春の七草の一つとして七草粥にも使用されることでおなじみのゴギョウ。
葉や茎に白い綿毛を纏う様子が母が子を包み込むように見えたことから「母子草(ははこぐさ)」という別名もあります。
そんなゴギョウは犬猫が食べても大丈夫なのでしょうか。
犬や猫はゴギョウを食べても大丈夫!
ゴギョウには犬猫にとって毒性のある成分は含まれていないため、犬や猫はゴギョウを食べても大丈夫です。
今回はゴギョウの栄養や縁起物としての意味、与える際の注意点などについてご紹介します。
昔は草餅に使用されていた
現在の草餅は、よもぎが使用されるものが一般的ですが昔はゴギョウが使用されていたようです。
しかし、ゴギョウが母子草と呼ばれていたことから「母と子を杵と臼を用いて潰すのは縁起が悪い」という理由からよもぎが使用されるようになったと言われています。
縁起物のゴギョウ
ゴギョウは漢字で「御形」と書き、人形(ひとがた)の代わりとして使用されていたと考えられています。
現在も神社でお祓いをする際に白い紙で作られた人形が使用されることがありますが、同じような役目でゴギョウが使用されていたという説があります。
人形のなかでもゴギョウは親子の姿を模った人形とされており、親子の穢れ(けがれ)を祓う意味で使用されていたようです。
「穢れ」には「気枯れ」という意味もあり、気(エネルギー)がない状態のことも指します。
そのため出産後のエネルギーを使い果たした母体にエネルギーが戻るようにと出産後にお祓いをしたとも考えられています。
また、川に人形を流す風習もあり、そういった点でも川辺に生えているゴギョウは都合が良かったといえます。
ゴギョウの呼び方は様々
ゴギョウには冒頭でご紹介した「母子草」の他にも以下のようなたくさんの別名があります。
- 餅花(モチバナ)
- 綿草(ワタグサ)
- 仏耳草(ブツジグサ)
- 鼠耳(ソジ)
- 兎の耳(ウサギノミミ)
このような様々な名称が残っているということはゴギョウが多くの人に愛された植物であることがわかります。
ゴギョウに含まれる代表的な栄養素
ゴギョウにはタンパク質・ミネラル・ビタミンB1・ビタミンB2などの栄養素が含まれています。
各栄養素が犬猫にとってどんな効果があるのかご紹介します。
タンパク質
タンパク質は皮膚・被毛・内臓など体を作るために欠かせない栄養素です。
肉や魚に多く含まれているタンパク質は、肉食動物の猫や肉食寄りの雑食動物の犬にとってはとくに重要な栄養素です。
体重1kgあたりのタンパク質必要量は犬が人間の3~5倍、猫はさらにその3~5倍だと言われています。
古くから稲作を行ってきた人間にとって主なエネルギー源は炭水化物ですが、狩りをして生活してきた犬猫にとってタンパク質は重要なエネルギー源でもあります。
そんなタンパク質が不足すると体に様々な悪影響を及ぼしかねません。
具体的には以下のような症状が考えられます。
- 成長不良
- 貧血
- 食欲不振
- 毛艶が悪くなる
- 発育遅延
- 体重減少
- 生体機能の低下
- 被毛の発育不良
- 元気がなくなる
- 痩せてくる
一般的なドッグフードやキャットフードにはタンパク質が必要量含まれているので不足することは基本的にはありません。
しかし食欲不振や下痢・嘔吐などによる栄養不足には十分注意しましょう。
カルシウム
カルシウムは基本的に骨に存在し、骨を構成しているミネラルの一種です。
細胞間の情報伝達や神経刺激の伝達などのとても重要な役割を担っており、それらに必要なカルシウムが不足すると骨を構成しているカルシウムを消費するようになります。
そのためカルシウム不足になると骨がすかすかになり、骨粗しょう症などになるリスクが高くなってしまいます。
同じミネラルの一種である「リン」もカルシウムと同じく骨の構成要素のため丈夫な骨を作るにはカルシウムとリンのバランスが大切です。
犬や猫へゴギョウを与える際の注意点
ゴギョウに含まれているカルシウムは過剰に摂取すると膀胱内でシュウ酸と結びついて「シュウ酸カルシウム結石」になってしまう可能性があります。
犬猫は総合栄養食のペットフードを食べている場合、基本的に必要な栄養素は摂取できているので普段の食事に追加で食べ物を与える場合は栄養過多に注意しましょう。
また、野菜類は繊維質で犬猫の胃腸に負担をかけやすいので与えすぎには注意しましょう。
ゴギョウを使った犬猫用レシピ
ゴギョウを使ったレシピではやはり七草粥が有名です。
犬猫用の七草粥のレシピは以下の記事を参考にしてください。
人間用の七草粥のレシピには中華風にアレンジしたものやチーズを使用したものなどがあります。
しかし調味料を使用すると犬猫にとっては塩分過多や糖分過多になってしまう可能性があるので注意しましょう。
【まとめ】犬猫はゴギョウを食べても大丈夫
犬猫はゴギョウを食べても大丈夫です。今回のポイントをおさらいしましょう。
- 春の七草の一つで母や子の姿を模った人形の代わりとして穢れを祓うお祈りに使用されていた
- 草餅によもぎを使用するのが一般的になる前はゴギョウが使用されていた
- タンパク質やカルシウムが豊富だが与えすぎるとシュウ酸カルシウム結石や消化不良の可能性があるので注意
今回は犬や猫にゴギョウを与える注意点を解説しました。
ぜひ愛犬や愛猫と一緒に七草粥を楽しんでみてください。