いんげん豆とは
いんげん豆は中南米のマメ科の植物で、諸外国では最も日常的に食べられている豆の一つです。
いんげん豆は種皮の色の多様性に大きな特徴があります。
豆全体が真っ白な白色系と、豆に色の付いている着色系とに大別され、代表的なもので白色系は「白いんげん」、着色系には単色の「レッドキドニー」、斑紋入りの「うずら豆」などがあります。
煮込み料理やスープ、サラダなどに加えられ、栄養豊富でタンパク質や食物繊維が多く含まれているため、健康的な食材としても知られています。
いんげん豆とさやいんげんの違い
いんげん豆で検索をすると、さやいんげんの説明や画像が出てくることが多くあります。
いんげん豆とさやいんげんは同じ植物から収穫されますが、品種や食べる部分が違います。
いんげん豆
種子が成熟した状態で収穫されるもので、豆は乾燥させて長期保存することができます。
いんげん豆は、スープや煮料理、サラダなどに使われ、栄養豊富なタンパク源として世界中で食べられています。
さやいんげん
さやが未熟な状態で収穫されたもので、豆ごとさやも含めて食べられる野菜です。いんげん豆とは異なり、乾燥などはさせず、新鮮な状態で食べることが主流です。
さやいんげんの略称として「いんげん」と呼ぶことが多くあるので、豆の状態のいんげん豆と混同される場合が多々あります。
完熟種子を乾燥豆として利用する上記のいんげん豆とは品種が異なります。
このように、いんげん豆は熟した種子、さやいんげんは未熟なサヤを食べるという違いがありますが、どちらも栄養価が高く、料理のバリエーションを豊かにしてくれる食材です。
いんげん豆は少量であれば犬や猫が食べても大丈夫な食材
栄養価も高く、保存性も良いため愛犬や愛猫の食事にも使えたらと考える方も多くいるでしょう。
犬や猫のいんげん豆の摂取についてはいくつかの注意点がありますが、少量であれば食べても大丈夫な食材です。
こちらの記事ではいんげん豆を与える際の注意点や栄養について解説します。
いんげん豆を与える際の注意点
いんげん豆は絶対に生で与えてはいけない!
生のいんげん豆は中毒を起こす危険性があるので、絶対に与えないようにしましょう。
人間が食べる時と同様に、犬や猫に与える時も必ず加熱したものを与えましょう。
主な毒性成分
生のいんげん豆に含まれる毒性成分はレクチンの一種であるフィトヘマグルチニンです。
このフィトヘマグルチニンは生の豆類に含まれ、生のままの豆を食べるとこの成分によって激しい嘔吐や下痢などの急性中毒症状が起こります。
無害化するには豆を80℃以上の高温でしっかり加熱することが必要です。
特に赤いんげん豆(キドニービーン)は、白いんげん豆の約3倍ものフィトヘマグルチニンが含まれているため、より注意が求められます。
乾燥した豆は、水に一晩浸けてから1時間前後茹でて調理に使用することが一般的です。詳しい茹で方は、日本豆類協会HPにて紹介されていますので参考にしてみてください。
しっかりと加熱したものであれば、フィトヘマグルチニンによる嘔吐や下痢、腹痛などといった中毒症状は起きませんので安心して与える事ができます。
与えすぎはNG!トッピング程度に控えましょう
犬に与えるいんげん豆の量は、食事のトッピングとして全体の食事量の20%を超えない程度にしましょう。猫に関しては10%未満でも十分といえるでしょう。
いんげん豆は食物繊維やたんぱく質などの栄養素が含まれているので、犬や猫に与えるメリットがありますが、その食物繊維の多さから下痢や便秘などを起こす場合があります。
胃腸が弱い犬や猫、特に猫は植物性食品の消化が苦手なので、愛犬愛猫の体調や性質によっては与えない方がいいケースもあります。
いんげん豆の缶詰やパウチのものは調味料未使用のものを選ぶ
いんげん豆は乾燥したものだけではなく、そのまま使える缶詰やパウチのものも多く販売されています。
長時間水に浸けて茹でるなどの下処理の必要がないので大変便利ではありますが、商品によっては水あめや食塩などを使用したものもたくさんあります。
犬や猫に与える際には、必ずパッケージに記載された原材料を確認し、調味料やその他犬や猫に与えてはいけない食材が使われていないか確認してからにしましょう。
いんげん豆の栄養
上記ではいんげん豆を与える際の注意点を解説しましたが、いんげん豆には様々な栄養素が含まれています。
愛犬、愛猫の胃腸に問題がないようであれば、トッピング程度に時々与えるのは健康的メリットがあるでしょう。以下は、いんげん豆に含まれる主な栄養素です。
タンパク質
いんげん豆は植物性の良質なタンパク源で、体の成長や修復に必要なアミノ酸を供給します。
食物繊維
豊富な食物繊維が含まれており、消化を助けるだけでなく、腸内環境を整え、便秘の予防にも役立ちます。
ビタミンB群
ビタミンB1(チアミン)、B6、葉酸などが含まれており、これらはエネルギー代謝を助け、体内のエネルギーを効率的に利用するのに役立ちます。
鉄分
いんげん豆は鉄分も豊富に含まれており、赤血球の生成を助け、貧血の予防に役立ちます。
特に植物性食品からの鉄分は、動物性の鉄分と比べて吸収率が低いため、ビタミンCと一緒に摂取すると吸収が促進されます。
マグネシウム
マグネシウムは、筋肉や神経の機能を保つのに重要であり、体内の酵素反応やエネルギー生成に関わっています。心臓の健康や骨の強化にも役立つミネラルです。
抗酸化物質
いんげん豆には、ポリフェノールやフラボノイドなどの抗酸化物質も含まれており、これらは細胞の酸化ストレスを軽減し、老化や病気のリスクを軽減させる効果があります。
まとめ
いんげん豆は栄養価が高く健康的メリットが与えられる食材です。
犬や猫も少量であれば食べられますが、胃腸が弱い犬や猫には与えない方がいいでしょう。
胃腸が問題ない場合でも、与えすぎると消化不良などを起こす可能性があるので、少量をトッピング程度に控えましょう。
生のいんげん豆は嘔吐や下痢、腹痛を起こす毒性成分が含まれているので、必ずしっかりと加熱したものを与えるようにしてください。