高級で美味しいふぐ
刺身や鍋で食べる高級魚としてイメージの強いふぐ。
他の魚に比べると食卓に並ぶ機会は少ないですが、その美味しさは格別です。
身などの可食部が美味しいのはもちろんですが、出汁もまた絶品でふぐ雑炊なども人気があります。
せっかくの美味しいふぐを犬猫も食べられるのか気になる所ですが、毒に気を付ければ犬猫もふぐを食べることができます。
こちらの記事では以下の内容をお話していきます。
- ふぐの持つ毒について
- 犬猫にふぐを食べさせるメリット・注意点
- 食べさせ方や調理方法
ふぐ毒について
まず始めにふぐの持つ毒「テトロドトキシン」についてお話します。
テトロドトキシンは青酸カリの千倍以上と言われる猛毒で、よく口にされているトラフグでも1匹分の毒が人間約10人分の致死量に相当すると言われています。
有資格者により正式に処理をされたふぐならOK
毒を持つふぐは正しく処理をしないと大変危険ですが、過去のふぐによる食中毒は素人の処理によるものがほとんどです。
ふぐ調理師の免許を取得した有資格者が処理したふぐは毒が除去されています。
ふぐ調理師は、ふぐ条例に基づき各都道府県で行われる調理師試験に合格すると取得可能な資格です。
ふぐ毒による症状
食べたふぐ毒の量にもよりますが、人間の場合食後20分から3時間程度の短時間で症状が現れ始めます。
身体の小さな犬猫の場合人間よりもさらに少量かつ短時間で以下の症状が現れる可能性があると考えられます。
- 頭痛・腹痛
- 激しい嘔吐
- 全身のしびれ
- 知覚障害
- 呼吸困難
- 重傷の場合死に至る可能性も
ふぐ毒には解毒薬がなく、対症療法を行い回復を待つしかありません。
素人が処理したふぐや処理のされていないふぐは、人間も犬猫も絶対に食べてはいけません。
参考
厚生労働省「自然毒のリスクプロファイル:魚類:フグ毒」
東京都福祉保健局「危険が一杯 ふぐの素人料理」
ふぐの栄養素や犬猫に食べさせるメリット
とらふぐ(養殖 生)100gあたりに含まれる主な栄養素
含有量 | |
---|---|
エネルギー | 80kcal |
脂質 | 0.2g |
たんぱく質 | 15.9g |
ビタミンD | 4.0μg |
ビタミンB6 | 0.45mg |
EPA | 190mg |
DHA | 110mg |
グルタミン酸 | 2600mg |
参考資料:八訂 食品成分表 2022
コラーゲン
皮や骨の周りに含まれるコラーゲンには美容効果があると言われています。
犬猫が摂取した場合は毛や皮膚を美しく保ったり、関節を滑らかにしたりといった効果が期待できます。
タウリン
抗酸化作用と心臓の働きを助ける役割を持っています。また、目の健康維持にも役立ちます。
EPA・DHA
主に海水魚の魚油に多く含まれる脂肪酸。
老化防止・抗炎症作用・動脈硬化の予防などの健康効果が期待できます。
たんぱく質
白身魚であるふぐはたんぱく質も豊富です。
たんぱく質は身体作りの主成分であり、成長促進・脳の活性化・精神安定・免疫力の向上などの役割を果たします。
ビタミンDとビタミンB6
ビタミンDはカルシウムの吸収を促進し、丈夫な骨尽くりや筋肉の発達に役立ちます。
ビタミンB6はたんぱく質の吸収を助け、免疫力を向上させる役割などを持ちます。
うま味成分グルタミン
ふぐには三大うま味成分であるグルタミンが豊富に含まれています。
犬と猫は人間よりうまみを感じづらいですが、それでもふぐの風味は美味しく感じてもらえるでしょう。
低カロリー・低脂質
ふぐはこれだけの栄養とうま味を兼ね備えながら、カロリーと脂質はとても低くなっています。
頻繁に食べさせることは難しいとは思いますが、ダイエット中の犬猫にも食べさせやすい食材と言えます。
ふぐをたべさせる時の注意点
