納豆は犬猫が食べても大丈夫
『納豆は体にいい』というイメージを持っている方は多くいらっしゃるといます。
畑の肉とも呼ばれる栄養満点な大豆を蒸して納豆菌で発酵させることで、大豆にはない栄養成分を作り出し栄養価の高い食べ物になっています。
このように私達にとって健康的な効果が期待できる納豆は、犬猫にとってもうれしい栄養がたくさん含まれていて、食べても大丈夫な食材です。
ネバネバした食感が特徴的で、犬猫に与えるには多少の工夫が必要になりますが、犬猫に手作りの食事を作る方や納豆の栄養素を与えてみたい方は試して頂きたいと思います。
意外なことに納豆が好きで食べて喜ぶ犬猫も多く、もっと食べたい!と催促する事もあるほど。
ただし、納豆に付属するタレや薬味は与えないようにしましょう。
粒納豆とひきわり納豆の違い
納豆には粒納豆とひきわり納豆があります。
一般的に食べられている粒納豆は正式には『糸引き納豆』といわれ、大豆を水で洗ったあと3倍量の水に一晩浸し、水を含んだ大豆を蒸して納豆菌と合わせて発酵させて作られています。
ひきわり納豆は大豆を細かく砕いてから蒸して発酵させています。
砕くことで大豆の表面積が大きくなるため、納豆菌が付着する面積も大きくなり、発酵により酵素やビタミン類が増えやすく栄養価が高まります。
またひきわり納豆は粒納豆と比べてナットウキナーゼやビタミンKなどが多く含まれているといわれています。
とはいえ、納豆自体が栄養価が高いため粒納豆でもひきわり納豆でも嬉しい効果が期待できるのでどちらを食べても大丈夫です。
納豆を与えるメリット
ナットウキナーゼで血液サラサラ!血栓予防に期待
納豆独自の成分『ナットウキナーゼ』は血栓症を予防すると言われています。
納豆菌で発酵させることによって生まれるナットウキナーゼは血栓の主成分であるフィブリンに直接働きかけ溶解する作用があり、また血栓を溶けにくくする血栓溶解阻害物質PAI-1を分解する作用も報告されています。
血栓症を予防するという事は脳梗塞や心筋梗塞などの重症となれば死亡してしまうケースもある重篤な疾患の予防につながります。
腸内環境改善に効果的!免疫力アップ&アンチエイジング
納豆は大豆由来の栄養素の働きも犬猫の健康維持に効果的です。
大豆に含まれる良質なたんぱく質は犬猫の体を構成する大切な栄養素です。
また、腸内細菌の善玉菌である納豆菌が含まれていることに加えて食物繊維が豊富な納豆は腸内環境の改善にとても役立ち、免疫力のアップが期待できるとともに抗酸化作用があるイソフラボンや大豆サポニンでアンチエイジング効果も期待ができます。
参考:日本ナットウキナーゼ協会
納豆の栄養
ナットウキナーゼ
ナットウキナーゼは大豆を納豆菌で発酵させることによって生まれる酵素で、大豆そのものには含まれていません。
納豆特有の成分であり、血液中でできた血栓を溶かす作用があるといわれています。
血圧を下げる効果や血行を促進する作用などが期待され、血栓や動脈硬化、心筋梗塞、脳梗塞の予防効果が期待できます。
イソフラボン
イソフラボンは人にとって女性ホルモンに似た物質であることが有名ですが、この成分は細胞の新陳代謝を高めてくれる効果があるとして犬猫にとってもメリットがある栄養素です。
また、毛並みや皮膚の健康にも役立ち、アンチエイジング効果が期待できます。
たんぱく質
たんぱく質は体を作るのにかかせない栄養素で、アミノ酸がたくさん連なってできています。
体が必要とするアミノ酸のなかには体内で合成できないものが9種類あり、この9種類のアミノ酸を必須アミノ酸と呼びます。
納豆にはこの9種類の必須アミノ酸がバランス良く含まれているため、体内で活用されやすい良質なたんぱく質と言えます。
ビタミンB6
免疫機能を健全に保つ働きをし、皮膚の抵抗力の増進にも役立ち、赤血球のヘモグロビンの合成にも欠かせない栄養素です。
肝臓に脂肪が蓄積することを防ぎ、肝脂肪の予防にも効果が期待できます。
ビタミンB1、B2
納豆にはビタミンB1、ビタミンB2が多く含まれています。ビタミンB1は疲労回復効果が期待でき、脳と神経を正常に保つ働きもしています。
ビタミンB2は脂質をエネルギーに変えて、皮膚、粘膜、被毛、爪、赤血球の産生や、免疫力の向上が期待できます。
カリウム
カリウムはミネラルの一種で、浸透圧の調整などの働きをします。
利尿作用でナトリウムを排出する事で塩分の摂り過ぎを調節する重要な役割を果たし、さらには血圧を下げる効果も期待できます。
しかし腎臓病等の疾患がある犬猫は摂取量に注意してください。
過剰摂取は高カリウム血症の原因になる危険性があり、四肢のしびれや嘔吐、筋力低下、脈拍異常といった体調不良の原因につながります。
鉄
鉄は赤血球中のヘモグロビンに結合し、全身に酸素の供給を行います。
