日本では古くから食べられてきた春の七草のひとつであるハコベラ。
七草粥のシーズン以外はあまり市場で見かけることのない野菜ですが、公園や道端に生えていることも多い身近な植物です。
そんなハコベラは犬猫が食べても大丈夫な食材なのでしょうか。
犬や猫はハコベラを食べても大丈夫!
ハコベラは犬猫にとって有毒な成分などは含まれていないため、手作りご飯に使用できます。
今回はハコベラに含まれる栄養素・食べることによって得られる効果・与える際の注意点などについて解説したいと思います。
「ハコベラ」という名前の由来
ハコベラという名前は日本最古の本草書(薬物についてまとめた書物)である、『本草和名』に由来しています。
本草和名には「波久部良(はくべら)」という名前で紹介されており、これが訛って「ハコベラ」と呼ばれるようになったと言われています。
ただし、波久部良という名前の由来ははっきりしていないようです。
また、他にも「ハコベ」、「ハコビ」、「ヒズリ」、「ヘズリ」、「アサシラベ」、「ヒヨコグサ」などの別名で呼ばれています。
ハコベラの薬用効果
ハコベラは生薬として知られており、花が咲く3〜6月に茎や葉を刈り取り、水洗い後に天日干ししたものを生薬名で「繁縷(はんろう)」といいます。
繁縷は生薬として以下のような役割で用いられました。
- 産後の浄血薬
- 催乳薬
- 胃腸薬
- 湿疹などの皮膚炎の治療薬
また、繁縷の粉末に適量の塩を混ぜたものは「ハコベ塩」と呼ばれ、歯茎に塗り込むことで歯茎からの出血や歯槽膿漏の予防に使用されていました。
現在の歯磨き粉の元祖のようなもので江戸時代にはよく使用されていたようです。
実はハコベ塩は今でも販売されており、ネット通販などで購入することができます。
現在主流のチューブ状のものではなく粉末状の歯磨き粉は新鮮で、ミントなどの香料が苦手な方にはピッタリなようなので興味のある方は調べてみてはいかがでしょうか。
ハコベラに含まれる代表的な栄養素
ハコベラにはビタミンやミネラル類の他にフラボノイドというポリフェノールの一種が含まれています。
フラボノイド
ポリフェノールの中でも以下のようなものをフラボノイド系ポリフェノールといいます。
- お茶に含まれる「カテキン」
- ブルーベリーに含まれる「アントシアニン」
- 柿や赤ワインに含まれる「タンニン」
- 大豆に含まれる「イソフラボン」
これらのフラボノイド系ポリフェノールは体内でビタミンCと同じような働きをします。
ビタミンCは毛細血管を強くしたり、高い抗酸化作用があることで知られている栄養素ですが、フラボノイドはビタミンCよりも高い抗酸化作用があることで知られています。
抗酸化作用とは
フラボノイドやビタミンCが持つ抗酸化作用とは、「活性酸素」からからだを守る作用のことです。
犬猫や人間の体内では取り込まれた酸素が通常よりも活性化することがあり、活性酸素という物質が生成されます。
活性酸素は体内の他の物質を酸化させる作用が強く、細菌やウイルスを撃退する免疫作用があります。
しかし、活性酸素が増えすぎると正常な細胞を攻撃して酸化させてしまい、老化・シミ・シワ・動脈硬化・がんなどの原因になる可能性があります。
抗酸化作用とはこの活性酸素の攻撃から細胞を守る作用のことを言います。
犬や猫へハコベラを与える際の注意点
ハコベラは植物なので食物繊維が含まれています。
肉食動物の猫や肉食に近い雑食動物の犬は、摂取した食物繊維を処理するのがあまり得意ではありません。
そのためあまり食べすぎると消化不良になってしまい、下痢や便秘を引き起こす可能性があります。
ハコベラは生で食べても問題ない食材ですが、加熱調理した方が繊維が柔らかくなり胃に優しくなるのでおすすめです。
ハコベラを使った犬猫用レシピ
ハコベラを使ったレシピは七草粥が有名ですが、そのほかにも炒め物やオムレツの具材にも使用されます。
犬猫用のオムレツは以下を参考にしてみてください。
また、犬猫用の七草粥のレシピは以下の記事を参考にしてみてください。
【まとめ】犬猫はハコベラを食べても大丈夫
犬猫はハコベラを食べても大丈夫です。今回のポイントをおさらいしましょう。
- 生薬として胃腸薬や皮膚炎の治療薬に使用される
- 乾燥させたハコベラの粉末に塩を混ぜたものは「ハコベ塩」と呼ばれる歯磨き粉の元祖
- フラボノイドという抗酸化作用の強いポリフェノールの一種が豊富に含まれている
今回は犬や猫にハコベラを与える注意点を解説しました。
薬用効果もあり、日本で古くから親しまれてきたハコベラをぜひ愛犬愛猫と一緒に楽しんでみてください。