関節炎とは
関節炎は、関節に炎症が起こることで痛みや腫れ、動きにくさなどが生じる状態を指します。加齢に伴って発生することが多い疾患で、犬猫ともに中高齢期に発症することが多いといわれています。
肘関節や股関節、膝関節、手首や足首などさまざまな関節で起こる可能性があります。犬では股関節や膝関節、肘関節などに多くみられ、猫でも複数の関節で発生することがあります。
犬や猫でみられる主な関節炎・関節疾患
- 変形性関節症
加齢や関節への長期的な負担によって軟骨がすり減り、関節に炎症や痛みが生じる疾患。犬猫の関節疾患の中で最も多くみられるとされています。 - 股関節形成不全
股関節の構造が正常に形成されないことで関節が不安定になり、痛みや跛行(足を引きずる動き)を起こす疾患。大型犬で多くみられますが猫でも発生します。 - 膝蓋骨脱臼(パテラ)
膝のお皿(膝蓋骨)が正常な位置から外れてしまう疾患。小型犬で多くみられ、関節への負担が続くと関節炎につながることがあります。 - 肘関節形成不全
成長期に肘関節の発育が正常に進まないことで関節に異常が生じる疾患。大型犬で比較的多く、痛みや跛行の原因になります。
関節炎の症状
関節炎は痛みを伴う疾患なので、動くことに支障が出てくることが特徴と言えます。
- 軽快な動きができなくなる
- 元気がない
- 食欲の低下
- とぼとぼと歩く
- ジャンプをしなくなる
- 歩き方がおかしい
- 急に抱き上げると痛みを訴える
- 寝ていることが多くなり、活動が低下する
注意したい関節炎と肥満の悪循環
関節炎は上記で解説したように、痛みを伴う疾患であるため犬猫の活動に大きく支障をきたします。
関節が痛むので歩く、ジャンプ、走り回るなどの運動を嫌がるようになります。活動量が減ると、その分エネルギーの消費も減り、使われなかったエネルギーは脂肪となり体内に蓄積され体重が増加することがあります。
体重が増えると関節にかかる負担も大きくなり、炎症や痛みがさらに強くなる可能性があります。その結果、活動量がさらに低下するという悪循環につながることがあります。
この状態が続くと、関節への負担が増すだけでなく、肥満に関連するさまざまな健康問題につながる可能性もあります。そのため関節炎の管理では、関節に過度な負担をかけない範囲での運動管理や体重管理を行うことが重要とされています。
関節炎の治療
関節炎、とくに変形性関節症では、損傷した関節を元の状態に完全に戻すことは難しいとされています。そのため治療は、痛みの管理や関節への負担を軽減することを目的として行われることが一般的です。
治療では、非ステロイド性消炎鎮痛薬などの薬剤によって炎症や痛みを抑える方法のほか、関節成分を含むサプリメントが補助的に用いられることもあります。
また、関節炎による痛みの管理では、関節にかかる負担を減らすことも重要とされています。肥満がある場合には減量が治療管理の一環として行われることがあり、肥満でない場合でも体重が増えすぎないよう日頃から体重を管理することが大切です。
関節炎への対策・予防
前述しましたが、関節炎の治療については、損傷した関節を元の状態に完全に戻すことが難しい場合が多いと解説しました。
そのため、犬猫の体をつくる基本となる日頃の食事管理や体重管理が重要になります。
すでに発症し、獣医師から療法食やサプリメントが指示されている場合には、それらを適切に与えることで症状の管理につながることがあります。
ただし、食事がかわると食べなくなる犬猫は多く、療法食をあきらめて普段の食事に戻してしまうと、関節炎で活動量が減っている犬猫ではカロリー過多となり体重が増えてしまう可能性があります。
その際には、肥満の原因となる脂質や糖質の摂取を控えて、関節を滑らかに動かすために必要な軟骨に有効的な栄養素を考えて手作りごはんを用意することで、関節炎を改善させるサポートに繋がります。
また、現在関節炎がみられない場合でも、加齢とともに関節の変化が起こることは珍しくありません。そのため日頃から体重管理を行い、関節の健康維持を意識した食事を心がけることは、関節への負担を減らすことにつながると考えられています。
関節炎に有効的な栄養と食材
グルコサミン
グルコサミンは軟骨を構成するグリコサミノグリカンなどの成分の材料となる物質で、関節の健康維持に関わるとされている成分です。
関節部分の細胞の代謝に関与すると考えられており、コンドロイチンと併用されることも多く、関節の健康維持を目的としたサプリメントなどに利用されています。
参考:関節痛に対するコンドロイチンおよびグルコサミンの有効性
おすすめの食材
- 山芋
- オクラ
- 干しエビ
- フカヒレ
コンドロイチン