また、体内の老化を促進したり正常細胞を傷つける過剰な活性酸素を分解する働きを持ちます。
食物繊維
納豆には食物繊維が豊富に含まれていますが、食物繊維には水溶性食物繊維と不溶性食物繊維の2種類があります。
水溶性食物繊維は食後の血糖値の上昇を緩やかにしてコレステロールの排出をサポートするのに役立ち、不溶性食物繊維は腸内で水分を吸って膨らむ特性があり便のカサを増し便通を改善してくれる働きがあります。
納豆にはその2種類の食物繊維がバランスよく含まれていて腸内環境の改善に効果が期待できます。
ビタミンE
ビタミンEは『若返りのビタミン』とも呼ばれ、強い抗酸化作用を持つ脂溶性のビタミンです。
体内の脂質の酸化を防ぎ、動脈硬化や血栓の予防、血圧の低下、悪玉コレステロールの減少などの働きがあります。
カルシウム
体を支える骨格の強化に活躍する働きがあります。骨や歯の構成に必要不可欠な栄養素です。
吸収にやや難点のあるカルシウムですが、大豆の良質なたんぱく質によって吸収が促進されるといわれています。
与える際の注意点
アレルギーに注意
大豆はアレルギー特定原材料に準じるものとして登録されている食材のひとつです。
人と同じく大豆アレルギーをもつ犬猫もいますので初めて納豆を与える際にはごく少量から食べさせましょう。
食後から翌日程度までは体調の変化に注意し、変化がなく大丈夫そうであれば徐々に量を増やし、様子を見ながら与えるようにしてください。
下痢や嘔吐、眼の充血や発疹などアレルギー症状が現れた場合には動物病院へ相談しましょう。
付属のタレやカラシは入れない
市販されている納豆には必ずと言っていいほどタレやカラシが付属されています。
タレに使われる調味料には塩分が多く含まれているので犬猫にとっては塩分過多となってしまいます。
腎臓や心臓への負担や塩分過剰摂取による体調不良などの危険性があるのでタレは混ぜないようにしましょう。
またカラシはワサビやトウガラシと同様に犬猫にとって有害な刺激物で、犬猫の消化器に大きな負担をかけるだけではなく、口腔内の痛みや胃の痙攣、嘔吐、下痢といった症状がみられることがあります。
薬味は入れない
人が納豆を食べるときには薬味を入れることで更に食欲が増しおいしく食べられる効果がありますが、薬味によく使われるネギは犬猫が中毒症状を起こすことで有名な食材です。
犬猫に与える場合は薬味は不要ですので入れないように注意しましょう。
腎臓病や心臓病等の持病をもつ犬猫に与える場合は要注意
納豆の原料となる大豆にはたんぱく質やカリウムが比較的多く含まれていて、腎機能が衰えている場合には腎臓に負担がかかってしまう可能性があるので注意が必要です。
併せて心臓の治療など持病があり獣医師の指導を受けている場合には、納豆を与える前にかかりつけの動物病院で相談することをお勧めします。
また納豆にはマグネシウムとリンも多く含まれているので、それらを主成分とする『ストルバイト結石』を患っている犬猫に与えると、症状を悪化させてしまうケースも考えられます。
納豆の加工品は与えても大丈夫?
納豆以外の調味料や食材を使った人用の加工品は犬猫には与えないようにしましょう。
有名なお菓子のひとつとして『甘納豆』がありますが、甘納豆は小豆やエンドウマメ、ソラマメ、インゲンマメなどの豆類を砂糖と一緒に甘く煮詰め、更に砂糖をまぶして乾燥させて作られたものです。
納豆の名はついてもここで紹介している納豆とは別のお菓子なので犬猫に食べさせても大丈夫とは言えません。
他にも納豆を使った市販の食品は多くありますが、人用に調味料を加えたものが多く健康に被害を及ぼす場合がありますので、パッケージを確認し納豆以外のものが使われたものは食べさせないようにしましょう。
調味料を使わないフリーズドライ納豆は与えやすくておすすめです
犬猫に与える前には必ず成分表の確認は必要ですが、調味料を使わず納豆をそのままフリーズドライにしたものは犬猫が食べるのに大変だと感じる要因のネバネバが無く、成分はほぼ変わらないという優れものです。
手軽におやつとしてそのまま与えたり、ドッグフードのトッピングとしても使いやすいです。
犬猫用のフリーズドライ納豆や納豆ふりかけなどもありますので、手軽に納豆を与えたい方にはおすすめです。
納豆を使ったレシピ
ネバネバ食材の相性は抜群で、オクラも犬猫が食べても大丈夫な食材なのでぜひ取り入れてみてください。
オクラには腸内を掃除して有害物質を外に出す働きがあり、納豆とのコンビは腸内環境改善にとても役立つレシピです。
取り分けて醤油をかければ人用に早変わりしますので、犬猫とシェアのしやすいメニューです。
納豆を使ったチャーハンもおすすめです。
納豆は加熱すると食べやすくなりますがナットウキナーゼは50℃以上で活性が弱まってしまうので好みに合わせてあまり火を通さなくてもいいかもしれません。