素人処理をせず、有資格者が処理したふぐのみを食べさせる
先述していますがふぐは毒を持っています。そして、このふぐ毒による食中毒はほとんど素人の処理によるものです。
人間が食べる時と同じように、犬猫に食べさせる際は有資格者が適切な処理を行ったふぐにしましょう。
生で与える場合は新鮮なものを
ふぐは新鮮であれば生のものを犬猫にたべさせることができますが、鮮度が落ちたものは食中毒などの危険があります。
骨に注意
魚は小骨が多い生き物です。
犬猫はあまり咀嚼をしないので骨が付いたまま食べさせるとそのまま丸飲みし、体内を傷つける可能性があります。
犬猫にふぐなどの魚を食べさせる際はしっかりと骨の処理がされているのか確認しましょう。
アレルギーに注意
ふぐに限った話ではありませんが、初めてのものを食べさせる時は食物アレルギーに注意しましょう。
まずは少量から与え、よく観察しましょう。異常が現れれば食べさせるのをやめ、ひどい様子でしたら動物病院へ連絡を。
ポン酢や薬味はNG
ふぐ料理はポン酢や醤油で味付けをし、ネギなどの薬味と食べることが定番ですが、犬猫にはNGです。
調味料類は塩分や刺激物が含まれること、ネギなどの薬味は犬猫に中毒症状を起こしてしまうことがその理由です。
ふぐはアニサキスが居ない?
ふぐに毒が含まれることはお話してきていますが、その毒によりふぐにはアニサキスが居ません。
アニサキス以外に寄生虫が居ることもありますが、それらは体内に居ないので捌く工程で取り除かれています。
犬猫へのふぐの与え方
食べさせる部位について
ふぐ毒は主に肝臓や卵巣などの内臓に含まれており、この部分を食べることは大変危険です。
有資格者による調理が行われたあとは、
- 身(筋肉)
- 皮
- 精巣(白子)
の部位を食すことができますが、ふぐの種類によっては皮や白子も食べられないことがあります。
食べさせる前に「ふぐの種類」と「そのふぐの可食部位」について必ず調べるようにしましょう。
皮と白子は食べづらかったり、鮮度が落ちやすかったりするので身だけを食べさせるのが無難かも知れません。
愛犬愛猫用のふぐ料理
刺身
ふぐの身はほとんど筋肉なので、厚く切ったり一度にたくさん食べさせたりすると噛み切りづらくなってしまいます。
人間が食べる時と同様にごく薄切りにした上で、愛犬愛猫の体格に合わせてさらに細かくした新鮮なものを少量与えるようにしましょう。
ふぐ鍋
材料
- ふぐ
- 白菜
- 人参
- 豆腐
作り方
- ふぐと野菜を犬猫用のサイズに小さく切る
- 鍋に水を入れ軽く沸騰させる
- ふぐ以外の具材をいれ中火で数分煮込む
- 最後にふぐを入れ、ふぐがよく加熱されれば完成
ふぐと野菜の栄養とうまみをスープごと食べることができます。
ふぐのアラがあれば出汁取りに使えますが、骨がスープに残らないように注意。
食後はご飯を入れふぐ雑炊にも。
食べ過ぎないように量は調節してください。
【まとめ】
犬猫は毒に注意すればふぐを食べることができます。
コラーゲンやタウリンによる健康効果が期待でき、うま味成分も多く持っています。
- 素人が処理をしたものはふぐ毒が危険なので、有資格者が除毒処理をしたふぐのみを食べさせる
- 生で与えるのであれば新鮮なものを
- 骨とアレルギーに気を付ける
- ポン酢やネギなどの薬味はNG
などの注意点があります。
きちんと処理されたふぐであれば、身・皮・白子を犬猫に食べさせることが可能です。
しかしふぐの種類による可食部位の差や、食べやすさ、鮮度の低下などを考えると加熱した身のみを食べさせることが無難かも知れません。
高級魚として人気のふぐ、ぜひ愛犬愛猫にも少しお裾分けしてあげてみてください。
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