愛犬・愛猫に与えるにんにくについて
独特な香りが特徴のにんにく。丸ごと揚げたり炒めたり、みじん切りしてパスタに入れたり、バターと混ぜてトーストに塗ったり、チップにしてトッピングしたりと汎用性抜群でとても人気です。
栄養も豊富で疲労回復や滋養強壮に効果的な「アリシン」や皮膚や粘膜の健康をサポートする「カロテン」などが含まれています。
そんなにんにくは犬猫は食べても大丈夫なのでしょうか。解説していきたいと思います。
犬や猫にはにんにくを食べさせないで!
犬猫ににんにくを食べさせてはいけません。
なぜ食べさせてはいけないのでしょうか。理由については以下で解説します。
にんにくを与えてはいけない理由
にんにくには犬猫にとって有害な成分が含まれています。もし食べてしまうと重篤な症状を引き起こしたり、最悪の場合死に至ってしまうというケースもあります。
犬猫が食べてはいけない食材として有名なものに長ねぎや玉ねぎがありますよね。にんにくはこれらと同じ「ヒガンバナ科ネギ属」に属する植物なのです。
犬猫にとって有害なにんにくの成分
にんにくには動脈硬化を予防する「ビタミンB6」や肝臓機能を助ける「ジアリルジスルフィド」など、体に良い成分もたくさん含まれています。
しかし、とある成分のせいで犬猫が食べてはいけないものとなっているのです。
有機チオ硫酸化合物
かつてはにんにくに含まれる「アリルプロピルジスルフィド」という成分が犬猫にとって有害と考えられていましたが今では「有機チオ硫酸化合物」という成分が有害だということがわかっています。
有機チオ硫酸化合物は人間が摂取することで抗がん作用・血栓の予防・免疫力アップなど様々な効果をもたらしますが、犬猫は有機チオ硫酸化合物を消化する酵素を持っていません。
有機チオ硫酸化合物は犬猫の体内に入ると赤血球のヘモグロビンを酸化させ「溶血」を引き起こします。
溶血とは?
ヘモグロビンが酸化すると赤血球内に「ハインツ小体」と呼ばれる病変が作られます。
ハインツ小体を持つ赤血球は血管内で破裂しやすい状態になり、赤血球が減少してしまいます。
このように赤血球が壊されることを「溶血」といいます。溶血は「溶血性貧血」や「ハインツ小体性貧血」につながり、酷い場合は命に関わる重度の貧血になります。
少量なら大丈夫?
少量だけ食べてしまった場合や少し舐めてしまっただけでも油断は出来ません。以下のような症状が現れないかよく観察してあげましょう。
どんな中毒症状が起こるか
主に貧血の症状が現れます。
- 元気がない
- めまい、ふらつき
- 下痢
- 嘔吐
- 食欲不振
- 血尿や濃い色の尿が出る
- 歯茎や目等の結膜が白くなる(貧血)
- 黄疸(おうだん)
- 呼吸困難
- 血便
- 意識がなくなる(ショック症状)
重症化した場合はけいれん発作や呼吸困難を起こし、最悪の場合死亡してしまうこともあります。
加熱すれば大丈夫?
にんにくに含まれる有機チオ硫酸化合物は加熱では分解されません。加熱して調理したものでも中毒を起こすので、犬猫が食べるものに入っていないか必ず確認する必要があります。
にんにくは様々な料理に使われます。また、調理される形も、丸ごと・スライス・みじん切り・チューブなど様々です。
大丈夫だと思って与えた食事にみじん切りやチューブのにんにくが入っていた!なんてことにならないように十分に注意し、自分で手作り料理を与える場合にも絶対ににんにくは使わないようにしましょう。
犬猫が食べてしまわないために
調理中に落ちてしまったにんにくを犬猫が食べてしまうことも考えられるので特ににんにくや玉ねぎを調理している時は愛犬や愛猫をキッチンに近づけないように対策することも大切です。
玉ねぎを切った後の手や調理器具を犬猫がなめてしまっただけで中毒症状を引き起こす可能性もなくはありません。
調理後は石鹸でしっかり手を洗い、調理器具も洗剤で洗って犬猫の届かない場所へ片づけるように心がけましょう。
市販品、缶詰などに『野菜エキス』と記載されている場合があり、この野菜にネギ類が含まれている場合があります。
基本的には人用の市販品は与えないのが大前提ですが、与える前にはメーカーに問い合わせをして内容の確認をしてから与えるかどうかの選択をすることをお勧めします。
にんにくを食べてしまったときの対処法
症状が現れるまでの期間
犬猫はにんにくを食べてしまっても直後はケロッとしていることが多いです。
通常、症状が現れるまで2~4日経過した後になりますが早い場合だとその日のうちに症状が現れる場合もあるそうです。
口内に残っている場合は取り出す
もし愛犬・愛猫がにんにくを食べる瞬間を目撃したらすぐに止め、口を開き、見えるところににんにくがある場合は取り出してあげましょう。
吐き出させたとしても破片を飲み込んでしまっているかもしれないので油断は禁物です。
可能であればすぐに動物病院へ
溶解性貧血は最悪の場合死に至る病気です。もし愛犬・愛猫がにんにくを飲み込んでしまった場合は可能であればすぐに動物病院へ連れて行ってあげましょう。
それができない場合は電話などで獣医に相談しましょう。それもできない場合はよく観察してあげてください。フラフラしていたり血尿などの症状が見られたらできる限り早めに動物病院へ連れて行きましょう。
犬を飼っている場合は特に注意
猫は完全肉食動物ということもあり、にんにくの匂いが苦手な場合が多いようです。
しかし犬は雑食動物なので食べてしまう可能性は猫よりは高いといえるでしょう。
まとめ
犬猫ににんにくは食べさせてはいけません。大事なポイントをおさらいしましょう。
- 加熱しても与えてはいけない
- 食べることで体内で溶血が起き貧血を引き起こす
- もし食べてしまったら可能な限り迅速に動物病院へ連れて行く
今回はにんにくについて紹介しました。何度も言うようですがにんにくは犬猫に与えないでください。
「うっかり食べてしまった」「食べさせたものに意図せず入ってしまっていた」などということがないように十分注意してください。