愛犬・愛猫に与えるえのきについて
白くて細長い形が特徴のえのき。お鍋の具材として人気なえのきですがやはり販売量が最も多くなるのは晩秋から冬にかけてのお鍋の季節だそうです。
現在流通しているえのきはほとんど人工栽培で旬はなく一年中おいしく食べることができます。
えのきの人工栽培は菌床を入れた細い瓶の中で育てられるようです。だからえのきはあんなにきれいな束になって売っているんですね。
独特な食感が好きな方も多く、ダイエット食材としても人気のえのきですが犬猫は食べても大丈夫なのでしょうか。
犬や猫はえのきを食べても大丈夫!
犬猫はえのきを食べても大丈夫です。愛犬や愛猫と一緒にえのきを楽しむことはできます。
しかし与える量や食べさせ方には注意が必要なので解説していきます。
生で食べても大丈夫?
皆様がえのきを食べるときに生食する方はそうそういないと思います。
実は生のえのきには有毒な成分が含まれているのです。
フラムトキシン
生のえのきには「フラムトキシン」というたんぱく質の一種が含まれています。
このフラムトキシンは溶血作用を持ち、体内の赤血球を破壊してしまうのです。
特にO型赤血球に作用し、貧血を引き起こします。場合によっては中毒症状を引き起こすこともあるようです。
リステリア菌
生のえのきには「リステリア菌」という食中毒の原因菌が付着している可能性があります。
リステリア菌はえのきが栽培されるような低温下でも増殖できるという特徴があり、長期間冷蔵保存していた場合はさらに菌の増殖が考えられるため注意しましょう。
リステリア菌が原因となる食中毒は健康な大人の場合はあまり重症化することはないとされています。しかし、高齢の方や妊娠中の方は重症化のリスクが高いとされているので注意しましょう。
人間でも重症化のリスクがあるので犬猫に与える場合はさらに注意しましょう。
えのきは加熱してから食べさせて!
えのきを生のまま食べると腹痛・下痢・嘔吐・貧血などを引き起こす可能性があります。
フラムトキシンやリステリア菌はともに加熱により不活性化・死滅します。
えのきを犬猫に与える場合も飼い主様が食べる場合も必ず加熱処理をしましょう。
1日に食べても大丈夫な量は?
えのきには犬猫が消化吸収できない食物繊維が豊富に含まれているため与えすぎると消化不良を起こしていまいます。
犬にえのきを与える場合は1日に必要なカロリーの10%程度にとどめておきましょう。
猫は肉食動物なので犬よりも食物繊維を苦手とします。小さじ1程度からはじめてみるといいでしょう。
犬猫どちらの場合であっても便の様子を見ながら量を調節してあげてください。
犬猫に必要なカロリーの計算方法は以下を参照してください。
えのきに含まれる代表的な栄養素
生 可食部100g当たり
栄養素 | 含有量 |
---|---|
エネルギー | 34kcal |
たんぱく質 | 1.6g |
脂質 | 0.1g |
食物繊維総量 | 3.9g |
カリウム | 340mg |
ビタミンB1 | 0.24mg |
参考資料:八訂 食品成分表 2022
食物繊維
先述したとおりえのきなどのきのこ類には食物繊維が豊富に含まれています。
食物繊維は大きく分けて不溶性食物繊維と水溶性食物繊維の2種類に分けられます。このうちえのきに多く含まれるのは不溶性食物繊維です。
不溶性食物繊維は便の量を増やし、大腸のぜん動運動を活発にする働きがありますが
草食動物ではない犬・猫・人間などが食物繊維を摂取しすぎると逆に便秘や下痢の原因となってしまいます。
少量であれば与えても大丈夫なので、くれぐれも与えすぎには注意しましょう。
カリウム
カリウムはミネラルの一種で細胞機能・神経伝達・エネルギー代謝などに関わるとても重要な栄養素です。
過剰も欠乏も病気の原因になるのでバランス良く摂取することが大切です。
高カリウム血症
体に不必要なカリウムは尿と一緒に体外に排出されるため基本的にカリウム過剰の心配はありませんが
尿閉塞などでおしっこが出せなくなってしまった犬猫は「高カリウム血症」という病気の恐れがあります。
高カリウム血症とは尿とともにカリウムの排出がうまくできず血液中のカリウムの濃度が上がってしまった状態のことです。
症状としては嘔吐などの消化器症状・神経症状・不整脈などがあり、最悪の場合死に至るとても恐ろしい病気です。
低カリウム血症
通常、カリウムが不足することはあまりありませんが偏った食事や下痢・嘔吐・食欲不振の常習などにより
体内のカリウムが著しく欠乏すると低カリウム血症の恐れがあります。症状は高カリウムに似たものや筋力低下や歩行不全などがあります。
愛犬・愛猫はよく見てあげて
高カリウム血症・低カリウム血症ともに無症状に見え、気づきにくい病気なので注意しましょう。
愛犬・愛猫にトイレの回数が増えた・トイレに行ってもおしっこが出ていない・ご飯を食べないなどの症状が見られる場合は早めに獣医に相談しましょう。
ビタミンB1(チアミン)
ビタミンB1(チアミン)は皮膚や粘膜の健康を保つ働きのあるビタミンです。
完全栄養食のペットフードを与えている場合は不足することはあまりありませんが不足すると歩行障害や筋力低下などにつながる可能性もあります。
ビタミンB1は水溶性ビタミンなので不要な分は尿とともに体外へ排出されます。
犬猫にしいたけを与える際の注意点
石突きは与えない
エノキの石突きは固く、おがくずがついているので切り落として犬猫には与えないようにしましょう。
細かくして食べさせて
犬猫にえのきを与える場合は短く切るかもしくはフードプロセッサーでペースト状にしてから与えましょう。
そうすることで食べやすくなり、消化にも良くなり、のどに詰まらせるリスクも抑えることが出来ます。
アレルギーに注意
犬猫はエノキにアレルギーを持っている場合があります。初めて与える場合はごく少量にして様子を見ましょう。
皮膚や口周りの赤みやかゆみ・腫れ等が見られた場合すぐに与えるのを辞め、症状がひどくなる場合は動物病院へ行きましょう。
犬や猫にあげるえのきのレシピ
犬猫にえのきを初めて与える場合は茹でたものを普段与えているフードに少量混ぜるのが良いと思います。
手順は以下の通りです。
①えのきを愛犬・愛猫に合った適量用意する(初めての場合は少なめで)
②石突きを切り落とす
③軽く水洗いする(残ったおがくずなどを洗い落とす)
④十分に火が通るまで茹でる
⑤茹であがったら水気を取りみじん切りもしくはフードプロセッサーでペースト状になるまで細かくする
⑥フードに混ぜるかトッピングして与える
※必ず冷めてから与えましょう。やけどしてしまいます。
【まとめ】犬猫はえのきを食べても大丈夫
犬猫はエノキを食べても大丈夫ですが以下の点には注意しましょう。
・フラムトキシンやリステリア菌など有毒な成分を含むので生食はNG
・食物繊維豊富なので食べ過ぎによる消化不良に注意
・アレルギーに注意
今回はえのきについて紹介しました。しっかり火を通すことを意識して適量を守り与えましょう。
えのきを使ったオリジナルレシピをぜひ考えてみてください。