ナスについて
インド原産で、淡色野菜として世界中で栽培されているナス。
果実は黒紫色が多いですが、色や形は様々で多数の品種があります。
90%以上が水分でできていることから栄養が少ないイメージがある方もいるかもしれませんが、実は健康や美容に効果的な栄養素がたくさん含まれています。
犬猫はナスを食べても大丈夫?
ナスを含むナス科の野菜には「アルカロイド」という有毒な成分が含まれていますが、一般的に流通しているナスは長年の品種改良によってアルカロイドの含有量は非常に少ないといわれています。
犬の場合
アルカロイドが多く含まれる「葉」や「茎」を除けば、犬はナスを食べても大丈夫といわれています。
生でも加熱したものでもどちらを食べても大丈夫ですが、消化の点から加熱した柔らかいものを与えるのがおすすめです。
もし生で与える場合は皮が消化しにくいので皮を剥いてあげたり、細かく切るなどのサポートは必要でしょう。
実のみ与える場合はアルカロイドの心配はそこまでないですが、超小型犬など体が小さい場合は注意しましょう。
猫の場合
ナスは猫が食べても大丈夫とは言い難い食材です。
理由としては猫は犬より個体として小さいことが多く、アルカロイドによる悪影響の懸念があるからです。
また植物性の食品に対する消化能力の低さから、当サイトでは猫にナスを与える必要はないと考えます。
アルカロイドについて
ナス科の植物には有毒なアルカロイドが含まれることが知られ、ナスも未熟な緑色の実や芽、葉などに対する注意喚起がされています。
ただし熟したものは無害とされており適切に扱えば危険な食材ではありません。
ナスに含まれるアルカロイドについて農林水産省へ問い合わせたところ、下記の回答を頂きました。
なす科のものを含め多くの植物は様々な形態のアルカロイドと呼ばれる物質を含んでいます。
野草やじゃがいもの芽などには高い濃度で含まれていることがありますが、一般的に食べられる野菜は、長年の品種改良により有毒なアルカロイドの濃度が非常に低くなっており、食べても問題にならないと考えられています。
なすを喫食したことでアルカロイドによる食中毒が発生した事例はこれまで1件しか確認されていません。
その1件は、家庭菜園において有毒植物であるチョウセンアサガオになすを接ぎ木したことで、チョウセンアサガオに含まれていたアルカロイドがなすに移ったことが原因であり、なすに問題があるわけではないと考えられています。
回答:農林水産省消費・安全局農産安全管理課生産安全班
これは人間がナスを喫食することに対しての回答ですが、上記の回答からも、熟したナス自体に重大なアルカロイドの問題がある事は考えにくいでしょう。
犬にナスを与えるメリット
ナスニン
青紫色の色素成分のナスニンはポリフェノールの一種で、皮に含まれています。
強力な抗酸化作用があり、免疫力アップやアンチエイジング効果が期待できます。
また、ナスニンはコレステロール値を低下させる効果が認められており、高血圧や糖質異常症、血管のトラブル予防に効果が期待できます。
クロロゲン酸
ナスのアクの正体はポリフェノールの一種であるクロロゲン酸は強力な抗酸化作用でアンチエイジングが期待できます。
また中性脂肪の蓄積による脂肪肝を予防する効果あり、ダイエット効果が期待できる成分として注目を集めています。
最近のナスは品種改良がされて元々アクが少なくなっています。
クロロゲン酸はアクに含まれる成分なので、水にさらし過ぎると減少してしまいますので、水にさらす時間を短めにすると良いでしょう。
コリン
レシチンとその構成成分の一つである『コリン』。
ナスにはこのコリンが含まれており、脳に運ばれアセチルコリンという「情報伝達物質」に変わり、記憶力や集中力を高め、物忘れなど脳の老化やボケ予防等に効果が期待できるといわれています。
低カロリーなのでダイエットに活用できます
ナスの成分の90%は水分で、エネルギーは100gあたり22㎉と低カロリーの野菜です。
水分が多く低カロリーな面もナスの特徴で、食物繊維も比較的多く含まれており、その量はレタスやキュウリの2倍ともいわれています。
食物繊維は食後の血糖値の急激な上昇を抑える効果や、コレステロール値を下げてくれる働きもあるためダイエットに効果的と考えられます。
