂取した場合、たとえ少量であっても重篤な症状を引き起こす可能性が非常に高く考えられます。
ヒガンバナの摂取によって起こる可能性のある中毒症状
ヒガンバナを摂取した犬猫は、アルカロイドの一種であるリコリンの影響で消化器系や神経系に影響を及ぼします。
摂取量や個体差によって症状の重篤さが異なることがありますが、一般的な症状は下記の通りです
- 嘔吐
- 下痢
- 腹痛
- 流涎
- 血圧低下
- 中枢神経麻痺
- 心不全
ヒガンバナは球根が特に毒性が強いといわれています。
上記でも解説しましたが、たとえ少量であっても犬猫には大変危険であるといわれています。
一般的な症状として下痢や嘔吐、唾液の増加や食欲不振などがありますが、重篤な場合には痙攣や歩行困難などを起こし、最悪の場合には死に至る事もあります。
犬猫がヒガンバナを食べた場合の対処法
犬猫がヒガンバナを誤って食べてしまった場合、飼い主様は冷静に状況を確認しましょう。
まずはヒガンバナのどの部位をどの程度食べたのかを確認し、症状を注意深く観察します。
嘔吐や下痢、異常な行動などが見られる場合は、できる限り早く動物病院に連絡しましょう。
食べてしまった直後に中毒症状が起きていなかったとしても、時間の経過とともに重篤な症状を起こす可能性はあります。
自己判断での経過観察は非常に危険な場合があるので、注意観察は怠らないようにし、少しでも不安があれば動物病院で受診することをお勧めします。
中でも球根は最も危険とされていますので、球根を食べてしまった場合は症状の有無に関わらず動物病院へ相談しましょう。
犬猫の安全を守るための予防策
毒性成分を含む植物から犬猫を守るためには、飼い主様が正しい知識を持ち、環境を整える事が最大の予防策となります。
ヒガンバナは彼岸の時期に咲くことからか、死や不吉なイメージを持たれることが多くあまり贈り物として好まれて花束にされるような花ではありません。
このような理由から屋内に飾る方は少ないかと思いますが、どうしても飾る場合には犬猫の行動範囲には配置しないようにしましょう。
実際にはヒガンバナに不吉なことはなく、その美しさを好んでガーデニングで楽しまれる方は多くいます。
ご自宅の庭で栽培されている場合には犬猫が簡単に近づけないよう柵などで囲ってもいいでしょう。
ヒガンバナは路地などに自生しているケースも多くありますので、お散歩コースに生えている場合は、近づいて誤食してしまったり、球根を掘り返してしまわないように注意してあげましょう。
まとめ
日本に広く分布し、古くから親しまれ美しい花を咲かせるヒガンバナですが、毒性成分を含むため犬猫にとって危険な植物です。
全草が危険ですが、特に球根は最も毒性成分を多く含むといわれています。
万が一犬猫がヒガンバナを食べてしまった場合には、速やかに動物病院へ連絡し、獣医師の指示に従いましょう。
犬猫の健康と安全の守るために、ヒガンバナを犬猫に近づかないように注意しましょう。