コンドロイチンは軟骨や角膜、骨や臓器、皮膚などに分布し、保水性や弾力性に関わるとされています。
このコンドロイチンはもともと体内に存在している成分ですが、加齢に伴い関節の構造や軟骨の状態に変化が起こることが知られています。
そのため、関節の健康維持を目的としてコンドロイチンを含むサプリメントなどが利用されることがあります。
おすすめの食材
- 納豆
- なめこ
- ウナギ
- ワカメ
- コンブ
カルシウム
骨や歯の主要な構成成分であるカルシウムは、体の構造を維持するために重要なミネラルです。
関節炎では軟骨の摩耗によって関節への負担が大きくなることがありますが、骨の健康を維持するためにもカルシウムは重要な栄養素とされています。
また、カルシウムは神経や筋肉の働きにも関わるミネラルであり、体のさまざまな生理機能の維持に関与しています。
関節炎では痛みや活動量の低下によって生活の質が低下することもあるため、体の健康を支える基本的な栄養素をバランスよく摂取することが大切です。
おすすめの食材
- ヨーグルト
- イワシ
- ゴマ
- ひじき
ビタミンC
強い抗酸化作用で知られるビタミンCは、コラーゲンの合成に関わる栄養素として知られています。コラーゲンは軟骨や皮膚、血管などの結合組織を構成する成分であるため、体の組織の維持に関与すると考えられています。
近年このビタミンC(併せてビタミンEも)の過剰摂取は変形性関節症のリスクを増大する可能性があるとの報告もあります。
ただし、通常の食事から摂取する範囲で問題となることは少ないと考えられています。そのため、過剰摂取には注意をし、食事全体のバランスを意識して適量を摂取することが大切です。
参考:ビタミンCとEの血漿レベルが高いと、X線検査による変形性膝関節症の発症に関連しています
おすすめの食材
- パプリカ
- ブロッコリー
- カボチャ
- キウイフルーツ
- ショウガ
たんぱく質
たんぱく質は、糖質、脂質と並ぶ三大栄養素のひとつです。
このたんぱく質は臓器や皮膚、被毛、筋肉など体のさまざまな組織を構成する重要な栄養素です。
良質なたんぱく質を摂取することは健康的な筋肉の維持に繋がります。関節炎で運動量が低下すると、筋肉量が減少する可能性があるため注意が必要です。
健康的に活動するためには筋肉は必要不可欠なので、食事から適切なたんぱく質を摂取することが大切です。
ただし、脂肪分の多い動物性たんぱく質は肥満の原因となりかねませんので、肉を選ぶ際には脂肪分の少ない部位を選ぶなどの注意が必要です。
おすすめの食材
- 牛肉(スネ、スジ)
- 鶏軟骨
- 豚軟骨
- 鶏卵
- カツオ
- マグロ
- サケ
食物繊維
野菜や海藻、キノコなどに多く含まれることで知られる食物繊維は、腸内環境の維持や便通の調整に関わる栄養成分として知られています。
関節炎で運動量が減る事や、治療として減量が必要な場合には食餌量を減らす必要があるため、排便の状態が変化することがあります。
そのため、適度な食物繊維を含む食事は腸内環境の維持や体重管理の補助につながる可能性があります。
食物繊維は満腹感の維持や食事量の調整に役立つこともあるため、肥満の予防や体重管理を意識した食事では重要な要素とされています。
おすすめの食材
- ゴボウ
- シイタケ
- グリーンピース
- ひじき
- わかめ
ビタミンB1・B2
ビタミンB1は糖質の代謝に関わり、エネルギー産生に重要な役割を持つ栄養素です。
また、B2は脂質やたんぱく質の代謝に関与する栄養素として知られています。
これらのビタミンは体内でエネルギーを効率よく利用するために必要な栄養素であり、体の代謝を支える働きがあります。
どちらも水溶性のビタミンなので、汁ごと与えられる手作りごはんに活用し、効率よく摂取できるように意識しましょう。
おすすめの食材
- 豚肉(赤身)
- マイタケ
- 青のり
- パセリ
- 豚レバー
まとめ
関節炎は犬猫どちらも加齢とともに起こりやすい疾患といわれています。
先天性や遺伝性など様々な要因でも起こるケースもありますので、老齢期でなくとも、元気なくとぼとぼと歩いていたり、抱きかかえると痛がるなどいつもと違うことがあれば動物病院での診察をおすすめします。
関節炎によって運動量が減る事で肥満となり、関節に更に負担がかかるというケースも多いので、肥満と関節炎は非常に密接な関係であると考えます。
肥満を予防することは関節炎の予防にもなり、関節炎になってしまったら体重管理をすることで症状の緩和に繋がります。
日ごろから骨や軟骨の健康維持に役立つ栄養や、肥満予防になる栄養を考えた手作りごはんを1日の食事に組み込むと、予防や対策に役立つでしょう。