ただし水分を多く含んでいるので与えすぎは下痢等を引き起こす要因になりかねません。
低カロリーだからといって無制限に与えてもいいという食材ではありませんので、与えすぎないように十分に気をつけましょう。
カリウムで夏バテ防止
旬の食べ物は季節に必要な栄養が摂れるといわれていますが、ナスの旬は夏~秋にかけてです。
夏は暑さが厳しく、秋は気温差で体調を崩しがちです。
ナスは水分が多くカリウムも豊富なので、塩分調整をする働きで血圧を下げてくれたり、水分とともに体の熱を放出してのぼせやほてりを鎮める作用があります。
愛犬の食事にナスを加えて、だるさや食欲不振などの夏バテ症状を予防・緩和することを期待します。
ただし腎臓病を患っている犬にはカリウムの制限が必要な場合がありますので、かかりつけの動物病院で相談することをお勧めします。
犬にナスを与える注意点
未熟なナスや葉、茎は与えないで
上記でも解説しましたが、未熟なナスや葉、茎には『アルカロイド』というナス科の野菜が持つ天然の毒素が多く含まれています。
犬猫がアルカロイドを摂取すると下痢や嘔吐などの中毒症状を引き起こします。
一般的に葉がついた状態で販売されているのはあまり見かけませんが、ヘタ部分に少し茎が残っていることは多々あります。
必ず切り落としてから与えましょう。
また家庭菜園でナスを育てている場合には誤って未熟な緑色の実や葉、茎を誤食しないように注意しましょう。
大量には与えない。消化不良に要注意
犬はナスを食べても大丈夫と解説していますが、アルカロイドの存在を無視することはできません。
食べ過ぎは消化不良の原因にもなるので、トッピングやおやつ程度に控えるべきと考えます。
またナスの皮は消化がしにくいので、丸かじりさせたり大き目なカットで与えると消化不良や喉に詰まってしまう危険があります。
ただしナスの皮にはポリフェノールが含まれているので、細かく切ってあげると良いでしょう。
ナスの栄養は加熱してもあまり変わらないといわれていますので、消化の観点から加熱した柔らかいものを与える事をおすすめします。
電子レンジでも簡単に加熱できるのでぜひ試してみてください。
加熱調理の際に油は不要
加熱調理をおすすめしましたが、ナスはスポンジのように油をたっぷり吸ってしまうので油を使用した加熱調理はおすすめできません。
また調味料も犬に与える際には不要なので味付けはしないようにしましょう。
アレルギー
人と同様に食物アレルギーを持っている犬がいます。
ナスだけに限りませんが、初めて食べる食材はごく少量から与え、食後の体調には十分に注意観察をしてください。
ナスはナス科の野菜なので同じナス科のトマトやじゃがいも、ピーマンを食べてアレルギー症状を起こしたことがある場合はナスでもアレルギー反応を起こす可能性が非常に高いです。
ナスを与えた後に下痢や嘔吐、発疹等の症状が現れた場合にはかかりつけの動物病院へ連絡し、獣医師の指示に従いましょう。
おすすめレシピ
ナスのなめろう
①鱈の切り身を茹でてほぐしておきます
②ナスはヘタを落として洗い、ラップにくるんで600wで2分程度加熱
③ナスを皮ごとある程度切り、ほぐしておいた鱈、すりごま、ごく少量のすりおろし生姜と味噌(どちらも1g程度で十分)を加えて包丁で叩いて全体をなじませて完成
魚のお刺身で作ることが多いなめろうですが、ナスと合わせて低カロリーにカサを増やして食物繊維もプラスした一品に。
味噌は塩分が気になるところですが、ごく少量に控えれば大丈夫です。
味噌の発酵パワーと生姜で愛犬の代謝や免疫力アップも期待できるレシピです。
まとめ
ナスは犬が食べても大丈夫な食材ですが、猫や超小型犬は注意が必要です。
ナスに含まれるアルカロイドは小さな個体への悪影響が不明確であり、また植物性食品の消化吸収を得意としない猫が消化不良を起こす懸念があるからです。
犬に関しては炭水化物の消化はほとんど可能と考えられ、ナスに含まれる栄養成分による健康的メリットを受けられる可能性が考えられます。
ただしアルカロイドの存在は無視できませんので、大量に与える事は避けてください。
熟したナスの実はアルカロイドの含有量が少なく無害であるとされていますが、未熟な緑色の実や葉、茎に関しては多く含まれますので、絶対に犬猫が食べないように注意しましょう。
参考:ソラニンやチャコニンとは