ヘチマについて
ヘチマは成熟すると繊維が硬くなり、乾燥してスポンジやたわしなどの日用品として活用されるイメージが強くありますが、開花してすぐの若い実は食用としてもおいしく食べることができます。
このヘチマは沖縄では夏野菜の代表格としてゴーヤと並ぶほどポピュラーな野菜で、ナーベラーという名前で呼ばれ親しまれています。
ヘチマを使った犬猫用のデンタルケア用品
この記事では、食用としてのヘチマの若い実について解説しますが、ヘチマといえばデンタルケアを兼ねた犬猫用の噛むおもちゃが多く販売されています。
ヘチマの成熟した実から採れる硬い繊維が、犬猫がカミカミと噛んでいるうちに歯についた汚れや歯垢をからめとってくれることが期待されています。
こういったおもちゃはよく噛んでいるうちに繊維が崩れ、犬猫がヘチマの繊維を飲み込んでしまうこともあるでしょう。
硬い繊維なので、犬猫が消化不良を起こす原因となる可能性は少なからずありますが、毒性のある植物ではないのでごく少量飲み込んでしまった程度であれば慌てる必要はありません。
ただしヘチマを多量にかみちぎって飲み込んでしまった場合はのどに詰まらせてしまったり消化不良、腸閉塞などの危険は少なからずあるので、誤飲回避のために定期的に新しいものと取り換えてあげましょう。
またヘチマの繊維以外に化学繊維と混合で作られている製品も多くあるので、使用する際には製品の注意事項などをよく確認し安全に使用しましょう。
ヘチマは犬猫が食べても大丈夫!
ヘチマはウリ科の植物で、きゅうりやカボチャなどの仲間です。
犬猫に対して有害物質は含まれていないので犬猫が食べても大丈夫な食材です。
ヘチマはナスやズッキーニと似た食感で、加熱するととろりと柔らくなるので犬猫も食べやすくなるでしょう。
犬猫にヘチマを与えるメリット
水分が多く低カロリー!
ヘチマの9割以上が水分であるといわれており、この水分中にミネラルが含まれています。
その水分の多さから、ヘチマのツルをきると切り口から水分がにじみ出てくることが知られており、ヘチマ水と呼ばれ昔から化粧水として活用されてきました。
夏場の暑い時期に失われがちな水分を食事からも補給できるので、夏バテや熱中症対策にも一役買ってくれそうです。
またヘチマは可食部100gあたり17㎉と低カロリーなので、加熱して細かく刻んだものをトッピングなどに使用すれば、カロリーをあまり気にせずカサ増しが可能です。
体重管理が必要な犬猫のダイエットごはんに役立つでしょう。
ビタミンKや葉酸が比較的多い
ヘチマは取り立てて多く含む栄養素はありませんが、比較的多く含まれるのがビタミンKと葉酸です。
ビタミンK
ビタミンKは血液を固めて出血を止める働きをする、脂溶性のビタミンです。
また、骨にカルシウムを定着させる手助けをするので、骨や歯を丈夫にしたり、骨粗しょう症の予防に役立ちます。
葉酸
葉酸はビタミンB群の仲間で水溶性ビタミンのひとつです。
赤血球をつくる『造血のビタミン』とも呼ばれ、細胞の生産や再生を助ける働きがあります。
妊娠初期や成長期の子犬、子猫は細胞分裂が活発に行われるため、葉酸の摂取は好ましいといわれています。
どちらも血液に関わる栄養素で、貧血の予防に役立ちます。
また、正常な細胞の増殖のサポートや骨や歯を丈夫にする効果は成長期の犬猫に積極的に摂らせたい栄養素でもあります。
ヘチマを与える際の注意点
ヘチマの皮は必ずむきましょう!
ヘチマの若い実は一見して皮ごとそのまま調理できそうですが、実は外側の皮は硬いので皮むきの下処理が必要になります。
消化能力が低い犬猫にとってヘチマの外皮は消化不良の原因となってしまい、下痢や嘔吐の原因になってしまう事も。
ヘチマの皮はピーラーで簡単にむけますので、皮が残らないようにしっかりむきましょう。
ヘチマの実には中に種がありますが、若い実の種はやわらかく一緒に食べられるといわれています。
ただし幼少期や老齢期、また犬より植物性の消化が苦手な猫に与える場合には、スプーンなどで種を取り除いた実を調理してあげるといいでしょう。
必ず加熱調理をしましょう!ヘチマの生食はNG
ヘチマは基本的に加熱して食べる食材です。
ヘチマは加熱することでトロリと柔らかな食感になるので、犬猫の消化能力を考えても必ず加熱することをおすすめします。
加熱時間が短ければシャッキリとした食感が残り、長めに加熱すればトロトロとした食感になります。
犬猫の個体差にあわせて加熱時間を調整してあげるのもいいでしょう。
下痢気味の犬猫には与えないようにしましょう
上記でも解説しましたが、ヘチマは9割以上が水分です。
水分は胃腸を冷やしてしまう事が多くあるので、お腹の調子が悪い場合にヘチマを与えてしまうと下痢を助長させてしまうかもしれません。
健康な状態であっても過度な摂取はその水分で下痢などの体調不良を起こす可能性がありますので、低カロリーだからといって無制限に与える事はやめましょう。
時々、少量をトッピングや手作りごはんの食材の一部として与える程度にし、犬猫の食後の様子や健康状態に合わせて量や頻度を調整してあげましょう。
まとめ
ヘチマは日用品としてのイメージが強くありますが、開花してすぐの若い実は食べられる食材です。
ヘチマは9割以上が水分ですが、骨や血の健康維持には欠かせないビタミンKと葉酸が比較的豊富に含まれています。
夏に旬を迎えるヘチマは、その豊富な水分が夏バテ防止にも役立ちます。
ヘチマを与えたいと考える場合には、消化の観点から必ず硬い外側の皮をむき、加熱して柔らかくなったものを食べさせてあげましょう。
生食は皮の硬さや実の硬さから消化不良の原因となってしまうので控えた方がいいでしょう。
カロリーも低く、水分も多いヘチマはダイエット中の犬猫の食事にカサ増しとして活躍してくれそうですが、過剰摂取にならないように注意しましょう。
参考:ナーベラー(ヘチマ)