犬猫はもやしを食べても大丈夫?生で食べるのは危険?与え方や注意点を解説

犬猫がもやしを食べても大丈夫!ただし必ず加熱してから与えましょう。

犬猫はもやしを食べても大丈夫!もやしは95%が水分の野菜。低カロリーでダイエットの強い味方です。

色白で弱々しい見た目に反して食物繊維も豊富で、良質なたんぱく質をはじめ疲労回復や抗酸化作用、粘膜の保護、スタミナ強化などなど体に嬉しい栄養素がたくさん含まれています。栄養豊富で低カロリーなもやしは人だけでなく犬猫が食べてもメリットがある食材です。

生食は危険。加熱調理すれば大丈夫

もやしの見た目やみずみずしさから生でも食べられそうな雰囲気がありますが、もやしの生食は危険とされているので必ず加熱してから与えるようにしてください。

理由としては育成環境が大きく影響しています。もやしが特別に不衛生な環境で育てられているわけではありません。

むしろ農林水産省が国内の生産者に対して衛生管理指針を提示しているので、露地栽培している他の野菜よりも菌が少ない環境下で栽培されているといわれています。

しかしもやしは日光の当たらない湿度の高い場所で栽培されているので、菌の繁殖にも絶好の環境ともいえるのです。

洗浄はされているが細菌は取り切れない

原料になる豆も出荷の際も一般的にしっかりと洗浄されていますが、内部に入り込んだ細菌類までは取り切れない可能性があり、このように残った細菌類は食中毒を引き起こす原因となる可能性があります。

すべての菌が食中毒を起こすわけではありませんが、腸管出血性大腸菌(O157)やサルモネラ菌など食中毒の原因菌が付着していた場合を懸念して加熱調理が推奨されているのです。

これらの菌はきちんと加熱することで死滅することはわかっているので、人と同様に犬猫ももやしを食べる際には加熱することが推奨されています。生でも大丈夫とは決して言えませんので注意してください。

参考:農林水産省

もやしの栄養

植物性たんぱく質

植物性たんぱく質は動物性たんぱく質と比較すると必須アミノ酸の含有量は少ないですが、動物性の食品と比較して脂質、エネルギー量が抑えられます。油脂を控えた上でたんぱく質を摂できるのでダイエット時の強い味方です。

ビタミンB1、B2

もやしにはビタミンB群の中でもB1、B2が豊富に含まれております。B1は糖質をエネルギーに換えたり、疲労物質を作りにくくする働きがあります。B2は脂質を分解してエネルギーを作ったり、皮毛、爪などの健康維持に役立ちます。

カルシウム

体を支える骨格の強化に活躍する働きがあり、骨や歯の構成に必要不可欠な栄養素です。細胞の分裂や神経興奮の抑制などにも関わります。

葉酸

葉酸はビタミンB群の一種で「造血のビタミン」とも呼ばれています。赤血球の細胞の形成を助ける役割があり、貧血予防にも効果があるといわれています。

カリウム

カリウムはミネラルの一種で、浸透圧の調整などの働きをします。利尿作用が期待でき、ナトリウムを排出する事で塩分の摂り過ぎを調節する重要な役割を果たします。血圧を下げる効果も期待できます。

しかし腎臓病等の疾患がある犬猫は摂取量に注意してください。過剰摂取は高カリウム血症の原因になる危険性があり、四肢のしびれや嘔吐、筋力低下、脈拍異常といった体調不良の原因につながります。

鉄は赤血球中のヘモグロビンに結合し、全身に酸素の供給を行います。不足すると貧血を起こします。

また、体内の老化を促進したり正常細胞を傷つける過剰な活性酸素を分解する働きを持ちます。野菜に含まれる鉄は非ヘム鉄といわれ、ビタミンCと一緒に摂るとよいとされています。

ビタミンC

強い抗酸化作用が期待できる栄養素です。また、免疫力アップやコラーゲンの生成のサポート、メラニン色素の過剰生成を抑制するなどの肌環境を整えてくれる効果もあります。ほかにも鉄分の吸収促進、解毒やホルモン代謝を担う酵素のサポートの効果でアンチエイジングに期待ができます。

犬猫は体内でビタミンCを合成することができるので必要以上に摂取する必要はないといわれてきましたが、体調や年齢によって合成能力が衰えることもあったり、合成はできてもビタミンCはストレスなどによっても消費してしまいますので、近年では食事から摂取するのは健康維持に効果的といわれています。

アスパラギン酸

アスパラガスから発見されたアミノ酸の一種で、エネルギー代謝に関わります。疲労物質を燃焼させてエネルギーに換え、さらに疲労回復に必要なカリウムやマグネシウムなどのミネラルを各組織へ運びます。

利尿作用もあり、体に有害なアンモニアを排出させる働きも。スポーツドリンクや栄養ドリンクにも配合されている成分です。

食物繊維

食物繊維は食後の血糖上昇をゆるやかにして糖尿病を予防したり、腸内細菌のエサとなって腸内環境を改善し、便通を促してくれます。また、腸内の不要なものを排出する効果もあります。

もやしを与えるメリット

低カロリーでダイエット向きな野菜

様々な栄養素を含むもやしですが、約95%が水分で低カロリー。体重を減らしたい肥満気味の犬猫にはもやしでご飯のかさましに利用するなど、ダイエットの味方になりそうです。

ただし、消化にはあまりよくないので茹でた後に細かく刻んでから与える方が良いでしょう。

水分補給と疲労回復効果で熱中症や夏バテ予防

前述の通り、もやしは95%が水分です。暑い季節や運動の後など汗をかきやすいときには食事からも水分補給ができるとより熱中症対策や夏バテ防止になります。

また、もやしにはアミノ酸の一種であるアスパラギン酸やビタミンCが含まれており、疲労回復効果があるのでこちらの成分も夏バテ防止に役立ちます。

腸内環境改善

もやしには食物繊維が豊富に含まれており、水分も多いので便通改善に役立ちます。便のかさを増やし腸内の毛玉などを絡め取って排出してくれる効果も期待できます。便秘や下痢などで悩んでいる犬猫には有効的な野菜といえるでしょう。

おすすめの茹で方、与え方

もやしには様々な栄養が豊富に含まれていますが、水溶性の栄養素が多いので茹ですぎなどが原因で多く損失してしまいます。加熱は調理は必須となりますので、水溶性の栄養素が損失しにくい茹で方を紹介します。

①鍋に水を入れ沸騰させます

②沸騰したお湯にもやしを入れたら再び沸騰するのを待ちます

③再び沸騰したら10~15秒でザルにあげ、そのまま冷やします

上記の茹で方で栄養素をできるだけ損失せず食べられます。犬に与える際に消化しやすいように刻むべきですが、茹でる前に刻んでしまうと更に栄養が損なわれてしまうので茹でた後に刻むのがおすすめです。

そのまま与えず刻んでから与えましょう

もやしは食物繊維も多く、長いまま与えると喉にひっかかったり消化不良を起こしてしまいます。

もちろん食べても大丈夫ですが、加熱した後にできるだけ細かく刻んでから総合栄養食のドライフードにトッピングしたり、犬猫用の手作りごはんに使用するのがおすすめです。

もやしを与える際の注意点

新鮮なもやしを与えましょう

もやしはその水分量から早く傷みやすいという特徴があります。冷蔵庫に入れていても2、3日で新鮮さを失い、茶色く変色したり水分が出てべっちゃりとしてしまいます。

豆を水につけて栽培されることから、細菌類が繁殖しやすい環境にあるので変色したものや嫌なにおいがするものは与えないようにしましょう。

保管方法

未開封のもやしであればそのまま冷蔵庫に入れて1、2日の新鮮なうちに与えましょう。夏場は更に傷みやすいので購入したその日に調理することをお勧めします。

少しでも長持ちさせたい場合は、購入してすぐにザルにあけ水道水で洗い、蓋付きの保存容器にもやしを入れます。

その後もやしがひたひたになるくらいまで水を注ぎ入れ冷蔵庫で保管。2日に1回水を取り替えながら保存することで最長1週間程度は保存できるといわれています。もやしの保存に際してはとても有効なおすすめの方法です。

ただし、人よりちいさい犬猫にとって食材の痛みは少量であっても健康被害を受ける可能性が高いので、できるだけ早く新鮮なうちに調理して与えた方が安心です。

与えすぎには要注意

犬猫はもやしを食べても大丈夫ですが、豊富な食物繊維や水分は腸内環境の改善に役立つ反面、過剰摂取は下痢や消化不良による嘔吐や食欲不振などの症状を引き起こす原因となります。

特に消化器官が未発達である子犬や子猫、消化機能が低下しているシニア犬やシニア猫、また成犬成猫であっても体調不良で合ったり胃腸が弱い犬猫にもやしを多量与えてしまうとその水分の多さからも下痢や嘔吐の症状が現れてしまう可能性が高くなります。

健康的メリットの多いもやしですが、毎日や一度に大量に与えないように気をつけてください。

アレルギー

犬猫も食物でアレルギー症状を引き起こすことがあります。もやしは大豆などを原料としますので、大豆アレルギーを持っている犬猫には与えないようにしましょう。

また、初めてもやしを与える際には少量から始め、食後の体調には十分に注意観察を行いましょう。食後に下痢や嘔吐、発疹等の症状がみられた場合には、かかりつけの動物病院へ相談し、獣医師の指示に従いましょう。

おすすめレシピ

ビビンバ風ごはん

もやしを茹でて細かく刻みます。キュウリも粗みじん切りにし、ミニトマトは半分か1/4に切っておきます。鶏ひき肉をフライパンで炒めそぼろ状にし、常温まで冷ましたご飯の上に野菜とそぼろをのせて完成です。

もやしの豊富な食物繊維と水分豊富なきゅうりとトマトで腸内環境改善、夏バテ防止が期待できます。鶏挽肉で良質な動物性たんぱく質とごはんでエネルギー補給にもぴったりです。疲労回復効果も期待できるので、運動のあとのごはんとして活躍する一品。

チヂミ

もやしは茹でて細かく刻みます。キャベツ、ニンジンは短めの千切り、小松菜は小口切りで細かく切ります。すべてをボウルに入れます。乾燥桜エビと片栗粉、少量の水を入れて混ぜ合わせ、フライパンでお煎餅サイズ程度で広げて両面焼いたら完成です。

もやしとキャベツは低カロリー食物繊維も豊富なのでダイエットの強い味方。ニンジン、小松菜でさらにカサを増して食べたりない子にはぴったりのおやつになります。桜エビの香ばしい香りが食欲をそそるので喜んで食べてくれることを期待します。

片栗粉だけでまとめるのが難しければ少量の薄力粉や卵を入れると固まりやすくなります。ただしカロリーは少し上がりますので入れ過ぎないように気をつけてください。

スギさん@マッサンペットフーズ

株式会社ヒューマル マッサンペットフーズの公式WEBサイト「マッサンのペットフードの学校」の開設時から運営に参画しています。6年間の学びを生かしてペットレシピ.jpにも執筆しています。

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